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授業の内容(Course Description) |
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この講義は、日本国憲法にかんするいくつかの裁判例や制度を理解することを目的としています。テキストである中村睦男編『はじめての憲法学(第2版)』(三省堂・2010年)を用いて、原則として、1回の講義で、ひとつの項目をとりあげて、当該テーマの議論状況を考えることにしたいと思います。 より具体的な目標としては、やや安直な言い方かもしれませんが、公務員試験に出題されるような、憲法の問題を解くための、「最低限度の能力」を(せめて!)身につけたいと思います。つまり、最高裁判決を中心とするいくつかの裁判例や、憲法が予定している制度を、「しっかりと」理解できるようになることが目的です。 もちろん、法学部の専門科目の講義ですから、ある程度の掘り下げた議論もする予定でいます。たとえば、あるひとつの考え方(ひとつの判決)を理解したうえで、それと対立するような考え方(裁判例や学説)も、「同時に」理解できるようになれれば、理想的です。 みなさんにとっては、残念かもしれませんが、現実の世界においては、名探偵コナンのような、「真実はいつもひとつ!!」という世界が、常に成り立つとはいえません。むしろ、「昨日の正解(常識)が、今日の不正解(非常識)に変わること」がよくあります。みなさんには、そうした現実の世界(の複雑さ)を、なんとなくでよいから、感じ取れるようになってほしいと思っています。 憲法Bは、憲法Aで学んだことを前提にして、統治の領域も勉強します。はたして、「みんなのことを決める」ためには、いかなるルールが必要でしょうか。「みんなで仲良く決める」ってことと、「強いリーダーシップを認めること」は、「両立」するんでしょうか。国民投票には、どんなメリットやデメリットがあるんでしょうか。なぜ、日本では首相を選挙できないんでしょうか。これらを、(コメンテーターになったつもりで)誰かに「わかりやすく」説明&プレゼンテーションできる自信がありますか?
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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①講義でとりあげた複数の憲法判例の内容を、両当事者の主張を踏まえつつ、説明することができる(社会には、いろいろな意見があることを認識できる)。 ②新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている、法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。 ③講義でとりあげた判例や制度に関連する問題を、自分で発見し、それにかんする解決方法を提示できる(自分ひとりで、ある程度の分量のレポートを書けるようになる。憲法のイメージを、近所の何も知らない小学生【小学生は迷惑?】に対して、池上彰さんのように、ほんの少しだけ教えられる)。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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試験による評価が原則です。論述式の問題が多くなると思います。試験では、基本的な概念を、正確に理解しておくことが重要となります。ただ、暗記するだけではなく、関連する学説、裁判例を踏まえて理解しておきましょう。出席状況も考慮することがありえます。場合によっては、講義中の発言による「加点」、レポートや自由報告(口頭報告)による「加点」、小テストによる「加点」もありえます。最初の講義に参加して、これら(成績評価方法、試験日程、試験内容など)を確認してください。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストとして、中村睦男編『はじめての憲法学(第2版)』(三省堂・2010年) 参考文献として、芦部信喜『憲法(高橋和之補訂)(第5版)』(岩波書店・2011年)、高橋和之編『新・判例ハンドブック 憲法』(日本評論社・2012年)、高橋和之・長谷部恭男・石川健治編 『憲法判例百選ⅠⅡ(第5版)』(有斐閣・2007年)、棟居快行・赤坂正浩・松井茂記・笹田栄司・常本照樹・市川 正人『基本的人権の事件簿(第4版)』(有斐閣・2011年)、初宿正典・高橋正俊・ 米沢広一・棟居快行『いちばんやさしい憲法入門(第4版)』(有斐閣・2010年)、山口進・宮地ゆう『最高裁の暗闘ー少数意見が時代を切り開くー』(朝日新書・2011年)、笹田 栄司・大沢 秀介・井上 典之・工藤達朗 『ケースで考える憲法入門』(有斐閣・2006年)、野坂泰司『憲法基本判例を読み直す』(有斐閣・2011年)などを挙げておきます。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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テキストの該当箇所を、可能な限り、あらかじめ読んでくることを求めたいと思います。講義が終わった後の復習もできれば、理想的です。資料として配布した、公務員試験等の問題を、せめて(!)解けるようになってほしいと思います。もちろん、それ以上のレベルになってほしいことは、いうまでもありません。試験対策だけではない、法律科目としての面白さを、ほんのちょっとだけでも、感じ取ってくれれば、と思います。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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①難しくいえば、社会生じている法的現象に興味を持つことが求められます。憲法(とりわけ、統治)に関する事件は、テレビや新聞などでよく報道されています。それを、自分で「発見」することが重要になります。そういう報道を知っていると、講義や試験で、多少は余裕を持つことができるかもしれません。 ②軽くいえば、憲法に関する知識は、最低限度のもので構いません。それよりも、想像力(妄想力?)をもって、実際にいろいろな紛争を見ていく姿勢が、何よりも重要になります。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション(講義の進め方についての確認!前期とのつながりを考察します!!) 【第2回】 経済的自由権①(法律のおかげ【せい】で、銭湯と銭湯は、「隣り合う」ことがないんですって…じゃあ、なんでラーメン屋は、あんなに「ひしめきあって」るの?コンビニや、【新宿の】ドラック・ストアは…?) 【第3回】 経済的自由権②(酒豪の「あたし」としては、酒も最初から、ぜーんぶ自分で作りたいんだけど…日本では逮捕されちゃうってウワサが…ドイツやイタリアでは…) 【第4回】 生存権(生活保護費を用いて、預貯金をしたら、市の担当者に怒られますか?子どもの学資保険はどう?車を買ったら?クーラーは?扇風機は?) 【第5回】 教育を受ける権利(教科書って、なんであんなにつまらないの?小学校の低学年とか幼稚園とかで、クリスマスに、「サンタさんの正体」を「無理やり」教育したら、どうなる?!パパやママ、それから、おもちゃ屋さんだって困る。。。「教育」や「しつけ」を、「誰が」「どのように」「どのタイミング」でおこなうかって、意外と深くて、難しいね…) 【第6回】 外国人の人権(外国人には、人権がないってホント?ドラえもんにも人権がないの?未来のロボットだから、選挙権はなくても、「どら焼きを食べる」権利くらいあげないと、かわいそうだよ~) 【第7回】 財産権(スカイ・ツリーのようなマンション【?】を建てようかと思ったら、条例で高さを制限されました!太陽【日光】って、一体誰のもの?くさーーーいゴミ屋敷に住むのって、あたしの権利の行使?) 【第8回】 選挙権の平等・立法過程(ハタチになったら、選挙にいってみよう!?「票数イコール愛」ですから……!?法律とソーセージの「似ている」ところは?国立国会図書館の地下って、何があるの?) 【第9回】 立法権(①いまウワサの証人喚問って何?②国会議員のセンセーに、名誉を棄損されたらどうなる?!③二院制って何なの?ねじれ国会って何?国会議員って多すぎだしー、リストラしよう。④国会議員がサボったら、立法不作為っていうんだって?!サボりでもカッコいいんだね。さすが、センセー、お得な職業だね) 【第10回】 行政権(衆議院の解散って、なんのためにある?人気が下がったらやるの?アイドルグループの解散と何が違うの?ソーリって、なんでそんなに偉いの?チーム・リーダーとは何が違うの?!) 【第11回】 司法権(裁判員制度って「誰」が作ったの?「誰」のためにあるの?法学部生なら、裁判所の傍聴マニアになってみよう!?裁判の「公開」って?なぜ、テレビで裁判を放映しないの?メモはとってもいい?写真はだめ?イラストはどう?) 【第12回】 地方自治(国会議員のセンセーとは違って、最近、○○市長は、どうしてあんなに元気なのぉ?そういえば、知事や市長は選挙で選べるけど、なんで、総理大臣は選挙で選べないの?) 【第13回】 平和主義(日本国憲法という場合、結局は、9条論が一番モメます!そういえば、いつも朝まで討論しているひとがいますね…でも、いつも結論が出ないよね……) 【第14回】 国民主権(「本当の主役は、テレビの前のあなたです」。そう、最後に決めるのは、国民です!!じゃあ、日本では、なんで「ガチ」で、国民投票しないの?原発の是非を、国民投票で決めるべきというのは正しい?) 【第15回】 まとめにかえて
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