Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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地域情報論 II 野本  敬
【Ⅳ】  2単位
【Ⅳ 社会と経済のしくみを学ぶ】 14-2-2120-1890-04

1. 授業の内容(Course Description)

 われわれはふだん自分の暮らす「地域」はあらかじめ決まったまとまりと考えがちだ。しかし、実際は地域の区分やその状態は長期的な人間の営みと関わりとの中で形成されてきたものである。
 本講義では中国雲南省の生態環境史について学ぶ。雲南の歴史上における人間の営みと「地域」の区分、社会の変容、生態環境との相互関係を通して、こんにち我々自身が直面する環境問題や地域社会とのかかわりについて考える契機としてもらいたい。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 人間の活動とその地域の環境との相互作用について簡潔に説明できる。
 また、歴史的な変遷によって社会や政治システムに影響を与えるメカニズムについて説明できるようになる。
 人間活動と資源管理の実例の学習を通じて、われわれがこんにち直面する課題についても比較し意見を述べられるようになる。
 さらには生態環境史の学習を通し、われわれが直面する環境問題や地域の現状について独自の見解を示せるようになることを期待したい。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 期末試験(85%)及び平常点(15%)より評価する。平常点は出席確認を兼ねた不定期のレスポンスペーパー及び出席状況より判断する。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 以下の文献を基本とする。
 『雲南の歴史 アジア十字路に交錯する多民族世界』川野明正、白帝社、2013年
 更に下記の文献を主な柱として講義を進める。全体の枠組み理解のために適宜目を通しておくことを強く期待する。
 『中国雲南少数民族生態関連碑文集』唐立(編)、総合地球環境学研究所、2008年
 論集 モンスーンアジアの生態史―地域と地球をつなぐ(第2巻)『地域の生態史』クリスチャン・ダニエルス(責任編集)、弘文堂、2008年
 『コモンズの地球史――グローバル化時代の共有論に向けて』秋道智彌、岩波書店、2010年
 『東ユーラシアの生態環境史』世界史リブレット83 上田信、山川出版社、2006年
 必要な場合参考資料を適宜配布し、関連文献はその都度紹介する。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 準備学習・復習を前提として講義を行う。具体的には授業初回に指示するが、各回毎の参考文献の購読が主になる。講義で紹介した内容は文献の購読により各自で理解を深めておくこと。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 授業時間外の学習を前提として講義を行う。各自関心を持った事項については図書館の活用等を通じ自主的な学習を期待する。
 なお、講義中は私語を慎むこと。
 また、資料は原則その該当時間内のみ配布のため注意すること。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 イントロダクション:雲南省とは?
【第2回】
 雲南の民族と文化
【第3回】
 雲南各民族の生業と地理的分布
【第4回】
 雲南の生活と技術①山地農業:焼畑 
【第5回】
 雲南の生活と技術②山地農業:棚田 
【第6回】
 雲南の生態環境史①イントロダクション
【第7回】
 雲南の生態環境史②移民と入植
【第8回】
 雲南の生態環境史③鉱業開発とその影響
【第9回】
 雲南の生態環境史④碑文にみる地域社会のすがた
【第10回】
 雲南の生態環境史⑤碑文からみる環境変遷
【第11回】
 雲南の生態環境史⑥碑文からみる資源管理
【第12回】
 雲南の生態環境史⑦碑文からみる環境認識
【第13回】
 「コモンズ」とは何か
【第14回】
 「賢明な」環境利用とは何か
【第15回】
 まとめ(予定)