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授業の内容(Course Description) |
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この授業では、エネルギーとは何かを、経済学の視点から、わかりやすく説明する。日本経済を前提に、エネルギー種別に、エネルギーについての基礎知識のない学生にも理解できるように説明し、より経済学的なアプローチをする「エネルギー経済II」を受講するための基礎知識を提供する。 エネルギーは、食料と並び、日々の生活や産業活動に必須のものである。しかし日本のエネルギー自給率はわずか4%であるため、エネルギーを安定的、安価に確保することは極めて重要な政策である。エネルギー政策立案のためには、個々のエネルギーについて、経済社会的な特性を知る必要がある。 本授業では、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力となどの主要1次エネルギーだけでなく、電力・都市ガスなどの2次エネルギーについても説明する。また、太陽、バイオマスのような自然エネルギー、シェールオイル、メタンハイドレートなどの新・化石エネルギーについても触れる。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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(1) エネルギーとは何かを、経済学の視点から、理解する。 (2) 各種エネルギーについて、他の財とは異なる特徴を把握する。 (3) エネルギー経済の基礎知識を習得する。 (4) 現実のエネルギー経済の動きを通して、実態経済を理解する。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験による、平常点を加点する。(100%)
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは使わず、パワーポイントを中心に説明する。必要に応じて、プリントを配布する。参考文献は、授業の中で適宜紹介する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業の中で、産業・資源エネルギー経済に関するニュースを採りあげて説明するので、各種メディアの日々の経済ニュースをチェックする習慣をつけること。とくに、日本経済新聞は、常時チェックすることが望ましい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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私語など他の受講生の迷惑になる行為は認めない。 授業は、知識を得るだけの場ではない。講義を聞き、自ら考え、経済・社会の事象についての見方、考え方を確立してほしい。 パワーポイントを見て、話を聞いて、その要点をノートするという能力を涵養すること。実社会に出れば、必須の能力である。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション:エネルギーとは何か、エネルギーの単位・種類、1次エネルギーと2次エネルギーの区別、エネルギー・フロー 【第2回】 石油(1):石油とは何か、国内の石油産業の産業構造・産業組織 【第3回】 石油(2):石油の需給、石油価格の決定要因、産油国と消費国の国際的パワーゲーム、石油の国際市場、石油の開発、権益確保 【第4回】 石油(3):石油の備蓄、石油不足時の危機管理システム、石油ショック 【第5回】 石炭:石炭の種類、国内石炭産業の崩壊(エネルギー革命、労働争議、国際価格との乖離)、石炭政策と地域経済(産炭地域振興政策、夕張市の財政破たん) 【第6回】 天然ガス:天然ガスとは何か、LNGとは何か、パイプライン天然ガスとLNGの市場構造、取引形態(長期契約・Take or Pay契約)、天然ガスを巡る国際紛争(東シナ海ガス田問題、オーストラリア・PNGの国際協定) 【第7回】 新・化石エネルギー:シェールガス、シェールオイル、オリノコ・サンド、オリノコ・タール、メタンハイドレートの開発動向 【第8回】 電力・ガス(1):電力・ガス産業の産業組織、電力・ガスの市場の特徴、電力・ガス価格決定システム、規制緩和、安定供給義務 【第9回】 電力・ガス(2):前回の続き 【第10回】 原子力:原子力発電のしくみと特徴、立地・保安・放射性廃棄物政策、核燃料サイクル・高速増殖炉政策・核融合技術、事故の原因 【第11回】 自然エネルギー(1):太陽光発電の原理と特徴、導入促進政策、買い取り制度、コスト、限界 【第12回】 自然エネルギー(2):バイオマスとは、導入政策、賦存量、コスト、バイオマスエネルギーが食料価格に与える影響 【第13回】 省エネルギーとエネルギー技術の開発:産業・民生・運輸・業務の各部門別の省エネルギー対策、エネルギー技術の開発動向 【第14回】 鉱物資源:鉄鉱石、非鉄金属の開発・精製、レアメタル問題、都市鉱山 【第15回】 総括:エネルギー選択を考える要素(経済動向、需給・価格・コスト、確保可能性、技術的安全性)
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