Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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法律学演習 IV 金澤  誠
選択  2単位
【法律】 14-1-1210-1952-10A

1. 授業の内容(Course Description)

 この演習は、憲法の「講義」などで得た知識を手かがりにして、もう少しだけ「身のまわりの法律」を覗いてみることが目的です。憲法にも、たくさんの判決(や制度)があります。その数が多いために、講義などでは、どうしても「結論」と、「最低限度の理由」しか勉強できなかったと思います。
 この演習では、「原告がどう攻めたか」、「相手がどういう『防御』をしたか」、「どういう場合であれば、『正反対』の結論が出たか」といったことを意識しながら、(できあがった)判決を、分析・解読(解凍・調理)してみます。そして、裁判官を含む、当事者たちの「気持ち(?)」を考えてみたいと思います。
 昨年の後期は、学生さんの熱意(?)もあり、模擬裁判ばかりをおこないました。まじめなプレゼンとユーモアあるパフォーマンスを組み合わせる。自分たちで最初から最後まですべておこなう。相手チームに負けないためには、どうしたらいいかを、性格悪く(!)考えてみる。
 裁判員の前で発表してみる。票をもらうプレゼンとは何かを考える。判決前に少し緊張する!慰労会をおこなう。新しいチームを組む。次はどの役をやろう?視点を変えてみる。弁護人?裁判官?鑑定人?反対尋問?
 このサイクルのすべてが、学修(習)・研究だと思います。いずれにせよ、素材選びにしても、普段の盛り上がり・遊びにしても、皆さんの「顔ぶれ」にかかっています。演習の主役は、学生のみなさんですので、そのことをお忘れなく...。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ①憲法にかんするより高度な知識を獲得し、憲法問題について、その問題点を的確に把握し、問題解決のための提言をおこなうことができる。
 ②新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている、法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。
 ③講義でとりあげた判例や制度に関連する問題を、自分で発見し、それにかんする解決方法を提示・説明できる(自分ひとりで、ある程度の分量のレポートや報告書を書けるようになる。説明・プレゼンテーションが上手くできるようになる)。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 参加することが重要です。発表やプレゼン(場合によっては、レポート)の内容(の上達度)も考慮します。報告者は、割り当てられた文献ないし判決を要約し、論点を提示しながら、自己の見解をレジュメ(または、PP)にまとめます。発表をする際には、図書館に通って、勉強をする必要があります。コピペは、禁止です。すぐバレます。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 参考文献として、棟居快行ほか『基本的人権の事件簿(第4版)』(有斐閣・2011年)、笹田栄司ほか『ケースで考える憲法入門』(有斐閣・2006年)、野坂泰司『憲法基本判例を読み直す』(有斐閣・2011年)、戸田山和久『論文の教室 レポートから卒論まで』(日本放送出版協会・2002年)、西南法学基礎教育研究会『法学部ゼミガイドブック: ディベートで鍛える論理的思考力』(法律文化社・2012年)などを挙げておきます。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 ①難しくいえば、社会で生じている法的現象に興味を持つことが求められます。ケンポーにかんする事件は、よく報道されています。それを、自分で「発見」することが重要になります。
 ②軽くいえば、ケンポーは、民法、刑法、労働法、社会保障法、政治学などの領域にかかわっています。そうした学問領域を、「つまみ食い」できる(お買い得な?)科目ともいえます。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 ①この演習は、プレゼンや議論をするという「積極」的な作業をおこないます。そうしたことに興味ある「好奇心のある」学生さんの受講を歓迎します。自分のテーマを考えておいてください。
 ②楽しみながら勉強することが演習のコンセプトです。たまには、苦しんでもらいます。でも、ゼミでの恥は、もしかしたら、いつかは、いい経験に変わるかもしれません(?)。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

 より詳しい授業計画は、初回のガイダンスで説明したいと思います。
 ①まず、必要であれば、文献の探索の仕方を勉強します。最初のうちは、教員主導型で、みなさんの意見を聞きながら、演習をおこなっていきます。(第1回-第5回)。
 ②教員が用意した文献や判決などを読んでもらい、それをもとにして、報告者、司会者などを決めて、討論をおこないます。その際には、ひとつの事件においては、複数のこたえ(最高裁の多数意見と反対意見、あるいは、最高裁判決と下級審判決)が成立しうることを「理解」することが重要となるでしょう。希望する判決や事件などがあれば、それに差し替えることもあります(第6回-第15回)。
 ③自分が関心を持った学説や判決をとりあげて、さまざまな見解をふまえたレポート(PPも含む)を書く(作る)という作業をおこないます。工夫次第では、(法廷教室などで)「模擬裁判」の形態(原告側と被告側の対戦型)をとること、グループ・ディスカッションや、ディベートの形態をとることも可能です(第13回-第15回)。
 ④細かいことは、みなさんの意向を踏まえて決めます。最近のゼミの様子を見ていると、「対決」型や「模擬法廷」などの方式にしたほうが、面白くなるようです。
 ⑤ときどきは実力試しに、「公務員試験の問題」を解いてみるのもよいですし、フィールド・ワークとして、裁判の傍聴会や施設見学会や、レクレーションを企画するのも、いいと思います。
 ⑥いずれにしても、レクチャーというものを「一方的に」聞く講義とは異なる、演習(ゼミナール)の雰囲気を感じてくれるとありがたいです。報告の仕方、人数等についても、相談のうえで、決めていきます。