Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

スポーツ方法実習(野外活動) 倉品 康夫
選択  1単位
【現代ビジ】 14-1-1501-1734-07A

1. 授業の内容(Course Description)

 【副題】
 将来の災害・キャンプ指導・生涯スポーツ等を想定した入門教室。
 野外活動授業における「安・近・短」
 《安:安全・安価》《近:身近な自然・近郊の里山等の再認識》《短:日帰りによる日常的な野外活動》
 【活動概要】
 大学近郊の自然豊かな多摩の自然をフィールドとして、4日間の日程でキャンプ、ハイク、オリエンテーリング、冒険プログラム、里山体験プログラム等を複合して行う予定です。
 【対象学生像】
 教員志望の学生・様々な帝京アウトドアパーソン・焚き火、野外料理好き、観光系学生。
 【コメント】
 われわれは2011年3.11の東日本震災以降、戦後最大の歴史の断絶と転換点を共有し、逡巡しています。この境遇を積極的にとらえ、野外活動の冒険的・文化的探求による国民的サバイバルについて考えます。
 過日、石巻市の大川小学校にお参りしました。小学校の裏山を見て佇めば、雪が積もっていたとしても単にここに登れば済むことだったことがわかります。つまり、あれは人災です。
教員の言うことを聴かないで、勝手に裏山に逃げて、助かった子どもがいるという情報もあります。教員はこの裏山に登ることの何を恐れたのでしょう。裏山は、何故か、教材化されたり、まめに遊び場所として整備した形跡はありませんでした。教材化の手間を惜しんで、危険だから近付かない場所として片付けたのかもしれません。教員は子どもの命と引き換えに「裏山に登ってはいけません」という思い込みを守り通したのでしょうか。
 『方丈記』に「まめならば使」えとあります。やはり教育として手間暇と手足を使い自然と関係を結ぶ生き方を学ぶことが必要なようです。私はいつも、方丈記を引きます。鴨長明は平安末期鎌倉初期:地震、遷都、戦乱、飢饉、政権交代等混乱期・変動期のライフスタイルに示唆を与えてくれます。
【野外活動のミッション】
 《その1》:『自然の恵みに感謝できる生活』へのアプローチ。(内需的地域自給経済展開の可能性)
 《その2》:「連携」「公共圏」「リスクマネジメント」「自助的サバイバル」「環境保全」「一身独立而一国独立」の追及。(地方自治の補完:自助的に問題をより身近なところで解決する次の社会の枠組み)
 《その3》:持続可能性を意識したソーシャルキャピタル(人と人との繋がり)・グローバル化社会の次の社会の枠組み『人間として豊かに生きる時間デザイン』の方向性を探る。 
 【運営モットー】:「最も規律があるところに自由があり、最も自由なところに規律がある」
 ※(「団体行動」「空気を読む」等の「混乱した語彙」を用いず、人と人との繋がりの意義が認識できる空間)
 【持続可能性を意識した多様な身体文化探求内容】
 1)加齢を受け入れられる、「癒し」のスポーツ、2)「自然」と一体化するスポーツ、3)「気」エネルギーを覚醒するスポーツによる心身一元論の実践、4)体幹を意識したヨーガ、5)自然の中で行う体幹トレーニング

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 本実技でのチームチャレンジ及び個人チャレンジから、次にあげる能力を充実させます。
 《自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養う行動目標:▲認知・思考△態度・判断◎技能・表現》
 高尾山を訪ね、中世から奇跡的に多様性を保全され続けた豊かな自然環境において、△自然への敬虔な態度、▲開かれた感受性を養う。持続可能な人為的保全モデルとしての里山において、野外生活、野外チャレンジ、野外料理等の自然体験活動を通じて、◎自然を保全する野外活動を実践することができる。
《キャンプについての行動目標:▲認知・思考△態度・判断◎技能・表現》
 基礎的な◎野外生活技術(焚き火・料理・テント・ロープワーク・救急法等)を効果的に習得して△野外で楽しく生活できる。また、それは△環境負荷の少ない行動である。常に△キャンプの成果を社会に還元できるかを考え、△キャンプの知識(装備・マナー・安全・責任・リスク)について理解する。最終的に▲キャンプにおける人と人との繋がりの必要性について説明できること。将来的に◎キャンプの知識に基づき、実行可能なキャンプ計画を作成することができる。△〈理想的到達レベル〉としてはキャンプを主催することができる。 ことを目指します。
《歩行について行動目標:▲認知・思考△態度・判断◎技能・表現》
 ◎地図が読める。◎ハイキングを主催することができる。△◎歩行方法や知識を理解し、長時間の歩行を実践することができる。◎歩行ペースや安全を確認し、歩行することができる。▲自分が歩行したペース、時間、歩いた道のり、身体的と精神的疲労について対比しながら文章で説明することができる。△〈理想的到達レベル〉生涯にわたり健康維持を目的とした歩行や災害の際の徒歩による避難を想定した必要な態度や事柄について理解し文章等で説明することができる。
 《生涯スポーツとしての野外活動展望行動目標:▲認知・思考△態度・判断◎技能・表現》
 ◎体験した経験から、生涯にわたり野外活動を通じて自然に親しむことで得られる事柄について文章等で述べることができる。▲持続可能性な社会における生涯スポーツとしての野外活動の役割を説明できる。
 〈理想的到達レベル〉△四季を通じて、日本の多様な自然で遊ぶことができ、日々自然の恵みに感謝することができるライフスタイルについて記述することができる。
 《サバイバル・リスクマネジメント行動:▲認知・思考△態度・判断◎技能・表現》
 ①なんだか危なそう...と気付き・イメージ喚起ができる。▲
 ②ここが危ないんだ。明確化できる。◎
 ③ねえ、ここが危ないよ!共有することができる。△
 ④よし、対処行動の確認をしよう。安全確保する。▲◎
 ⑤今日、ヒヤリハットしたことはありますか?プロセスを改善する。△
 ◎野外活動の体験から近い将来、身辺に起こり得る危機の発生を先駆的(ア・プリオリ)に想定し、その対策、対応の在り方を具体的に立案し、文章等で説明できる。また、その予行演習(シュミレーション)として、自分・家族・仲間を守る防災的キャンプを主催することができる。△〈理想的到達レベル〉ソーシャルキャピタル(人と人とのつながり)として、地域でキャンプを企画運営することができる。
 《理想的な生涯スポーツ展望到達レベル:▲認知・思考△態度・判断◎技能・表現》
 △野外活動を運営する『スポーツを支える』体験から《ひいきチームの活躍に自らの生を仮託して勇気や感動を貰うライフスタイル》から
 《日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画して内面の充実に取り組み、自らの生を主体的に楽しむスポーツ文化探求生活》への転換について展望を述べることができる。
 △「チャンピオンスポーツ文化」「見世物体育」(嘉納治五郎、1910)「スポーツ新聞―見えない権力―」(森田浩之、2009)の世話にならない人生についてクリティカルに展望を述べることができる。△野外活動の体験から、野外スポーツ・活動において、環境負荷が少ない種目を選び取ることができて、「賭けゴルフの世話にならない生涯スポーツ人生」についてクリティカルに展望を述べることができる。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 到達目標達成度はレポート及び参与的観察から評価する。 
  レポート  20%
  事前レポート「『方丈記』を現代的視点で考察する」及び事後レポート(振り返りの記述)
  平常点評価 80%
  到達目標へのチャレンジ度。ふりかえり等の状況から判断される理解度。
 その他の観点:受容性(自己、他者、自然)・自発性・能動性・適切な自己開示・常に新鮮な認識・自己実現及び至高追求・共同社会感情・広くて深い心・民主主義性・ユーモアセンス・創造性・文化の超越・クリティカルシンキング

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 鴨長明『方丈記』(基礎授業で配布)を現代的視点で考察し、まとめる。
 【事前学習】
  ※提出方法は基礎授業で指示。
 以下の本から生涯スポーツ(野外活動)のオルタナティヴ・ヴィジョン(経済的価値より高次の価値がある文化の探求と生活スタイル見直し等)について議論する。 稲垣正浩(2001)『スポーツ文化の脱構築』叢文社、稲垣正浩(1995)『スポーツの後近代』三省堂 黒田次郎・倉品康夫ら(2012)『スポーツビジネス概論』叢文社 中野剛志編(2011)『成長なき時代の「国家」を構想する:経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』ナカニシヤ出版

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 【当事者的プログラム運営方法】
 プログラムは自然と都市のシャトル往復という観点から、準備の段階から調査のフィールドワークを学生が行い、それを持ち帰って検討することを積み重ねるという手法で、各履修学生が当事者意識を持ち且つ当事者能力を養える実技の構成になっています。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 【健康診断】
 春の定期健康診断を受診すること。   
 【説明会】
 4月初旬 ※確定次第、掲示します。(下記「授業の計画」参照) 
 【必携装備】
 雨具:梅雨ですので雨天でも実施します。唐木田D2・農協等で購入してください。土・泥等で汚れたり、濡れたりしても大丈夫な速乾性アンダーアーマー等(綿のスウェット素材は不可)。  長袖・長ズボン。帽子。踝(くるぶし)が隠れる靴下(踝は虫が大好き)。
 歩きやすい靴(ゴム長靴がベスト)。
 リュックサック・デイパック:水2ℓ、弁当、雨具、着替え等を背負える容量が必要です。
 ※すべて唐木田D2等で購入可能。
 【参加費用について】
 科目登録後に参加費として8,000円を納入する必要があります。
 ※参加費については、金額が変更になる場合があります。
 ・費用に含まれるもの:キャンプ場等利用料、4日間の食事、保険代。
 ・含まれないもの:交通費  ・装備費などが別途自己負担となります。(詳細は基礎授業にて説明します)。 
 【取得資格等】
 学習のプロセスを通して単位取得者は、社団法人日本キャンプ協会の「キャンプインストラクターの資格を取得することが可能です。(全回出席取得条件)
 別途以下の登録諸費用15,000円がかかります。
 内訳@受験料1,000円 公認料4,000円 登録料1,000円 キャンプ協会入会金2,000円 キャンプ協会年会費5,000円 事務手数料2,000円
 ※資格取得費用は金額が変更になる場合があります。
 ※納入方法:経理Gに費用納入後、領収書を5月の基礎授業で提示してください。
 ※実習のみの学生は8,000円、資格認定も希望する学生は総額23,000円となります。
 ※参加費等納入期間は説明会・掲示等で案内・通知します。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

 以下の日程はすべて掲示します。 
 【説明会日程】
  4月11日・18日金曜日6限及び4月初旬水曜日昼休み(すべて予定です掲示に注意して下さい)。
  内容:授業日程の確認。概要説明。 
 【授業日程】
  5月から6月の土日 多摩市、町田市及び大学
 ※教室は、当日変更になる場合があります。
 《基礎授業》:
  日程:5月中旬の土曜日9:30-13:00  場所:帝京大学八王子校舎(教室は掲示)
  内容:授業に関する狙いおよび注意事項等の説明。基礎的講義及びグループワーク。
  春の定期健康診断確認。
 ※終了後、希望者高尾山調査実施。
 《実技初日:ハイク》09:00~17:00(予定)
  日程:基礎授業翌日、日曜日  集合解散場所:京王線高尾山口
  内容:開講式 ハイキング
 《2日目:野外料理等》09:00~17:00
  日程:6月初旬土曜日09:00  集合場所:京王線線多摩センター駅改札
  内容:キャンプサイト設営、野外生活技術及び野外料理実習   終了予定 17:00 一本杉解散
 《3日目:里山チャレンジ等》10:00~18:00
  日程:2日目の翌日10:00  集合場所:京王線線多摩センター駅改札
  内容:里山チャレンジ活動、野外生活技術、野外料理実習及びキャンプクラフト
  終了予定 18:00 現地解散
 《4日目:講義及び試験》09:00~14:30
  日程:6月下旬土曜日  場所:帝京大学八王子校舎(教室は掲示)
  内容:実技補講、講義及び試験 
 ※天候、キャンプサイトの事情等により、計画は変更されます。 
 ※活動は「計画」通りに実行するために行なわれるのではなく、予期せぬ事態は学習の機会ととらえ、テーマ実現のために天候等に臨機応変に対応し、また、環境保全及び地域社会に配慮して行われます。 
 【準備調査及び予備日程】  
 これに前述、準備の段階から下記の班ごとに調査・準備のフィールドワークを授業時間外に行います。
 ①ハイキング②ロジスティックス及び料理③チャレンジ活動④キャンプクラフト
 以上