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授業の内容(Course Description) |
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日本経済の活力の源泉はモノづくりの技術力にあると言われます。日本人はこれまで "MADE IN JAPAN" に強い誇りを持ってきましたが、日本製品の品質の高さが国際的に評価され、日本人自身が「技術立国・日本」を自負するようになったのはせいぜい1980年代以降の話です。この80年代に日本は自動車やハイテク製品で巨額の貿易黒字を生み出しましたが、現在では生産工場の海外移転などの影響も手伝って新興国の激しい追い上げを受け、国内製造業の競争力は急速な低下の危機に瀕しています。現在の日本経済は、歴史的にも国際地政学的にも大きな転換点に差しかかっているといえます。そこで「日本経済入門Ⅰ・Ⅱ」では、日本の「産業発展の歴史」を辿りながら、明治中期に始まる120余年の近代経済成長の過程で日本経済がどのようにして今日の国際的地位を獲得してきたのか、マクロ経済、貿易、財政、金融、産業技術、企業経営といった様々な角度から浮き彫りにしていきたいと思います。 前期の「日本経済入門Ⅰ」では、日本が近代西洋技術を貪るように取り入れて成長を始めた明治期から第二次世界大戦までの前半約60年間を振り返り、その間に、現代に通じる経済システムや産業基盤が如何にして築かれてきたのかを明らかにします。 後期の「日本経済入門Ⅱ」では、敗戦後残された経済遺産を土台として今日まで60余年の間に日本が如何にして世界有数の経済大国に成長してきたのかを振り返り、現代の日本経済の様々な課題について考えていきたいと思います。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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グローバル化した国際経済社会の中で日本は今どのような状況に置かれているのか、また日本の近代経済成長の歴史の中で今日の日本経済はどのように位置づけられるのか、受講者はそれぞれ自分自身の日本経済「像」を描けるようにしてください。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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原則として、①出席状況、②授業への取り組み姿勢、③期末ペーパーテストにより総合評価を行います。なお、授業中の私語など他の学生に対し迷惑となる行為がみられた場合は、大幅な減点となりますので注意してください。 また、期中に小テストの実施やレポート提出(義務的または任意)を求めることがあります。その結果は加点材料となります。なおレポートに関しては以下の点に留意してください。 ・詳細(テーマ、分量、提出期限、義務提出か任意提出か・・・など)は講義の中で指示します。 ・その内容の質と努力の程度に応じて加点評価します。 ・ネットからのコピ-&ペーストなど論文作成上の基本的ルールを無視したレポートについては一切加点対象となりません(むしろ総合評価の減点対象になる場合もあります)。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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【テキスト】特に指定しません。 【参考文献】講義の都度紹介します。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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講義の際に紹介する文献等をできるだけ手に取り読んで、理解を深めてください。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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単に授業を聞くというだけでなく、講義を通して自身の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献や統計データに直接あたって調べたり確認てみるといった積極的な姿勢を期待します。 なお授業中の私語は厳禁です。他の学生に迷惑をかけていると判断される場合は即刻退室を求めます。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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講義は概ね以下のような内容を予定しています。 【第1回】 近代的金融制度の確立 【第2回】 大戦バブルと昭和金融恐慌 【第3回】 戦時経済と敗戦からの復興 【第4回】 戦後日本の景気循環 【第5回】 電子産業の勃興 【第6回】 重化学工業化と高度経済成長 【第7回】 電卓競争とエレクトロニクス革命 【第8回】 ニクソンショックとオイルショック 【第9回】 2つの「コクサイ化」と金融自由化 【第10回】 外需依存型経済の形成と貿易摩擦 【第11回】 プラザ合意と円高ショック 【第12回】 平成バブル 【第13回】 バブル崩壊と銀行危機 【第14回】 グローバル化する世界経済 【第15回】 まとめ
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