Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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演習 I 小沢 健市
必修  2単位
【経済】 14-1-1130-3752-03

1. 授業の内容(Course Description)

 この演習は,ミクロ経済学の基礎を受講生諸君の発表と全受講生間での議論を通じて徹底的に学ぶことを目的にしています.ミクロ経済学の主題は,経済主体の選択の結果としての資源の効率的利用が達成されているかどうかを考察することにあります.しかし,この演習ではミクロ経済学の基礎的な分析道具の正確な理解とその応用を目的に進めたいと考えています.
 ところで,われわれが生活している経済は市場経済ですが,経済学が想定する競争市場とは程遠い状況にあります.しかし競争市場の分析を通じて,どのような場合に希少な資源が最も有効に利用されるかを学ぶことができます.われわれが現実に生活している経済はさまざまな意味で不完全な状況にあますが,理想的な状況を設定し,その論理的な思考実験を行うことによって,現実の経済は理想状態からどの程度かい離しているのか,そして理想的な状態に近づけるためには現実をどう変えていけばよいかを,われわれは知ることができます.

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ミクロ経済の基礎的概念,例えば,需要と供給といった概念の習得と基礎的な分析道具の正確な理解のために,受講生のプレゼンテーションと議論や討論を経て,ミクロ経済学の基礎概念の正確な習得をとそれを用いて現実の経済を見る目を養えるようにすることが,この演習の目標です.

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 成績評価は,受講生の出席を重視し,受講生の出席を40パーセント,プレゼンテーションを30パーセント,そして期末のレポートを30パーセントとして評価します.

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストを用いて演習を進めますから,すべての受講生は必ず下記のテキストを準備すること.
 テキスト:安藤至大(あんどう むねとも)著 『ミクロ経済学の第一歩』有斐閣 2013年.

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 テキストを用いての演習ですから,受講生は必ず予習・復習をし,演習時間内で学んだことを正確に力しておくことが不可欠です.

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 毎回,必ず出席することが必要です.

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 春学期の演習内容および計画の説明と注意事項:ミクロ経済学とは何を学ぶのかについての簡単な説明
【第2回】
 ミクロ経済学とは何かの復讐.価格と価値の違いとは何かについての説明とそれについての受講生全体でのディスカッション
【第3回】
 価値とは何かについての詳細な説明と現実例:プレゼンテーションと全体でのディスカッション
【第4回】
 価値と価格の相違に関するプレゼンテーションと全体でのディスカッション:価格と価値の相違のまとめ
【第5回】
 交換当事者間の相互の利益と交換:財・サービスの交換は交換当事者が相互に利益があると思わない限り行われない.
【第6回】
 市場における価格決定:価格はだれがどう決めるのか.価格決定の事例を用いて説明する.
【第7回】
 ミクロ経済学が明らかにしようとする目的とは何か:市場は本当に交換の利益を最大にするか.
【第8回】
 消費者の財・サービスの選択と効用:合理的な消費者は財・サービスから得られる満足を最大限大きくするように行動する.効用最大化行動の説明
【第9回】
 人々はインセンティブに反応する:大多数の消費者は彼に与えられるインセンティブ(誘引)に反応し,そのもとで自身の効用を最大化するように行動する.
【第10回】
 我々は常にある種のトレード・オフに直面しているとは本当か:トレード・オフとはいわばこちらを立てればあちらが立たずといったことを意味する.
【第11回】
 我々はいかなる場合にも何らかの機会費用に直面している:機会費用とは,われわれが何かをするときに犠牲にされた選択対象の中で最大の価値を持つ選択対象の価値で表される.
【第12回】
 我々の決定は限界で行われる:経済学でいう限界とはもう一単位あるいは追加的な一単位を意味しているが,我々の行動が限界で決まるとは何を意味するのか.
【第13回】
 需要曲線(関数)と供給曲線(関数)とは何か:消費者の支払い意思と供給者(企業)の供給意思とは何か.市場における価格決定の基礎としての需要と供給の概念を正しく理解する.
【第14回】
 経済学者が想定した理想的な市場とは:完全競争市場の説明.その有効性はどこにあるか.一つの判定基準としての完全競争市場.
【第15回】
 春学期のまとめとレポートの課題の説明,およびレポートの書き方