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授業の内容(Course Description) |
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中国は長い歴史を持っています。その中でも、秦の始皇帝が中国を統一し皇帝を称してから(前221年)、清の最後の皇帝である溥儀が退位するまで(1912年)のおよそ2000年間、ひとり皇帝が支配する帝制がとられてきました。そこでの法制度は、我々が日頃学んでいる現代日本の法制度とは驚くほどに異なっています。社会が異なれば法も異なるというよい例であると思います。この講義では、このような現代の日本とは時間的にも空間的にもかけ離れた帝制中国の法制度を学びますが、それによって、比較法的視野を養い、現代日本の法制度を深く理解する手掛かりとなると思います。 帝制時代の「法」の世界には、大きく分けると、刑事的な「国法」の世界と民事的な「私約」の世界とがあります。春期の「東洋法制史Ⅰ」では、刑事手続について、便宜的に帝制期の最後の王朝である清代(1616~1912年)を中心に講義します。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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中国清朝におけるいわゆる刑法である律例、刑事裁判制度、死刑執行手続について、何故そのような法的仕組みとなっているのか、その背景も含めて理解することが目標となっています。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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授業内テストによって評価します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは使用しません。必要に応じて資料を配付します。 参考文献は随時指示しますが、主要なものとして次のものを挙げておきます。 ・滋賀秀三『清代中国の法と裁判』 ・滋賀秀三『中国法制史論集――法典と刑罰』 ・滋賀秀三編『中国法制史――基本資料の研究』
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業での配布物・ノートを繰り返し読み、次回の授業に備えること。 参考書として指示した文献を読むこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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おそらく、耳慣れない用語・概念が頻出することと思います。随時解説しますが、受講者のほうでも一方的に解説を聴くだけではなく、抱いた疑問点をそのままにせずに、積極的に質問し、講義に参加してください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ガイダンス――授業の進め方 【第2回】 法の世界の登場人物 【第3回】 裁判組織 【第4回】 律例(刑法典)の特色 【第5回】 刑罰体系 【第6回】 法の来源 【第7回】 断獄(刑事裁判手続)の始まり 【第8回】 断獄――必要的覆審制 【第9回】 断獄――必要的覆審制の外側 【第10回】 秋審(死刑再審理手続)――その概要 【第11回】 秋審――その意義 【第12回】 刑事手続における法――裁判手続上の問題点 【第13回】 刑事手続における法――犯罪と刑罰 【第14回】 刑事手続における法――裁判の準則としての法 【第15回】 まとめ
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