Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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スポンサーシップ概論 I 今 昌司
選択  2単位
【経営】 14-1-1120-3486-01

1. 授業の内容(Course Description)

 「スポンサーシップ」とは、企業と消費者、企業と社会との間のコミュニケーション機会を、スポーツを通して創造し、そこにある「価値」を収入という「対価」に代えていくための、スポーツ・マーケティング戦略です。
 本授業では、スポーツにおける「スポンサーシップ」を、単なる知識としてではなく、より実践的なノウハウとして理解し、スポーツ・マーケティング戦略の実務を学ぶことを主旨としています。そして、本授業の基本コンセプトは、「スポーツの価値と対価」を根底に置き、以下の4点に集約されます。
  ①スポーツ・コンテンツの「価値」と「対価」を学ぶ
  ②スポーツを「ビジネス目線」で捉える
  ③スポーツを通して「考える力」と「実学力」を養う
  ④知識を学ぶのではなく、現場での実例から「実践的ノウハウ」を学ぶ
 また、「スポンサーシップ」を学ぶために必要な基礎的要件である「マーケティング戦略」、「広報戦略」、「メディア戦略」、そしてスポーツイベントの価値を創り出す実務「イベント・オペレーション」に関する最新の実践技術、ノウハウの習得を重要視し、その習得を前提として(前期授業の重要テーマ)、さまざまな事例の中から、「スポンサーシップ」、「スポーツ・マーケティング」、そして「スポーツ経営」の理論と実践を、より具体的に解説していきます。
 よって、本授業の進行は、スライドとVTR映像を用いて行います。更には、講師が、広告代理店での営業職、スポーツ事業プロデュース職、総合商社でのスポーツライセンスビジネスの企画職、そして、外資系スポーツメーカーでのイベントプロデュース職などで経験したリアルなスポーツ・ビジネスの実務現場を、教室の中に居ながらにして体験して頂きます。
 なお、本授業で使用するすべてのスライド資料、また参考とする配布資料は、帝京大学の授業支援システム「LMS」を通して、授業を履修するすべての学生に配布し、授業の内容をより深く理解することに役立てて頂きます。※「LMS」については、その取り扱い方法を事前に確認しておいてください。お問い合わせは、教務グループ・システム担当者へ。
 前期授業では、「スポンサーシップ」ビジネスに必要な基礎的知識とノウハウの習得を主眼として(これらの内容は、後期授業では行いません)、「イベント・スポンサーシップ」を主なテーマとします。国際大会から、国内で開催されるさまざまなスポーツイベントを実例として取り上げながら、スポーツ・マーケティングの実務とノウハウを解説していきます。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 大学で「スポーツ経営」を学んだからと言って、直ぐにスポーツ業界で仕事ができる人は、ほとんどいません。逆に、さまざまな業種のビジネスの現場で専門的なスキルを学び、実務経験を積んだ人たちが、いまのスポーツ・ビジネスの現場を支える戦力となっています。よって、本授業では、「スポーツ・ビジネス」全般を「スポンサーシップ」、「スポーツ・マーケティング」を学ぶことを通して理解を深め、まず、社会人、企業人として必要な最新のビジネススキル、ビジネスノウハウを身に付けて頂くことを、最大の到達目標としています。
 ただし、単なる知識の詰め込みは、社会に出てから何の役にも立ちません。必要なことは、「考える力」を養うことです。社会に出て、最も必要なビジネススキルこそが、「考える力」だからです。自らが課題を見い出し、自らがその課題を解決に導くためのアイディア、企画、行動施策などを創造することができる人間こそが、いま、社会が求めている人材像なのです。「考える力」は、課題、問題を解決に導く「ソリューション」を生み出します。この「ソリューション」こそが、最新のマーケティング戦略において、最も重要な実務能力であることを理解し、本授業において、養って頂くことを希望します。
 そこで、本授業では、「考える力」を養って頂くための施策として、毎回の授業ごとに、課題を与え、レポートを提出して頂きます。レポート一枚も書けない様では、企業人としては役に立ちません。このレポートは、成績のためではなく、皆さんの「考える力」を磨くために行うものです。よって、一切の評価はしません。考える、書く、提出する、ということが大事なのです。つまり、まず、このレポートを毎回提出することが、皆さんの到達目標に対する成果を表すものになります。
 更に、期末試験は、レポート形式で行いますが、作成して頂くものは、単なるレポートではなく、「企画提案書」を作成して頂きます。授業で学んだ知識とノウハウを活かして、自らのアイディア、考えを基に、スポンサーシップを提案する企画案を作成してもらう、ということが期末試験のテーマです。そして、この「企画提案書」の内容こそが、授業で学んだことを活かせるかどうかを見極めるために、到達目標への到達度を図るバロメーターとなります。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 本授業の成績評価方法は、以下の3つの合計で行います。(100点満点、合格点は60点以上)
  ①「出席点」・・・・・・・・1回の出席に付き1点、合計で15点満点
  ②「課題レポート提出点」・・1回の提出に付き3点、第14回授業分まで行い、合計で42点満点
  ③「期末試験評価点」・・・・S/A/B/Cの4段階評価を元に、合計43点満点の点数評価に換算
  ※「課題レポート」についての要件
   ・課題レポートは、毎回の課題テーマを第1回授業時までに「LMS」にて全14回分を公表します
   ・課題レポートは、A4の指定用紙を使用し、分量は問いません。(1行でも書くこと)
   ・課題レポートの内容は、一切、評価対象とはしません。(自分自身の考えを堂々と書いてください)
   ・課題レポートの提出は、対象授業の次の授業開始時に回収しますので、講師まで提出してください
   ・課題レポートの提出は、授業への出席の有無を問わず、提出を受け付けます
  ※「期末試験」についての要件
   ・期末試験は、レポート形式で行いますが、作成して頂くものは「企画提案書」です
   ・「企画提案書」の作成の仕方、内容の構成の仕方などは、自分で勉強してください
   ・「企画提案書」の作成サンプルとして、講師の作成による見本を、「LMS」にて配布します
   ・期末試験の詳細は、第1回授業までに「LMS」にて公表します
   ・期末試験としての「企画提案書」の提出は、第15回最終授業の開始時に、講師に提出してください
   ・如何なる理由があっても、期末試験提出日の第15回授業への欠席は認めません
    (提出資格はありません)

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 毎回講義の中で使用するすべてスライドを、事前に配布資料として「LMS」にて提供します。
 (コンテンツページより)
 また、その都度、追加で配布する資料も同様に、「LMS」を通して提供します。
 (連絡事項ページより)
 更に、参考テキストとして、講師のブログに授業内容に関連記事を掲載していますので、閲覧してください。(講師のブログは、「ぶんきち日記」というワードで検索して頂ければ閲覧できます。)
 なお、授業の中では、一切、コピーや印刷物などの紙資料は配布しません。すべて、「LMS」を使用します。
 なお、推薦図書として、以下の書籍を読むことを推奨します。
   ①『オリンピックはなぜ世界最大のイベントに成長したのか』(マイケル・ペイン著)
    ※サンクチュリア出版
   ②『盗まれたワールドカップ』(デヴィット・ヤロップ著) ※アーティストハウス
   ③『65億のハートをつかめ! スポーツ中継の真実』(TBS世界陸上プロジェクトチーム編)
   ※ベースボールマガジン社
   ④『箱根駅伝 不可能に挑んだ男たち』(原島由美子著) ※ヴィレッジブックス
   ⑤『東京マラソンの舞台裏』(川端康生著) ※枻(えい)出版社
 すべてスポーツイベントの現場をノンフィクションで描いた内容になっています。
 時間がある限り、読んでおくことをお勧めします。
 なお、推薦図書は、授業の中では使用しません。教科書ではありませんのでこ注意ください。
 また、その他の推薦図書は、授業の中で、随時、ご紹介していきます。
 (また、「LMS」にて資料を配布します。)

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 皆さんが学生生活の中で、アルバイトやクラブ、サークル活動で忙しい日々を送っていることは、講師の学生時代を思い起こしてもよく理解できます。ただし、課題レポートは、時間を作り、キチンと行ってください。このレポートを作成することが、皆さんの復習作業となります。この課題レポートの作成の時間だけは、時間を惜しまず、全力で取り組んで頂くことを希望します。
 また、機会を見付けて、スポーツイベントの現場に足を運んでください。そして、観客席から試合を観る目線から、自らがそのイベントや大会を運営している立場に立って、周りの運営スタッフや関係者に目を配ってみてください。いつも見ているスポーツイベントや大会の違った姿が体験できるかもしれません。体験する、経験する、ということは、スポーツ・ビジネスを学ぶために必要不可欠なことであり、重要なプロセスでもあるのです。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 大学での学生生活は、高校と違い、ただ勉強するだけでは意味がありません。社会への登竜門、という意識を強く持って、まず、「自分は社会に出て何がしたいのか、何ができるのか」、ということを常に自問自答してみてください。皆さんが「就職」と言っているものは、時に、「就社」になりがちです。つまり、「何をしたいのか」、ということの前に、「どの企業に入りたいか」、ということに終始してしまうのです。重要なのは、「どんな分野の職業や職種に就きたいのか、どんな仕事がしたいのか」、ということです。どんな企業にも、営業職もあれば、マーケティング職もあります。管理職もあれば、事務職もあるのです。せっかく志望の企業に就職しても、自分の意図していない部署に配属されて、挫折するケースが増えている(短年での離職率の増加)と言われています。どんな企業でも、まず、自分の望む仕事をやり遂げることこそが、一流の社会人として資質だと思います。そして、「あなたの代わりはいない」、と言われる人材になってください。人材は、「人財」とも書きます。企業の、そして社会の財産の一人となることを、ぜひ目指してください。そのために、自分でできる範囲でいいので、最大限の努力をしてください。その努力が本物ならば、必ず結果はついてきます。
 また、近年、グローバルな人材の育成が急務と言われています。しかし、語学力があるから、といってグローバルな人材、とは言いません。まず、ビジネススキルを備えることこそが、グローバルな人材となる第一歩です。仕事ができない人が、語学だけ達者でも、企業として、社会として価値ある人材と言えるでしょうか。語学力を高めていくことは大切なことです。しかし、ビジネススキルがあってこそ、語学力が活かせるのだ、ということを忘れないでください。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 スポーツ・マーケティング、スポーツ・マネジメントとは?
  ~スポーツ・ビジネスの全体像と具体的な実務構造を知る~
【第2回】
 スポーツを強化する情報戦略とは?
  ~スポーツ・インテリジェンス、戦略PR、マーケティング戦略の最新ノウハウを知る~
【第3回】
 広告の領域を超えたコミュニケーション戦略とは?
  ~ソーシャルメディア時代、そして変質する消費者に対峙するためのIMC戦略を知る~
【第4回】
 CRMの台頭によって変革するメディア戦略とは?
  ~メディア戦略の基礎的ノウハウ、そして最新のメディア事情を知る~
【第5回】
 ブランド・マネジメントとは?
  ~スポーツ・ビジネスにも大きな影響力をもたらすブランド・ビジネスの本質を知る~
【第6回】
 イベント・オペレーションとは?
  ~スポーツイベントの価値を最大化するイベント運営の戦略的技術とノウハウ~
【第7回】
 イベント・オペレーションの実務 ①スポーツイベントの価値創造 ~チケッティング編~
  ~スポーツイベントの集客装置としての機能とスポーツの顧客の創造とその拡大~
【第8回】
 イベント・オペレーションの実務 ②スポーツイベントの価値創造 ~イベント広報編~
  ~スポーツイベントのメディア戦略から生み出される新たな価値の創造とその拡大~
【第9回】
 イベント・オペレーションの実務 ③スポーツイベントの価値創造 ~ブロードキャスティング編~
  ~技術革新が加速するテレビ中継制作現場にあるスポーツイベントの価値創造~
【第10回】
 イベント・オペレーションの実務 ④スポーツイベントの価値創造 ~会場運営編~
  ~全体最適と個別最適の概念を両立させるためのイベント運営の基本戦略と運営技術~
【第11回】
 イベント・スポンサーシップの実務と実践ノウハウ ①広告価値から権利価値へ
  ~スポンサーが求める真のスポンサーシップの価値を知る~
【第12回】
 イベント・スポンサーシップの実務と実践ノウハウ ②VIK、VIS、アクティベーションとは?
  ~協賛料金の数倍の支出を伴うスポンサーによるイベント支援の価値を知る~
【第13回】
 イベント・スポンサーシップの事例 ①日本開催の国際大会における現実とその課題
  ~行政負担に依存する国際スポーツイベントと世界基準を理解しない日本のスポーツ界~
【第14回】
 イベント・スポンサーシップの事例 ②オリンピック・ビジネス
  ~最新技術のショーケースとしてのオリンピック大会の価値を知る~
【第15回】
 イベント・スポンサーシップの事例 ③FIFAワールドカップ・ビジネス
  ~テレビ中継を介在する巨大メディアとしてのFIFAワールドカップ大会の価値を知る~