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授業の内容(Course Description) |
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このセミナーでは、「対話」の楽しみを知っていきます。対話とは、ただ茶飲み話的に気軽に話すのでもなければ、まなじり決してきちんとしたことを言おうと意気込むのでもない、他者とともに考え語り合う喜びを純粋に味わう営みです。ひとつのテーマについて、それぞれが本当に思うことを正直に語り合い、たがいに違う視点で疑問を投げかけあい、ともに考えることで、テーマがもつ多面性と深さを味わい、探検する営みです。 この作業は、自分と相手とをよく知り、そのまま受け入れることを知る作業でもあります。「この人はどうしてこんなふうに考えるのだろう」と考えることは、同時に「どうして自分はこんなふうに考えるのだろう」と鏡のように考えさせられることだからです。無意識にもっていた自分の判断基準や思考の前提に気づくことで、自分という存在の深みを探検しながら、他人の住む思考世界を垣間見ることができます。場合によっては、自分が無意識にもっていた基準そのものを、意識することによって変化させ、自分が住む世界を広げていくこともできるのです。 そうやって、正直な自分と正直な他人を、安直に判断することなく、うけとめあい、深めあう、そこにわくわく感や共にある感覚が自然と湧き上がってくるならば、それが、安易な共感ではないほんとうの分かちあいであり、分かりあいなのではないでしょうか。 深く深く、自分と相手のなかに、潜っていきましょう。それをただ楽しみましょう。ただ腹を割って話し合うことで、お互いがお互いの、そして自分自身の存在の意味や役割を見つけていくことができる。対話という営みには、そんな、自然でむりがなく、楽しく世界を広げ深めてゆく力が、ひめられているのです。 後期は、前期の経験を活かし、学生自身がそれぞれに対話の場を作る実践へと移行します。この、場の主催・運営が後期の大きな成績評価ポイントになります。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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①お互いの発言を受け入れることができる。相手を負かして自分の正しさを証明するのではなく、違いを受け入れ、楽しみ、味わうことができる。 ②相手の発言をさらに深める質問を投げかけることができる。ある意見の思考の前提となっている考えがどんなものか、探りながら話せる。 ③意見と質問のキャッチボールの繰り返しによって、テーマの深みと多面性を体験しながら、それぞれが自分にとっての意味を見つける。 ④たくさんのニーズや意見が同時に存在していることを知ったうえで、それぞれの立脚点がどんなものか知り、一見対立するように見える立場に新しい共通項を発見したり、これまで注目されていなかった可能性に着目したりすることで、柔軟で多面的な策を見つける。 ⑤「たったひとつの結論」「ゆるぎのない合意」に達することなしに、ひとりひとりがその人自身であることによる有機的なずれを含んだまま、ひとつの共同作業をすることが可能であることを知る。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席・発表・受講態度・参加度を総合的に評価。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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授業時に適宜指示。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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もやもやとした疑問や、世の中で気になること、生きていてどうしても感性にひっかかってくることに敏感に気づき、これはどんなふうにテーマ化しどんな場を設定すれば生き生きとした対話を引き出すことができるか、いろいろとシュミレートしてみる。 ちまたで実践されている対話イベントに参加してみる。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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とにかく、その場を楽しみつくす。そうやって、外側の他者に触発されることで、内側からわくわくと思考が溢れてくる体験をどんどんしてください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション 【第2回】~【第14回】 対話実践 (学生が主催運営) 【第15回】 まとめ
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