Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
行動規範論 I 宇多 浩
【Ⅱ】  2単位
【Ⅱ 人の心と思想を学ぶ】 14-1-1501-0738-03

1. 授業の内容(Course Description)

 行動規範論Ⅰでは、道徳や倫理に関する哲学者たちのさまざまな学説を紹介し、それを通じて、「道徳とは何か」という問題を考えていきたいと思います。
 講義では、おもに人間の行為について、行為の道徳性はどこに根拠をもつのか、行為の道徳性はいかなる基準によって判定されるのか、といった問題について考察していきます。(授業の内容と順序は、若干変更することがあります。)

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ・道徳理論に関する基本的な概念や理論を説明することができる。
 ・行為の道徳性の根拠について、とりわけ功利主義とカントの倫理学の違いについて説明することができる。
 ・「道徳とは何か」について、自分自身の見解を論理的・説得的に表現することができる。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 ・中間試験(50%)、期末試験(約50%)によって総合的に評価する。
 ・定期試験は論述形式とし、資料等の持ち込みは認められない。
 ・評価は厳正に行うため、普段から授業に出席して授業内容を理解していることが前提となる。出席していても、授業内容を理解していなければ、単位の取得は困難であるので留意されたい。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキスト:レイチェルズ『現実をみつめる道徳哲学―安楽死からフェミニズムまで』(晃洋書房)
 参考文献:ネーゲル『コウモリであることはどのようなことか』(勁草書房)

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 ・テキストの中にある、授業の内容に対応する章を読んでから授業に臨むこと。
 ・授業の中で理解できなかった箇所は、テクストや関連文献を調べて、理解・確認しておくこと。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 私たちは物事の善悪や、正不正といった言葉を普段何気なく使用していますが、それらの意味について自覚的に考えることはありません。しかしこれらの言葉も、その歴史をたどれば実に多くの含蓄をもっており、多くの哲学者や思想家によって探求されてきました。
 講義では、私たちがごく日常使用している倫理的な基本概念を、その背景にある思想や理論にまで遡って考察していきます。このような内容に関心のある方の受講を要望します。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 授業の概要 ― 倫理学的に物事を考えるとはどのようなことか、について説明する。
【第2回】
 道徳と宗教 ―「道徳は宗教に基づくか」という問題について考察する。
【第3回】
 利己主義と利他主義 ― 心理学的利己主義の立場を検討し、利己主義と利他主義の関係を考察する。
【第4回】
 社会契約説(1)ホッブズの社会契約説を考察し、社会契約説のもつ道徳的な意味について検討する。
【第5回】
 社会契約説(2)社会契約説のもつ道徳的な意味をさらに考え、その問題点を見ていく。
【第6回】
 文化的相対主義 ― 「道徳は各々の文化に相対的なものである」という文化的相対主義について考察する。
【第7回】
 中間試験
【第8回】
 功利主義(1)「行為の道徳性は行為がもたらしうる幸福の全体量によって決められる」とする功利主義の立場についてみていく。
【第9回】
 功利主義(2)行為功利主義と規則功利主義の違いについて考察する。
【第10回】
 カントの倫理学(1)「行為の道徳性は行為者の意志のあり方によって決められる」とするカントの倫理学について考察する。
【第11回】
 カントの倫理学(2)カント倫理学の基本原理である定言命法について考察する。
【第12回】
 カントの倫理学(3)カントの人格性に関する定言命法を理解し、〈人格の尊厳〉の意味について考える。
【第13回】
 道徳的運の問題 ― 道徳的運(意のままにならない要素)は行為の道徳的評価にどのように関係するのか、とう問題を考察する。
【第14回】
 刑罰の問題 ― 刑罰の意味や目的について、功利主義・カント的な応報主義、それぞれの立場から見ていく。
【第15回】
 まとめと期末試験