Web Syllabus(講義概要)

平成25年度

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生化学特論(Biochemistry Special Lecture) 塩川 光一郎
1年 前期 基礎科目選択 2単位
【専柔前・前】 13-3-1206

1.
授業のキーワード
DNA、RNA、タンパク質、遺伝子、物質代謝
2.
授業のねらい
柔道整復術を受ける人体組織の基本的性質を物質および化学反応という立場から理解する為に、生体の中で起こる種々の生命科学的な反応を化学反応に与る各成分の基本的性質とそれを動かす複合酵素系という観点から解説し、生命現象の根本的原理を理解していただくように講義を進めます。
3.
授業の概要
生化学は生命現象を支える化学的な変化を物質の有機化学的な構造に基づいた考え方で学ぶ学問です。そこでは、生命現象の素子を多くは組織・細胞をすり潰して純粋分離し、物質的に把握し、その基本的な性質を解明する事により組み立てられてきた学問であり、これがしっかりしている事がサイエンスとしての柔道整復学に重要です。この観点から、生命を支える溶媒としての水、そのなかに存在する糖質、脂質、タンパク質、遺伝物質であるDNA、遺伝子のコピーであるRNA、更には低分子物質であるアミノ酸、ヌクレオチド、ポリアミン、および微量で強力な作用を持つビタミンやサイトカイン等の生理活性物質の化学的な構造と生物学的な作用について解説します。
4.
授業内容のレベルと準備学習・関連科目
学部の講義の生理学の基礎に戻って、全ての生命反応の基本となる化学反応を整理して学ぶようにします。
5.
授業の形式
教科書を用意し、それに沿って、生理学的に重要な現象も、実は単純な生化学的反応が組合わさった複合系として捉えられる事を種々の例を示しながら解説します。前半では学部の講義を意識しながら生命反応を支える個々の基礎的なプロセスに付いて学部の復習もかねて整理し直し、後半はその理解の上に乗って、生理学的により重要な生命反応の基礎を物質的な観点から解説するようにします。
6.
授業内容
【第1回】イントロダクション:溶媒としての水と生命反応
【第2回】糖質
【第3回】脂質
【第4回】アミノ酸・タンパク質
【第5回】DNA とDNA複製
【第6回】RNAと遺伝情報の発現
【第7回】ポリアミンの生化学
【第8回】成長因子
【第9回】酵素と代謝異常
【第10回】エネルギー代謝
【第11回】ATP
【第12回】解糖系
【第13回】TCAサイクル
【第14回】電子伝達系
【第15回】複合酵素系と生命
7.
成績評価の方法
レポートの内容により評価する。
8.
テキスト、教材
テキストとして塩川光一郎著「生命科学を学ぶ人の為の大学基礎生物学」(共立出版)を用い、これを毎回の講義の中で少し深く突っ込んで解説するようにする。これは表題は基礎生物学となっているが、学部課程で「生化学」を受講する暇のなかった柔道整復学科の学生諸君に取っては、かなり高度の内容である。よって、この教科書の項目を道しるべとしながら、内容的には物質の化学を掘り下げて解説しながら、生化学の講義を組み立てていくようにします。