1. |
授業の内容(Course Description) |
|
「社会学Ⅰ」では、社会をマクロレベルでみる方法を示してきた。ここでは、第一に、個に立ち返り、個と社会の関係をどうみるか、という視点が重要になる。第二に、人々は、社会的役割を担い、集団を構成し、そして、合理的に設定された組織に帰属するという点を明らかにする。第三として、現在、社会学の先端領域で、社会的ジレンマについての議論が盛んである。個人が合理的な行動を行った結果、社会が望ましくない状態に陥るというものである。こうした社会的ジレンマの考え方を紹介することにしたい。第四として、社会学を含んだ社会科学の分野で、社会関係資本という用語が注目を集めているが、それは、関係性それ自体、そして、社会に埋め込まれたものが資本として作用するというものである。こうした考え方をその測定なども踏まえて、明らかにすることにしたい(以上、「人と社会の関係」)。 一方、社会問題が多発している現状を考慮に入れて、第五に、そもそも社会問題を如何に捉えるか、ということを明確にする。さらに、第六として、日本社会における社会問題の諸相について言及する。第七に、人々が「共に生きる」という共生社会が、こうした社会問題の解決に寄与するという点を明らかにする(以上、「社会問題の理解」のパーツ)。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
①社会をみる眼として、人と社会の関係について理解すること。 ②人々の関係性、すなわち、ネットワーク、信頼、互酬性の規範の在り方が、社会にどのような影響を与えるか、という点について考えること。 ③「組織の中の人間」というテーマについて考えること。 ④社会問題が激化する現代社会において、社会の捉え方を身につけ、どのような社会問題があるか、解決法は何か、という点について考えること。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
成績評価は、「社会学Ⅰ」と同様に、出席点(20%)、および、試験(80%)による。テキスト、およびノート、配布資料は、持ち込み可とする。試験では、①授業の内容を理解しているか、②それを踏まえて、自ら如何に考え、社会の中の一員としてのスタンスを確立しているか、共生社会の一員としてのあり方を考えているか、という点を重視して評価する。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
テキストは、「社会学Ⅰ」と同様に、社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座:社会理論と社会システム、社会学』中央法規、2014。また、授業中、関連する図書を紹介する。さらに、プリントを配布する。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
授業では、テキストを使用し、さらに、範囲外のことについても、具体的な社会問題に言及しつつ、講義していく予定である。従って、テキストを事前に読み、理解し、また、授業後、授業で講義されたことをもとに、テキストの内容を補完し、現代の社会問題について、理解を深めることが望まれる。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
本講義では、社会学的なものの見方、そして、現代的な社会問題について、論じることにする。従って、新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどを通じて、常に現代社会に関心をもって欲しい。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 (イントロダクション) そもそも個人と社会の関係はどうか、社会は個人の単なる集計以上のものか(いわゆる、創発的性格の問題)、ということについて考える。 【第2回】 (社会的行為) 社会的行為について、その考え方を示し、さらに、ミクローマクロリンケージという問題との関連で明らかにする。 【第3回】 (社会的役割) 人々の社会的役割とは何か、自己と他者(自己の形成)との関係、社会的役割と社会的地位の関係は何か、という点について明らかにする。 【第4回】 (社会集団Ⅰ) 集団とは何か、理論的に明らかにする。 【第5回】 (社会集団Ⅱ) また、集団類型とは何か(例えば、ゲマインシャフトとゲゼルシャフト)、という点について明らかにする。 【第6回】 (組織) 近代組織の成立について、20世紀を概観し、とりわけ官僚制について議論し、さらに、組織の多様性という現代的課題について検討する。 【第7回】 (社会的ジレンマ) 社会的ジレンマの代表例として、囚人のジレンマ、共有地の悲劇の考え方を示し、さらに、ジレンマ解消の方法を模索する。 【第8回】 (社会関係資本Ⅰ) 社会連帯の考え方の系譜を辿る。 【第9回】 (社会関係資本Ⅱ) 社会連帯との関係で、社会関係資本の考え方を明らかにし、マイナスの側面としての社会的排除について検討する。 【第10回】 (共生社会と権利) 人権意識、差別、人権、生存権、社会権の観点から、共生社会の方向性を模索する。 【第11回】 (社会問題と逸脱行動) 社会問題とは何か、という問いについて検討し、とりわけ、犯罪を社会的な産物として捉え、社会病理現象を解明する。 【第12回】 (社会問題の諸理論) ラベリング理論、社会的構築主義の考え方を明らかにする。 【第13回】 (社会問題 各論Ⅰ) 非行の現状、その原因について検討する。 【第14回】 (社会問題 各論Ⅱ) いじめと引きこもり、児童虐待などについて扱う。 【第15回】 (まとめ) 以上、人と社会の関係、社会問題の現状について、総括する。
|