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授業の内容(Course Description) |
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「東洋」の地理的範囲は広大であり、そこに住む人々のありようも歴史も様々である。「西洋」という他者と対比するのでなければ、東洋を一つにくくることにほとんど意味はないといってもよい。また、東洋各地の社会は、西洋との歴史的交わり(それはしばしば植民地支配・被支配関係というかたちをとってきた)を通じて変容し、あるいはさせられてきた。「西洋とは異質な東洋」なるものは、西洋との接触以前から、既にそこにずっとあったわけではなく、西洋とは異質な(異質であるべき)何ものかとして、他ならぬこの西洋との出会いを通して形成されてきたものなのである。 このことをふまえ、東洋の社会・文化の今を形づくってきた歴史を具体的に考えるため、本講義では西洋との接触のもとにおかれた南アジア世界、とりわけ近代インドを取り上げる。今なお「カースト社会」というイメージが内外に根強いインド社会のありようは、西欧近代との交渉を通していかに形づくられてきたのだろうか。そもそもなぜ、「インド=カースト社会」というイメージが固定化されることになったのか。ひときわダイナミックに変貌しつつある現代インドとの連続・非連続性にも目配りしながら、インド近代について多面的な理解の形成をめざす。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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歴史的深度において「社会」を捉える態度を獲得する。東洋/南アジア/インド世界についての基本的理解を形成する。また、東洋/南アジア/インドをそのなかに適切に位置づけた地球社会観の枠組みを形成する。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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平常点及び学期末に行う試験によって評価する。平常点は、各回講義についてのコメントによるものとする。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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参考書:藤井 毅『歴史のなかのカースト:近代インドの<自画像>』岩波書店、2003年。 その他の参考文献は、授業中に適宜指示する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業の前後に、参考書の関係箇所を読みこむ。授業内容についての疑問・コメントを毎回かきとめ、短文にまとめてフィードバックする。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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基本的には講義形式の授業であるが、折にふれて提起する問いかけに積極的に応答する姿勢で授業に臨んでほしい。私語厳禁。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション(1):「東洋」という問題設定 【第2回】 イントロダクション(2):私たちと「インド」 【第3回】 イントロダクション(3):カーストを語る意義について 【第4回】 現代インドへのイントロダクション(1) 【第5回】 現代インドへのイントロダクション(2) 【第6回】 インドはいつ「インド」になったか 【第7回】 カーストの「発見」 【第8回】 植民地支配とカースト(1) 【第9回】 植民地支配とカースト(2) 【第10回】 カーストをめぐる語りの増殖(1) 【第11回】 カーストをめぐる語りの増殖(2) 【第12回】 カーストの実体化(1) 【第13回】 カーストの実体化(2) 【第14回】 まとめと学期末試験 【第15回】 試験解説と後期授業への展望
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