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授業目標 |
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柔道整復学科のカリキュラムには国家試験を意識した講義が多いようになっています。そこで、その種の縛りを取り払った、自由に展開する構えの講義というコンセプトで、学科開設当初には無かった講義として「現代生命科学(1年生向け:塩川・小松・バイオサイエンス学科の梶谷教授の3人で担当)」を設定し、その取得単位も卒業単位として数えることができるようにしました。しかし、2013年からは特に柔道整復学の領域により焦点を移すようにしたいという考えに立って、最初に生物学の基礎を現代的な感覚で学び、後半では、柔道整復学科の生命科学のトピックスをひろいながら、教員、学生が一緒になって自由研究的に講義を展開することを目標としています。
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2. |
授業概要 |
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最初に6回の講義を行う塩川が基礎的な事を主として扱い、高校と大学のギャップを埋めていくように努力すると共に「生命の最小単位である細胞」という切り口から「生命系の物質群」についての講義も混ぜながら6回講義します。続いて小松教授が生き物の生理形態学という切り口から、生命科学の中心的な話題を生理化学的に取り上げ3回講義をします。最後に柔道整復学科の他の教員(若林、西村、宮坂、櫻井、阿部)が主として自分の研究分野を中心として、オムニバスの形で各教員1回づつ5人で全体で5回講義を受け持ちます。15回目は再び塩川が全体のまとめを行うようにします。
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3. |
準備学習(授業時間外の学習) |
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特にこれをやっておかなければいけないという事は無いと考えていますが、高校の教科書についてはこれを「すでに通過した過去の要らない事」と軽く考えないで、もう一度目を通しておく事を要望しておきます。又、高校の時に物理あるいは化学を選んだ事によって、生物学を全く勉強してこなかった学生諸君につきましては、塩川担当部分で「大学基礎生物学」を教科書に指定して使用することにしておりますので、これを利用してください。この教科書は生物学を学んで来ていない人にも分かりやすいように、小説のようにつくっていますので、この教科書を予習して講義に顔を出すようにしていただきたいです。後は、むしろ、将来大学院に進学して学問的に頑張るという諸君のことも考えて、主として大学院担当で、柔道整復学に近い関係の先生方に、それぞれ自分の得意な分野の話をしてもらうようにしておりますので、バラエティーに富む内容を、後半では楽しんでいただくとありがたいです。
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4. |
授業計画 |
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【第1回】細胞の世界その1:生物と無生物の違い・生命を支える分子、特に蛋白質。塩川担当の1 【第2回】細胞の世界その2:生命を支える分子、特にDNAとRNA。塩川担当の2 【第3回】細胞の世界その3:生命の最小単位としての細胞、および細胞小器官。塩川担当の3 【第4回】細胞の世界その4:生命の連続性と遺伝子、および遺伝のしくみ。塩川担当の4 【第5回】細胞の世界その5:卵と精子の合体と生命の発生・形態形成。塩川担当の5 【第6回】細胞の世界その6:細胞分化のしくみとそこから派生する問題,クローン;多能細胞。塩川担当の6 【第7回】生理機能からみた生命 その1:神経の興奮。小松担当の1 【第8回】生理機能からみた生命 その2:筋肉の収縮。小松担当の2 【第9回】生理機能からみた生命 その3:神経の高次機能。小松担当の3 【第10回】筋収縮の分子機構:ATPの二つの機能、カルシウムイオンによる横紋筋の制御について。若林担当 【第11回】関節の生物学:西村担当 【第12回】柔道整復学の理論その1:宮坂担当 【第13回】柔道整復学の理論その2:櫻井担当 【第14回】ヒトの糖代謝と疾病:阿部担当 【第15回】まとめと口頭試問、レポート整理その他:塩川担当の7
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5. |
成績評価の方法、基準 |
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国家試験を離れた、自由な発想による現代生命科学という科目の当初のコンセプトに鑑み、基本的に最終日に於ける口頭試問で成績を出します。そのまとめは原則として最終日に、最初の日の担当講師である塩川が行います。
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6. |
使用テキスト及び使用教材 |
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塩川は塩川光一郎著:生命科学を学ぶ人のための大学基礎生物学:共立出版、をテキストとして用い、ほぼ忠実にこの教科書によって話を展開し、これを基調とします。これには生命科学の基礎の基礎が書いてあるからです。他の講師は特に教科書を指定せず、講義ノートによって講義を行います。 若林:エッセンシアル細胞生物学(p.599-604)を参考書とします。
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7. |
その他 |
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これは国家試験を意識しない純粋に学問のための講義、という風に上に説明していますが、その実、この講義の内容は特に「生理学」の国家試験勉強の基礎として非常に役立つものであります。また、基礎医学・医学概論その他の講義の基礎としても大事であります。選択科目ではありますが、学問的に面白いだけでなく、実は国家試験の勉強の真の下敷きになりますので、ぜひとも多数受講し、単位を取得するようにお勧めします。なお、上の計画表の中で、出張などの都合でどうしても担当できなくなった講師が出てきました場合には、塩川が責任を持って、講義を行うかわりの講師を準備しますので、生徒の皆さんは、この流れで学んでいただくとよろしいです。
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