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授業の内容(Course Description) |
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日本古代国家の基礎に首長制を見出す有力な見解がある。それには原始共同社会と変わらない社会的分業が未発達な「アジア的共同体」と、これに伴う総体的奴隷制社会を想定する理論的な背景がある。近年初期国家論などの議論もあり、あらたな検討が求められている。 弥生のクニグニは、巨大な環濠集落をなしたが、環濠集落は古墳時代に消え去り、そして豪族居館の環濠と土塁のある時代となる。また6C末にはそうした環濠と土塁が消え去り、隋書倭国伝には飛鳥の宮に「城郭なし」と記す。こうした変化の中に政治と社会の大きな転換のあったことが想定される。 こうした巨大環濠集落の消滅について古代村落史研究では意味づけられなければならないが、まだそれはない。これらの問題を究明しようとしてきた拙著『日本古代の村落と農民支配』を骨子にして日本古代社会と国家について論じたい。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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① 日本古代社会を理解するための基本となる研究状況を理解する。 ② 授業の内容で特に関心を持った問題について関心を深める。 ③ 深めた問題について自分なりの理解を4000字のレポートにまとめる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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① 毎回の授業で、授業の質問や短い感想を書いて提出する授業の出席点30%。 ② 学期末に提出するレポート70%。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストはなし。 参考図書 ① 小林昌二『日本古代の村落と農民支配』(塙書房、2000年) ② 石母田正『日本の古代国家』(石母田正著作集3巻 岩波書店) ③ 吉田 晶『日本古代村落史序説』(塙書房)
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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参考文献や授業レジュメを読む。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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可能な人は日本史特殊講義5C-Ⅱを履修する
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 古代村落史研究のあゆみから 【第2回】 古代集落の素描① 【第3回】 古代集落の素描② 【第4回】 唐の里正と村正と日本の里長と村長① 【第5回】 唐の里正と村正と日本の里長と村長② 【第6回】 「村」の語源 【第7回】 「村」語の伝来 【第8回】 村首と村長 【第9回】 百姓の朝廷召集 【第10回】 村と集落 【第11回】 村と里・郷 【第12回】 古代の開発と集団① 【第13回】 古代の開発と集団② 【第14回】 律令国家の地方支配 【第15回】 まとめ
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