Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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社会システム論 I 三重野 卓
選択  2単位
【社会】 14-1-1350-3251-17A

1. 授業の内容(Course Description)

 本講義では、①「何らかの要素の集合からなり」、②「それらは、相互連関関係にあり」、③「何らかの法則により規定され」、④「ひとつのまとまりをなしている」というシステムについて検討する。システム思考は、こうしたシステム、および情報、制御から成り立っているが、ここでは、社会現象に適用し、社会システム論に焦点を合わせることにする。
 社会システム論には、幾つかの立場があるが、具体的には、第一に、当該社会を構造(相対的に安定したパターン)、機能から考える構造機能主義、第二に、サイバネティックの考え方、第三に、自己組織性(主体が、環境に適応しながら自らを変えていく)のシステム、第四に、複雑系の科学(各主体が、複雑に非線形的に関連しあうという視点)について解説する。
 さらに、第五に、社会を構成する要素として、価値システム(「望ましさ」に関する規範、観念。統合の役割を担う)、第六に、文化システムについて検討を行い、また、情報化に焦点を合わせ、情報の反復性、冗長性といった時代状況の中で、人々の「生活の質」が損なわれていることを明らかにする。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ①社会をシステム(相互連関関係からなる)として捉える眼を養うこと。
 ②さまざまなシステム論の立場を理解して、理論的、論理的な思考を身につけるようになること。
 ③実際に社会を構成する要素(経済システムなど)について、理解を深めるようになること。
 ④「生活の質」(クオリティ・オブ・ライフ)の考え方を理解し、情報化社会のマイナスの側面について、考える機会とすること。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 成績評価は、出席点(20%)と試験(80%)による。試験は、配布資料、ノートを持ち込み可とする。成績評価においては、①授業の内容を如何に理解しているか、②それにより如何に社会現象、社会システムについての理解を深めているか、といった点について評価する。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストは、特に指定しない。授業中、随時、参考文献を紹介し、かつ、プリントを配布する。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 最初の授業において、授業内容、授業計画を示し、文献も紹介する。それにより、授業に出席し、また、授業後、内容を復習して欲しい。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 社会は、さまざまな要素(主体)の相互連関関係から成り立っている。システム思考を身につけ、社会現象に適用し、社会をみる眼を養って欲しい。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 (イントロダクション) 授業の見取り図を描き、全体の授業のイメージを提示する。また、参考文献を紹介することによって、授業への取り組みが容易になるようにする。
【第2回】
 (システムを見る眼Ⅰ) インプット、アウトプット、プロセス、構造、機能などの解説を行う。
【第3回】
 (システムを見る眼Ⅱ) さらに、システム、サブシステム、制御などの解説を行う。
【第4回】
 (情報概念) 情報概念は、さまざまに使用されているが、ここでは、「意味をもった記号の集合」という立場を採用する。
【第5回】
 (構造機能主義Ⅰ) 社会を構造(相対的に安定したパターンとしての構造。例、役割、集合体、価値、規範)、機能(システムの作用)として捉える構造機能主義の立場について解説する。
【第6回】
 (構造機能主義Ⅱ) さらに、社会的資源の配分、構造変動(社会変動)などについて規定して、構造機能主義の動態化の可能性についても言及する。
【第7回】
 (サイバネティックスⅠ) 通信と制御の科学としてのサイバネティックスの考え方を示す。
【第8回】
 (サイバネティックスⅡ)サイバネティックスの考え方を、政策、計画へ適用する。  
【第9回】
 (自己組織性Ⅰ) 主体が環境に適応しながら、自らを変革していく、という自己組織性の考え方について解説する。
【第10回】
 (自己組織性Ⅱ) 自己組織系の考え方の社会現象への適用について検討する。  
(第11回)
 (複雑系の科学) 各主体が、複雑に関連しあいながら、新たな「質」を生むという複雑系の科学の立場を示す。
【第12回】
 (価値システム) 価値の多様化、相対化、その規定力の弱体化という時代状況の中で、将来の価値の方向性を考える。
【第13回】
 (文化システム) 文化の定義の多様性を明らかにし、生活様式の体系としての文化、当該社会を成り立たせるコード(約束事)としての文化などの視点から、現代的状況を把握する。
【第14回】
 (情報化社会と「生活の質」) 情報概念を踏まえ、情報化社会の諸相を示し、かつ、情報が冗長になり、反復すると人々の「生活の質」が損なわれることを明らかにする。
【第15回】
 (まとめ) 以上、システム思考、さまざまなシステムをめぐる論理、全体システムの下位システムについて、総括する。