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授業の内容(Course Description) |
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現在の日中関係は、領土問題で揺れ、そのことは、自動車、エネルギー、環境、レアメタル、旅行、航空、教育などの幅広い産業分野に暗い影を落とし始めています。 「嫌中」に傾く大学生が増加しているのを認めざるをえませんが、過去三千年の歴史から見ると日中経済交流の長い歴史があり加えて中国の経済力が日本を上回っていた時代が圧倒的に長いのも事実です。 経済的角度から見れば、今後も日本は中国の13億人の市場的価値は無視できないし、中国も日本の先端技術、グローバル企業を無視して産業政策、雇用政策を立てられないでしょう。 smartな大学生が中国を敬遠しているこのような時代こそ、ponderingでfar-sightedな帝京大生にとってwatch-listに入れるべきareaではないでしょうか。 今年度は次の4点を重点に学生とともに現代の中国経済を理解したいと考えます。 1.日本語で書かれた中国分析における重要資料の把握。 2.中国語が分からなくても中国語で書かれた主要統計資料を理解できる能力の養成。 3.今後発展が予想される経済分野の理解―――製薬産業、環境ビジネス、エネルギー産業、農業、レアメタル産業、旅行産業。 4.尖閣列島における領土問題と地下資源。 尚、必要に応じ中国のニュース映像を用いると共に中国に一度も行ったことの無い学生の実情と今後の日中の旅行産業の発展を考慮し、中国の歴史、世界文化遺産の映像資料を時々用いて中国の歴史・文化・地理と経済との関係についても補足します。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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今年度は次の6点の理解を目標にします。 ①「自分流」の中国ビジネス観或いは中国観の構築。 ②中国語が出来なくても中国の主要経済統計を読解できる能力の習得。 ③中国の歴史の概略(先秦から中華人民共和国まで)の理解。 ④データベースを活用し外国語で書かれた中国経済関係の資料を収集・利用できるスキルの習得。 ⑤中国の製薬産業、環境ビジネス、エネルギー産業、農業、レアメタル産業、航空産業の現況調査方法の把握。 ⑥尖閣列島における地下資源の概況の理解。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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成績は、次の4つの方面から評価します。 ①授業中の積極性、特にあてられた時にしっかりと自分の意見を述べているかどうか。 ②MELICのデータベースを十分活用できるかどうか、検索したデータは利用できるものかどうか、検索結果を皆の前で発表したかどうか。 ③配布した授業プリント、独自に収集した関連資料を保管し活用できる状態にしていること。 ④最終授業時に、決められたテーマで「自分流」のレポートを提出しているかどうか。尚字数は講義の後半で学生の理解度を見ながら発表します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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授業中に適時配布します。量的に多くなるが学生は大切に保管しなければなりません。その方法は、授業中に指示を出しますから遵守して下さい。 膨大な参考文献は、授業中に紹介します。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業の終わりに、次回の授業内容を説明します。学生は予習をしてください、そうしないと授業中何か意見を求められても直ぐには発言できません。 授業によって興味を抱いた分野に対し、日本語、中国語、英語を問わず資料収集し独自の分析能力を高めることを希望します。 日々のニュースから興味のある中国経済関係のものをストックし、自分自身で研究し不明なところは授業で先生に質問することを希望します。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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この授業中はもとより、他の授講義中も或いは土曜、日曜、夏休みにおいても「自分流」の中国経済観を構築するのに有用だと思われる資料は、常にストックするよう心掛けましょう。 この講義に参加することにより少なくとも5人くらいの新しい友達を作りましょう 授業に積極的に出席することを希望するが、事情があって欠席が多い場合は、事前に書面にて理由を説明・相談し許可を得ること。 レポートの作成において次の3点を遵守すること。 ①全体の構成を考えて構想を練り、段落を作ること。 ②引用文献は引用した箇所に必ず、引用文献名、引用サイトのアドレスを括弧書きで記載すること。剽窃、「ハリポテ」レポートは、書いてはいけません。 ③引用したのを貼り付けただけでは大学生のレポートとはいえませんよ、必ず自分の意見を書くこと。或いは、いくつかの文献を引用して理論的により高度な理論を構築すること。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ・授業の進め方・評価方法に対するガイダンス。 ・前期登録予定学生の興味のある分野についての話し合い。 ・中国経済の概況説明。 【第2回】 ・日本政府の資料を用いた中国経済の分析方法の説明。 【第3回】 ・日本の政府系のシンクタンクの資料を用いた中国経済の分析方法の説明。 【第4回】 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法①――人口、GDP、輸出総額・輸入総額・国際収支、消費者物価指数、都市住民平均住宅床面積など。 【第5回】 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法②――国家財政収入と支出、中央と地方財政、主要財政支出項目、外債購入残高など。 【第6回】 ・国連、UNDP、世界銀行、世界保健機関の統計資料を中国社会経済の分析方法の説明。 【第7回】 ・製薬産業分野――建国前後の医薬品の生産・流通過程の国有化――建国初期の医薬品の分散生産管理、中薬の保護と生産、外国企業・商人の追放、軍事物質としての医薬品、国営系販売組織の形成と国有化、小売薬局の増加、農村への医薬品供給。 【第8回】 ・映画鑑賞(計画経済期の中国の農村)とディスカッション。 【第9回】 ・製薬産業分野――建国初期の薬事行政、薬価管理――薬事行政の組織化、アヘン撲滅と麻酔薬の管理、医薬品の貿易への監督管理、品質管理における衛生省基準と地方衛生局基準、薬事行政による薬価管理の組織化。 【第10回】 ・製薬産業分野――計画経済体制の発展期と医薬品の生産状況と管理部門の変遷、原料薬の生産と重点工場、工商共作の形成と発展、トラストプロジェクト期、薬価補助。 【第11回】 ・MELICのデータベースを活用し、英語で書かれた現在の中国経済に関する文献を検索するトレーニング。 【第12回】 ・全員による前回の検索結果の発表と質疑応答。 【第13回】 ・製薬産業分野――市場による価格調整への一部移行と医薬品管理法の不備の表面化――市場化された医薬品の内訳、中央と地方の所轄争い。 【第14回】 ・製薬産業分野――市場による価格調整への一部移行と医薬品管理法の不備の表面化――市場化された医薬品の内訳、中央と地方の所轄争い。医薬品販売方法の激変と医薬品市場の形成――製薬企業の直接販売の開始、医薬品販売員の出現とその功罪、初期医薬品市場の形成。 【第15回】 ・前期授業の総括。 ・レポート提出。
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