Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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刑法総論 II 五島 幸雄
必修  2単位
【法律】 14-1-1210-1572-02

1. 授業の内容(Course Description)

 刑法を学ぶ初心者を対象とすることから、先ず何よりも刑法に興味・関心を持ってもらうことが必要不可欠なので、授業の一環として、その都度マスコミに報道される事件等を取り上げて、日常生活で生起する事象を刑事法的観点から検討を加え、その問題点、対策、課題等につき簡明に、かつ、興味深く説明する。その上で、刑法総論の授業にとって重要な「犯罪論」の体系と理論を的確に理解することができるように、基本的項目と具体的事例問題を掲載したテキスト(下記4参照)を使用し、きめ細かな授業(講義)を行うことにより、学説や判例及び実務における刑事事件の問題解決方策等を習得させ、法学部で法律を学ぶ学生にとって必要な法的感覚、法的思考能力の涵養を図る。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ①刑法に関する基礎的な知識を習得し、基本書を通読することにより、刑事法の全体像、社会における刑法の役割を理解することができる。
 ②刑法総論の概略、特に犯罪論の体系を目次形式に繰り返し頭に入れて記憶(暗記)し、かつ、刑事法関係の勉強に必須のいわゆる法律用語を読み・書き・話すことができるようになった上で、各種犯罪に共通する犯罪の成立要件を理解し、具体的事例における刑事事件の分析、検討及び法的解決への道筋を簡明に説明する能力を身に付けることができる。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 授業への出席を重要視し、テキストに掲載された事例問題の検討、質疑応答等における積極性、自主性を勘案した上で、いわゆる出席状況・勉学意欲を60%の割合で評価した上、定期試験(又は授業内ペーパーテスト)の結果を40%の割合で加味し、総合的に判断する。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキスト(教科書)としては、五島幸雄著―『実務に即した刑法総論』(成文堂)及び五島幸雄著―『実務に即した刑法各論』(成文堂)を使用する。
 参考文献としては、刑法及び刑事実務等に興味を持てるものとして、五島幸雄著―『熱血検事駆ける!(第2版)』(法学書院)を購読しての併読を勧める。
 なお、六法全書は必携であり、『岩波基本六法』(岩波書店)、『ポケット六法』(有斐閣)のいずれかの購読を勧める。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 事前にテキストにより、授業の計画に記された項目を読んで予習しておくこと、そしてテキストを読むに当たって、必要ならば六法全書で関係条文を探して、いずれも法律用語、漢字等を間違いなく読み書きできるようにしておく必要がある。なお、授業後の教科書の精読による復習も必須である。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 ①刑法総論に引き続き、2年次で刑法各論を履修した上、各種試験の受験を目指す学生は、その対策として3年次に、特別演習・刑法(特別講義・刑法)を履修することが望ましい。
 ②原則として講義形式の授業であるが、テキスト記載の基本的項目と具体的事例問題について、学生全員から一緒に声を出して読んでもらったり、指名する学生から事例問題を読んでもらってその問題に答を出してもらうほか、その答の賛否を出席者に挙手で尋ねたりするので、学生は、遅刻せずに出席し、かつ、早退しないことが最も大切であり、できるだけ予習・復習を欠かさずに積極的に授業に参加する態度が望ましい。そして、法律の専門職を目指すと否とにかかわらず、刑事関係の法律に興味を持って、授業を楽しみながら、いわゆる実学を通して刑法理論や刑法の社会的機能を学んで欲しい。また、授業出席に際して六法全書の携帯は必須である。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 前期試験(又は授業内ペーパーテスト)の問題の解説
 刑法総論Ⅰの復習(特に構成要件該当性、違法性)
【第2回】
 日本の刑事司法と刑事裁判の基本原理(裁判での事実認定)、裁判員裁判の課題
【第3回】
 犯罪論10 責任−その1
 (1)責任の意義、本質
 (2)責任の判断、責任要素
 (3)責任能力(心神耗弱・心神喪失、刑事未成年)
【第4回】
 犯罪論11 責任−その2
  原因において自由な行為(意義、実行行為)
  構成要件該当性(特に実行行為)の復習
【第5回】
 犯罪論12 責任−その3
  違法性の意識と法律の錯誤(学説と判例)
【第6回】
 犯罪論13 責任-その4
  違法性阻却事由の錯誤
  期待可能性
【第7回】
 犯罪論14 未遂−その1
 (1)未遂犯処罰の意義と根拠
 (2)未遂犯の成立要件
 (3)未遂犯の処罰
【第8回】
 犯罪論15 未遂−その2
  中止未遂(意義と法的性格、成立要件、予備の中止)
  不能犯(意義と本質、不能犯と未遂犯の区別)
【第9回】
 犯罪論16 共犯−その1
 (1)共犯の意義と種類
 (2)共同正犯(意義と本質、共謀共同正犯・成立要件)
【第10回】
 犯罪論17 共犯−その2
  共同正犯に関する諸問題(過失犯、結果的加重犯、予備罪の共同正犯等)
【第11回】
 犯罪論18 共犯−その3
  加担犯(教唆犯、幇助犯)
【第12回】
 犯罪論19 共犯−その4
  共犯と身分(真正身分犯・不真正身分犯と共犯、判例と学説の動向)
【第13回】
 犯罪論20 共犯−その5
  共犯の錯誤(共同正犯の錯誤、加担犯の錯誤)
【第14回】
 犯罪論21 罪数
 (1)犯罪の成立と個数
 (2)犯罪の競合(観念的競合、牽連犯、併合罪)
 刑罰論
 (1)刑罰の意義と種類
 (2)刑罰の適用(法定刑、処断刑、宣告刑)
 (3)刑罰の執行と刑罰権の消滅
【第15回】
 総 括 刑法総論(特に犯罪の成立要件)の総復習
 授業内ペーパーテスト(1時間)