Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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憲法 II 金澤  誠
必修  2単位
【法律】 14-1-1210-1952-02

1. 授業の内容(Course Description)

 この講義は、日本国憲法にかんする、いくつかの裁判例や制度を理解することが目的です。テキストである、中村睦男編『はじめての憲法学(第2版)』(三省堂・2010年)を用いて、原則として、1回の講義で、ひとつの項目をとりあげて、それぞれのテーマの議論状況を考えます。
 より具体的な目標としては、やや安直ないい方かもしれませんが、公務員試験・法学検定に出題されるような憲法の問題を解くための「最低限度の能力」を身につけます。つまり、最高裁判決を中心とするいくつかの裁判例などを、理解できるようになることが目的です。
 もちろん、法学部の専門科目の講義ですから、ある程度の掘り下げた議論もする予定でいます。たとえば、あるひとつの考え方(ひとつの判決)を理解したうえで、それと対立するような考え方(裁判例や学説)も、「同時に」理解できるようになれれば、理想的です。
 憲法IIは、憲法Iで学んだことを前提にして、統治の領域も勉強します。はたして、「みんなのことを決める」ためには、いかなるルールが必要でしょうか。「みんなで仲良く決める」ってことと、「強いリーダーシップを認めること」は、「両立」するんでしょうか。
 国民投票には、どんなメリットやデメリットがあるんでしょうか。なぜ、日本では首相を選挙できないんでしょうか。これらを、(コメンテーター・池上さんになったつもりで......)誰かに「わかりやすく」説明&プレゼンテーションできる自信がありますか?

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ①憲法の分野における基礎的な知識を獲得することができる。
 ②講義でとりあげた複数の憲法判例の内容を、両当事者の主張を踏まえつつ、説明することができる(社会には、いろいろな意見があることを認識できる)。
 ③新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている、法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 試験による評価が原則です。論述式の問題が多くなると思います。試験では、基本的な概念を、正確に理解しておくことが重要となります。ただ、暗記するだけではなく、関連する学説、裁判例を踏まえて理解しておきましょう。出席状況も「考慮」することがありえます。
 場合によっては、講義中の発言による「加点」、レポートや自由報告(口頭報告)による「加点」、中間テスト(公務員試験の過去問を用いたもの)による「加点」もありえます。
 最初の講義に参加して、これら(成績評価方法、試験日程、試験内容など)を確認してください。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストとして、中村睦男編『はじめての憲法学(第2版)』(三省堂・2010年)、高橋和之編『新・判例ハンドブック 憲法』(日本評論社・2012年)
 参考文献として、芦部信喜『憲法(高橋和之補訂)(第5版)』(岩波書店・2011年)、長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編 『憲法判例百選I II(第6版)』(有斐閣・2013年)、棟居快行・赤坂正浩・松井茂記・笹田栄司・常本照樹・市川 正人『基本的人権の事件簿(第4版)』(有斐閣・2011年)、初宿正典・高橋正俊・米沢広一・棟居快行『いちばんやさしい憲法入門(第4版)』(有斐閣・2010年)、笹田 栄司・大沢 秀介・井上 典之・工藤達朗 『ケースで考える憲法入門』(有斐閣・2006年)、野坂泰司『憲法基本判例を読み直す』(有斐閣・2011年)などを挙げておきます。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 テキストの該当箇所を、可能な限り、あらかじめ読んでくることを求めたいと思います。講義が終わった後の復習もできれば、理想的です。
 資料として配布した、公務員試験等の問題を、せめて(!)解けるようになってもらいます。中間テストに連動します。もちろん、それ以上のレベルになってほしいことは、いうまでもありません。試験対策だけではない、法律科目としての面白さを、ほんのちょっとだけでも、感じ取ってくれれば、と思います。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 ①難しくいえば、社会生じている法的現象に興味を持つことが求められます。憲法(とりわけ、統治)に関する事件は、テレビや新聞などでよく報道されています。それを、自分で「発見」することが重要です。そういう報道を知っていると、講義や試験で、多少は余裕を持つことができるかもしれません。
 ②軽くいえば、憲法に関する知識は、最低限度のもので構いません。それよりも、想像力(妄想力?)をもって、実際にいろいろな紛争を見ていく姿勢が、何よりも重要です。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 イントロダクション(講義の進め方!前期とのつながりを考察します!!)
【第2回】
 経済的自由権①(法律のおかげ【せい】で、銭湯と銭湯は、「隣り合う」ことがないんですって...じゃあ、なんでラーメン屋は、あんなに「ひしめきあう」の?コンビニや、【新宿の】ドラック・ストアは...?)
【第3回】
 経済的自由権②(酒豪の「あたし」としては、お酒も最初から、ぜーんぶ自分で作りたいんだけど...日本では逮捕されちゃうってウワサが...ドイツやイタリアでは...)
【第4回】
 生存権(生活保護費を用いて、預貯金をしたら、市の担当者に怒られますか?子どもの学資保険はどう?車を買ったら?クーラーは?扇風機は?)
【第5回】
 教育を受ける権利(教科書って、どうしてつまらないの?小学校の低学年とか幼稚園とかで、クリスマスに、「サンタさんの正体」を「無理やり」教育したら、パパママ、それから、おもちゃ屋さんだって困る。。「教育」や「しつけ」を、「誰が」「どのように」「どのタイミング」でおこなうかって、意外と深いね...)
【第6回】
 外国人の人権(外国人には、人権がないってホント?ドラえもんにも人権がないの?未来のロボットだから、選挙権はなくても、「どら焼きを食べる」権利くらいあげないと~ドラえもんの動力源は?)
【第7回】
 財産権(スカイ・ツリーのようなタワー・ビル【?】を建てようかと思ったら、条例で高さを制限されました!太陽【日光】って、一体誰のもの?くさーーーいゴミ屋敷に住むのって、あたしの権利の行使?)
【第8回】
 選挙権の平等・立法過程(ハタチになったら、選挙にいってみよう!?「票数イコール愛」ですね...!?法律とソーセージの「似ている」ところは?国立国会図書館の地下って、何があるの?)
【第9回】
 立法権(①いまウワサの証人喚問って何?②国会議員のセンセーに、名誉を棄損されたらどうなる?!③二院制って何なの?ねじれ国会って何?国会議員って多すぎだしー、リストラしよう。④国会議員がサボったら、立法不作為っていうんだって?!サボりでもカッコいいんだね。さすが、センセー、お得な職業だね)
【第10回】
 行政権(衆議院の解散って、なんのためにある?アイドルグループの解散と何が違うの?ソーリって、なんでそんなに偉いの?!)
【第11回】
 司法権(裁判員制度って「誰」が作ったの?誰のためにある?裁判の傍聴マニアになってみよう!?裁判の「公開」って?なぜ、テレビで裁判を放映しないの?メモはとってもいい?写真はだめ?イラストはどう?)
【第12回】
 地方自治(国会議員のセンセーとは違って、○○市長は、どうしてあんなに元気なのぉ?そういえば、知事や市長は選挙で選べるけど、なんで、総理大臣は選挙で選べないの?)
【第13回】
 平和主義(日本国憲法という場合、結局は、9条論が一番モメます!そういえば、いつも朝まで討論しているひとがいますね...でも、いつも結論が出ない...)
【第14回】
 国民主権(「本当の主役は、テレビの前のあなたです」。そう、最後に決めるのは、国民です!!じゃあ、日本では、なんで「ガチ」で、国民投票しないの?原発の是非を、国民投票で決めるべきというのは正しい?)
【第15回】
 まとめにかえて