1. |
授業の内容(Course Description) |
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履修済み又は履修中の刑法総論、刑法各論、刑事訴訟法の概略の理解を前提としつつ、その復習を念頭に置いて刑事法関係の基礎知識の習得を図るとともに、法的バランス感覚、刑事法的思考能力の涵養に努めるため、あらかじめプリントを配付して、講義又は討論を行い、刑法理論や学説、判例を勉強するほか、現実の実務に即した犯罪の捜査処理、公判の遂行等を学び、かつ、授業の一環として、最も重点を置く刑事模擬裁判を協同作業で企画、立案、実施(実演)することにより、実践的な事実認定、法令適用、量刑の在り方等についての理解を深める。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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①刑事裁判の実情を自主的に研究、調査し、各自がその成果を持ち寄り、模擬裁判の形式で発表(実演)することができる。 ②日常生起する実際の刑事事件を法的観点から考察し、これをヒントに模擬裁判のシナリオを企画・立案して、模擬法廷で裁判官、検察官、弁護人、被告人、証人等の役割を演ずるなどしながら刑事手続の在り方を学び、これによって裁判員裁判制度を踏まえた上での刑法、刑事訴訟法を理解し、かつ、模擬裁判に向けた一連の授業を通して集団行動、協調性、団結心の重要性を体得できる。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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模擬裁判の企画、立案、練習、実演等の活動状況を50%及び講義その他の出席状況を20%の割合で評価した上、定期試験(又は授業内ペーパーテスト)の結果を30%の割合で加味し、総合的に評価する。 基本的には、模擬裁判に際しての事前準備における役割、模擬法廷における訴訟行為等を通して刑法、刑事訴訟法、刑事裁判の理解度を全般的に見た上、あらかじめ配付するプリントの設例問題については、レポーターを指名して、その発表と質疑応答による討論という参加型授業を行うので、その積極的な学習意欲を見るほか、定期試験(又は授業内ペーパーテスト)の結果も加味することになる。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト(教科書)としては、五島幸雄著―『実務に即した刑法総論』(成文堂)及び五島幸雄著―『実務に即した刑法各論』(成文堂)を使用する。 参考文献としては、刑法及び刑事実務等に興味を持てるものとして、五島幸雄著―『熱血検事駆ける!(第2版)』(法学書院)を購入しての併読を勧める。 なお、六法全書は必携であり、『岩波基本六法』(岩波書店)、『ポケット六法』(有斐閣)のいずれかの購読を勧める。
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業時間内に、模擬裁判の企画、立案、練習を完璧に行うことは困難であるから、参加可能な学生を中心として、少なくても毎月数回は自主的に授業時間外で準備学習を行うほか、模擬裁判に必要な書類、資料等については、場合によって自宅で起案することも必要になる。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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①【関連科目】刑事法の分野でさらに専門的な知識を得たい場合は、特別演習・刑法(特別講義・刑法)を並行して履修することが望ましい。 ②模擬裁判は事前に整理された内容の教材(裁判記録)を使用するのではなく、学生自身が日常生起する実際の事件からヒントを得て、協同作業で事件記録(捜査、公判資料等)を作成することから始めるので、本来のコマ数の授業時間よりも多くの学習時間が必要となるため、主体的、積極的、協調的な姿勢と取組が必要不可欠である。また、プリントの設例問題については、順次レポーターを指名して、研究結果を発表させ討論を行うので、遅刻や早退、欠席をせず、何よりも出席することが肝要である。また、授業出席に際して六法全書の携帯は必須である。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 1 自己紹介 2 オリエンテーション(授業の進め方、模擬裁判について) 3 具体的参考事例の紹介、検討と模擬裁判用事例の選択 【第2回】 1 日本の刑事司法制度 2 刑事事件の流れと裁判員制度 【第3回】 4年生(ゼミ先輩を含む。)による模擬裁判の実演と指導及び今後のゼミ運営等の意見交換 【第4回】 模擬裁判準備①(主として検察官側立証関係) 事例における問題点の検討と立証方針の決定 【第5回】 模擬裁判準備②(主として検察官側立証関係) 起訴状、冒頭陳述書等の書類の作成、図面及び証拠物等の準備 【第6回】 模擬裁判準備③(主として弁護人側立証関係) 事例における問題点の検討と立証方針、認否・冒頭陳述書等の書証の作成、証拠物の準備 【第7回】 模擬裁判準備④(主として裁判所、裁判員関係) 刑事手続(訴訟指揮)、法令の適用・量刑等の資料の準備 【第8回】 模擬裁判準備⑤(予行演習) 被告人、証人、書記官、裁判員等を含めた模擬裁判の予行演習 【第9回】 模擬裁判準備⑥(予行演習) 法定刑・処断刑・宣告刑についての評議・評決の在り方 【第10回】 模擬裁判実施 模擬裁判の反省会と意見交換 【第11回】 設例問題1 不作為犯...放火、強盗殺人 【第12回】 設例問題2 事実の錯誤...嘱託殺人、窃盗 【第13回】 設例問題3 正当防衛...傷害致死 【第14回】 設例問題4 共犯と身分...業務上横領 【第15回】 総 括 刑法総論(特に犯罪の成立要件)の総復習 授業内ペーパーテスト(1時間)
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