1. |
授業の内容(Course Description) |
|
「心理的異常」とはどのようなものなのか? それらへの対応はどのように行なわれているのか? そもそも「異常」という言葉を用いることに問題はないのか? 「心理的異常」に対応するのは心理学だけなのか? 精神医学や福祉学との関係はどうなっているのか? この文献研究では、心理面における不適応や逸脱、偏り、疾病といった、いわゆる異常心理学で取り上げられる概念について、文献を通して理解を深めていく。その上で、「心理的異常」に対して、どのような取り組みがなされているかを、特に心理療法にしぼり検討する。 前期の文献研究 I では、異常心理学で示される概念である、統合失調症、気分障害、不安障害、摂食障害、人格障害、発達障害その他さまざまな問題について、グループ別に複数の文献を集め、議論を通して理解を深める。 後期の文献研究IIでは、心理療法として代表的なものをテーマとして設定し、複数の文献を集め、議論をしながら理解を進めていく。対象となる心理療法は、精神分析療法、クライエント中心療法、行動療法、認知行動療法、家族療法、集団療法、森田療法などである。 カウンセリングの実際に関心のある人、将来臨床心理士を目指し大学院に進学しようと考えている人、心理学と社会との関係に関心のある人に、適切なゼミである。異常心理やそのかかわりとしての心理療法に関する議論を行なう中で、さまざまな生き方について学び、異常心理に対する偏見を排し、自らの内面の傾向についても考えてもらいたい。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
異常心理や心理療法について、基本的知識を得て、有意義なディスカッションできるようになること、また授業で得た知識を持って自ら異常心理や心理療法についての学修を深めていける水準に達することが目標である。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
出席点50%、発表内容20%、ディスカッション内容15%、レポート15%
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
『よくわかる臨床心理学(改訂新版)』 下山晴彦編 ミネルヴァ書房 『新しいメンタルヘルスサービス』 元永拓郎著 新興医学出版社
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
テキストや参考文献をよく読み、関連する書籍や文献を検索して読み込むとともに、授業内で発表するための準備を行う。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
異常心理学と心理療法に関して、自ら関心のある項目やあてがわれた項目について、主体的に文献を探し、そして丁寧に読み込むことが要求される。文献は、書籍のみならず学術雑誌を対象とし、最新の知識を得る作業を行ってほしい。授業の展開によっては、体験的理解を深めるためのワークセッションを行なう場合もある。 この文献研究は発表とグループディスカッション形式で行うため、参加者の意欲と主体性、協調性が重要となる。また文献の理解にとどまらず、自分自身が関心を持った臨床と心に関する概念を主体的に学び発表する姿勢が必要となる。 履修希望者は、この文献研究を履修しようと思った動機や思い、将来の方向性などを詳しくかつ意欲的にアピールすること。 教科書としてあげた「よくわかる臨床心理学」は、入門書であり、この本を参考にしながら、多数の文献探しの旅に出てほしい。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
<前期> 【第1回】 ・前期ガイダンス(この文献研究の進め方) ・異常心理学と臨床心理学との関連 ・グループ分け/グループワーク 【第2回】 ・異常心理学の基本 ・グループワーク 【第3回】~【第14回】 ・該当する項目についての発表(担当グループ) ・グループワーク 【第15回】 ・前期のまとめ ・異常心理学の最近の課題(元永担当) ・課題レポート <後期> 【第16回】 ・後期ガイダンス ・心理療法理論の概要 ・グループ分け/グループワーク 【第17回】 ・心理療法のさまざまな展開 ・グループワーク 【第18回】~【第29回】 ・該当する項目についての発表(担当グループ) ・グループワーク 【第30回】 ・後期のまとめ ・心理臨床家になるために必要なこと ・理論と臨床実践との関係 ・課題レポート
|