Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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構造安定論 (Principles of Structural Stability) 西脇 正明
1年 前期 専門科目選択 2単位
【専工前・前】 14-3-1003

1.
授業目標

航空機に要求されてきた構造軽量化が、自動車、鉄道車両など交通機械でも当然のこととなり、土木構造物および高層建築などにおいても重要な課題となっています。これらの軽量化において、座屈など安定問題に対する検討だけでなく、フラッターなどの動的不安定を考慮しないと荷重がある限界値を越えた場合に、構造の耐荷能力は大幅に低い臨界荷重で決まってしまうことがあります。本講義は、振動解析の基礎としてエネルギー概念による近似解法、安定性の概念とリアプノフの安定性定理、非保存系の安定性など基礎的な原理と法則の理解を目標とします。

2.
授業概要

本講義は、振動解析の基礎としてエネルギー概念による近似解法、安定性の概念とリアプノフの安定性定理、動的解析に必要な計算手法、非保存系の安定性、安定性判別の基礎方程式、接線方向に荷重を受ける柱、減衰力による不安定化効果、ブレーキノイズなど摩擦振動の発生メカニズム、周期的軸圧縮荷重を受ける柱の安定限界などについて解説を行います。

3.
準備学習(授業時間外の学習)

機械力学、材料力学、振動解析、制御工学の学部での講義内容の基礎知識を習得していることを前提として講義を行います。数学ではマトリクスとラプラス変換を理解していることが望ましい。
準備学習として、前回の講義内容を必ず復習しておいてください。

4.
授業計画

(1)振動問題の紹介と振動解析の基礎1:エネルギー概念による近似解法
(2)振動解析の基礎2:ラグランジュの運動方程式
(3)システムの安定性
(4)リアプノフの安定性定理 
(5)線形近似解と固有値
(6)非保存系の安定性-1:Beckの柱、Euler座屈 
(7)非保存系の安定性-2:安定性判別の基礎方程式
(8)非保存系の安定性-3:接線方向荷重を受ける柱のモデル,幾何学的方法
(9)非保存系の安定性-4:動的方法,減衰力の不安定化効果
(10)動的安定-1:演習(フラッター)
(11)動的安定-2:演習(二重振り子の振動)
(12)動的安定-3:演習(チョークの摩擦振動)
(13)動的安定-4:研究論文例紹介(ブレーキノイズに関する研究)
(14)動的安定-5:係数励振(ブランコの振動) 
(15)自励振動とその対策事例

5.
成績評価の方法、基準

レポートによる評価を中心に、演習の成績も考慮して総合的に評価を行います。

6.
使用テキスト及び使用教材

教科書を1冊で指定できないので適宜資料を配布して講義を行います。詳しい内容は下記参考書で確認できます。
参考書
①「機械振動学」末岡淳男、他、朝倉書店
②「非線形構造モデルの動的応答と安定性」藤井文夫、他 共著、コロナ社
③「工業振動学」第2版、中川憲治、他、森北出版 
④「非保存的弾性安定問題」、V.V.ボロチン 著、関谷壮、杉山吉彦、共訳、培風館
⑤「振動工学ハンドブック」、谷口修 監修、養賢堂

7.
その他

教科書を1冊で指定できないので適宜資料などを配布して講義を行います。