Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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観光経済学 II 小沢 健市
選択必修  2単位
【観光経営】 14-1-1130-3752-10

1. 授業の内容(Course Description)

 秋学期の観光経済学Ⅱでは,国際観光を取り上げ,国際観光は経済学的には貿易とみなせるとの視点から,国際観光を経済学的に分析します.国際観光は,しばしば「見えざる貿易」と呼ばれますが,その理由は,観光者が観光目的地でさまざまな財・サービスを購入し,観光目的地のさまざまな産業や企業は観光者に財・サービスを販売するためです.
 しかし,問題はなぜ貿易が諸国間で行われるのかということを論理的に説明することができるかどうかです.伝統的には,諸国間の比較優位に基づき貿易が行われることを説明してきましたが,新しい貿易理論では貿易が行われる理由は規模の経済性と製品差別化によって説明できると主張されています.この講義では,伝統的な考え方と新しい貿易理論の双方を平易に説明し,国際貿易の視点から国際観光を分析してみたいと考えています.

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 受講生が国際観光を貿易として捉えられるようになること,そして見えざる貿易としての国際観光を国際経済学の理論によって説明できるようになること.

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 講義への出席を40%,期中に実施する小テストを30%,そして期末のテストを30%として評価します.

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストは特に利用しませんが,毎回プリントを配布しますので,休まず出席することが必要です.

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 必ず復習すること.参考書を時々紹介しますから,それは必ず一読すること.

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 プリントを配布しますが,欠席者には原則として配布しませんから,休まず講義に出席することが必要必です.

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 受講に当たっての諸注意と講義計画の説明:世界の観光の現状についての簡単な説明.現在世界の観光者はおよそ11億人である.
【第2回】
 なぜか各国間で貿易が行われているのか:貿易は貿易当事国の消費者の満足を高めるか.
【第3回】
 伝統的な貿易理論の基礎としての比較優位の平易な説明:比較優位と絶対優位の違いとは.
【第4回】
 貿易は比較優位に基づき行われる
【第5回】
 比較優位の源泉は何か:資源賦存量と技術.
【第6回】
 比較優位と特化に基づく貿易:何を輸出し,何を輸入するかが決まる.貿易パターンの決定.
【第7回】
 貿易の利益とは何か:貿易当事国の消費者の効用は貿易を通じて高められるのか.
【第8回】
 新しい貿易理論の説明:一人当たり所得水準がよく似た国は同一の産業内で生産された在・サービスを輸出入し合う.産業内貿易の出現.
【第9回】
 貿易は規模の経済と製品差別化によって生じる:比較優位では説明できない現在の貿易.
【第10回】
 なぜ規模の経済と製品差別化が貿易をさせる理由となるのか:産業内貿易の実現.
【第11回】
 見えざる貿易としての観光財・サービスの輸出入は比較優位に基づいているのか,それとも製品差別化に基づいているのか.
【第12回】
 観光における産業内貿易は実現されているか:豊かな国から貧しい国への観光は本当か.
【第13回】
 観光においても第二次産業の生産物の貿易と同様に,一部の国々の間ではすでに産業内貿易が実現されている.
【第14回】
 「見えざる貿易」としての世界の観光の将来は?
【第15回】
 秋学期のまとめと期末テスト