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授業の内容(Course Description) |
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本講義は、社会システムのサブシステムである財務報告制度を、会計情報の供給と需要という観点から理解することを目的にしている。供給に関しては、情報理論における知見、フォーマル測定理論における知見なども紹介し、検討対象とする。また、会計基準設定制度の変遷、規制の経済学の観点から見た会計基準の性格について、黒川の経験もまじえながら議論する。 需要に関しては、財務報告の目的の意義、ファイナンス理論を援用した会計情報の有用性に関する実証研究の進展について概観する。 会計システムの多様性と国際会計基準統一化運動の背景や、その結果である現代の金融、資本市場や労働市場に与える影響についても議論する。また、会計情報の供給プロセスに関する知見を踏まえ、利益の質(会計情報の質)をめぐる諸説を検討する。 最後に、公共哲学の観点から財務報告制度を考察する。 なお、秋学期の講義は概念フレームワークの検討から始める。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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財務報告制度を社会制度の一つと理解すること。概念フレームワークとは何かを理解すること。 財務情報の有用性とはなにか、それらがどのように実証されているのか。国際会計基準の特徴を検討し、資本市場や労働市場などにどのような影響を及ぼしうるのかを理解する。最後に、会計学における公共哲学の観点とは何かを理解する。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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平常点(出席と討論での貢献度)が5割。期末の課題レポートが5割。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:『アメリカ会計学ー理論、制度、実証』同友館 参考書:『日本の会計社会』中央経済社 『政府と非営利組織の会計』中央経済社
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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指定したテキストを予習すると理解が進みます。 期末に課題レポートの作成が求められます。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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私は現在、本務校の「慶應義塾大学商学部会計研究室」室長、「日本デイスクロージャー研究学会」会長、財務省「財政制度等審議会」法制公会計部会長、金融庁「企業会計審議会」委員などの公職を兼任しており、本務校の特別講義や講演会、学会、審議会などの公務が多くあります。したがって、本講義も数回休講せざるをえません。金曜日6限を利用して補講を行いますので、5限と6限の連続講義となることが数回あることをご容赦ください。 なお、春学期の講義と連続しています。会計学特講Ⅰの履修が前提です。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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第1回 「概念フレームワーク:米国」(1) 第2回 「概念フレームワーク:米国」(2) 第3回 「概念フレームワーク:国際財務報告基準」(1) 第4回 「概念フレームワーク:国際財務報告基準」(2) 第5回 「概念フレームワーク:国際財務報告基準」(3) 第6回 「会計情報の有用性:ファイナンス理論と実証研究」(1) 第7回 「会計情報の有用性:ファイナンス理論と実証研究」(2) 第8回 「会計方法の選択と統一性の意義」 第9回 「各国会計制度の多様性と国際会計基準統一化の意義}(1) 第10回 「各国会計制度の多様性と国際会計基準統一化の意義」(2) 第11回 「会計情報の供給プロセスと影響要素、利益の質の諸概念」(1) 第12回 「会計情報の供給プロセスと影響要素、利益の質の諸概念」(2) 第13回 「公共会計学の進展」(1) 第14回 「公共会計学の進展」(2) 第15回 「まとめ」
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