1. |
授業の内容(Course Description) |
|
東京および東京首都圏は世界でもまれな人口と経済活動の集積地であり、それらが世界的にみても効率的に機能している場であることは客観的に承認できるところであろう。その基礎には、永年にわたって蓄積されてきた都市としての社会的共通基盤(インフラストラクチュア)の形成の成果が貢献していることは疑いをいれない。同時に、世界に例をみないような通勤ラッシュや「うさぎ小屋」と揶揄された劣悪な居住環境などの消極的な条件、すなわちそこに暮らし、働くひとびとへの負荷を当然の前提として東京の機能が支えられていることも承認しておかねばならない事実である。無秩序な開発の横行も、先進国の中心都市としては類例がない。 都市経済学の講義は、近代における東京の都市インフラストラクチュアの形成を、それらが社会的、経済的、政治的ないし自然的な制約のもとで蓄積されてきた歴史過程をフォローし、その成果と限界性を検討する。このことを通じて、ひとが暮らしやすく、働きやすく、環境にやさしいまちづくりへの展望を考察する。 都市経済学 I においては、東京の前史である江戸の概観から、第二次大戦の敗戦までの過程を講義する。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
東京という都市の形成過程について事実関係を確認し、その成果と限界性を認識して、それをふまえ、ひとが暮らしやすく、働きやすく、環境にやさしいまちづくりに向けての問題意識を醸成すること。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
試験の成績と出席状況を総合して評価する。試験の態様(定期試験実施の有無等)は、開講後に履修登録者数などで判断して授業で告知する。原則として毎回出席をとり、単位の認定にあたっては最低限2/3の出席実績を前提とする。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
とくに用いない。東京(周辺を含む)の地図を持参すること。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
東京ないし江戸をテーマないし舞台とする書物が多数存在するので、必ずしも研究書でなくても(小説でもいい)目を通し、関心を涵養すること。 授業で関説した現場を地図を持って実際に観察してみること。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
出席してしっかりノートをとること。黒板の坂書を書き写すだけでは不充分だと心得ること。 簡単なものでいいから東京(周辺を含む)の地図を持参するとよい。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 はじめに 【第2回】 江戸の形成とそのインフラストラクチュア 【第3回】 江戸から東京へ:日本の近代化と東京 【第4回】 近代都市東京の始動:銀座改造など 【第5回】 都心機能の初期的整備:丸ノ内地区など 【第6回】 基幹的鉄道の発展(1):新橋と上野 【第7回】 基幹的鉄道の発展(2):中央線と山手線 【第8回】 明治の都市計画:東京市区改正事業 【第9回】 都市環境整備の進展:街路整備・上下水道など 【第10回】 関東大震災と復興事業 【第11回】 郊外の発展:田園都市など 【第12回】 「大東京」体制と三多摩 【第13回】 「帝都」東京の諸様相 【第14回】 第二次大戦と東京 【第15回】 まとめ
|