Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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国際理解 II - I 並河 良一
選択  2単位
【人間文化】 14-1-1110-3746-25A

1. 授業の内容(Course Description)

 WTO(世界貿易機関)体制、FTA(自由貿易協定)を中心に、自由貿易の現実について説明し、国際経済を具体的な形で理解する。
 オーソドックスな国際経済学の講義方法では、「一般論としての貿易論」を先に学ぶが、TPP問題の形で、ニュースで採り上げられることの多いWTO、FTAを先に学ぶことにより、国際経済を具体的な形で、興味を持って理解できる。「一般論としての貿易論」は「国際経済論II」で講じる。
 資源、食料を自給できない日本は、自由貿易がなければ、存立できない。世界には、経済規模、資源・労働・資本・技術のレベルの異なるさまざまな国・地域が存在しており、世界全体、各国・各地域が発展していくためには、自由貿易が必要である。他方、自由貿易は、発展途上国、弱い産業、遠隔地域に不利に働くこともある。WTO、FTAを通じて、海外貿易・直接投資の本質を明らかにし、「国際経済論II」を学ぶ基礎とする。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

(1) 自由貿易が、世界経済において果たす機能を理解する。
(2) 日本経済における、自由貿易の必要性を理解する。
(3) 自由貿易をめぐる利害関係を理解する。
(4) 現実の国際経済の動きを通して、実態経済を理解する。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 定期試験による、平常点を加点する。(100%)

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストは使わず、パワーポイントを中心に説明する。必要に応じて、プリントを配布する。参考文献は、授業の中で適宜紹介する。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 授業の中で、経済ニュースを採りあげて説明するので、各種メディアの日々の経済ニュースをチェックする習慣をつけること。とくに、日本経済新聞は、常時チェックすることが望ましい。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 私語など他の受講生の迷惑になる行為は認めない。
 授業は、知識を得るだけの場ではない。講義を聞き、自ら考え、経済・社会の事象についての見方、考え方を確立してほしい。
 パワーポイントを見て、話を聞いて、その要点をノートするという能力を涵養すること。実社会に出れば、必須の能力である。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 イントロダクション:自由貿易とは
 (注:【第2回】以降の内容は、学習の進捗状況、学生の理解の程度などにより、採りあげる内容・説明の順番を変更することがある。)
【第2回】
 自由貿易と産業構造・消費者
【第3回】
 ブレトンウッズ体制:背景、GATTの推移と限界
【第4回】
 WTOとは:組織、機能、紛争解決手段
【第5回】
 WTOの対象分野:貿易と環境、貿易と労働
【第6回】
 WTOの対象分野:規格・技術、知的財産
【第7回】
 WTOの挫折と限界
【第8回】
 FTAとは:FTAとWTOの関係
【第9回】
 FTAの事例:EU、NAFTA、日本のEPA
【第10回】
 TPPをめぐる議論
【第11回】
 自由貿易と発展途上国、産業空洞化
【第12回】
 事例(1) セーフガード:自由貿易と国内地域経済
【第13回】
 事例(2) 農業補助金と直接支払い
【第14回】
 事例(3) 自由化できない障壁
【第15回】
 総括:自由貿易と市場経済、自由貿易と南北問題