1. |
授業の内容(Course Description) |
|
脳の機能やシステムは、様々な分野の技術革新により少しずつ解明されてきていることを理解し、脳機能解明における代表的なアプローチ方法を学ぶ。 どのような目的で、どのように行われる教育が、どのような脳機能を利用したものなのかについて理解する。また、発展的展望として、解明されつつある脳機能を基にして、新しい教育方法について考える基礎力を身につける。更に障害された脳機能の特徴を踏まえ、また脳の可塑性や予想されるトレーニング効果に基づいた障害児教育を考える基礎力を身につける。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
<A・B類共通> ・脳科学は、脳に関する総合科学である。医学・心理学・数学・物理学・情報工学等のなかで脳に関連するトピックスを学び、その研究成果を教育実践に応用する。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
教育における脳科学の応用に関する理解度(レポート)と、演習に取り組む姿勢と意欲を基にして評価する。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
テキスト 講義用に作成したテキストを使用する。 参考書 『脳のしくみ』 新井康允 日本実業出版社 『脳と神経の科学』 小林繁 他 Ohmsha 『脳科学の現在』 酒田英夫 他 中公新書 『神経心理学評価ハンドブック』 田川皓一 西村書店 『右利き・左利きの科学』 前原勝矢 講談社 『脳神経科学イラストレイテッド』 森寿 他 羊土社 『脳神経心理学』 利島保 朝倉書店 『視覚脳が生まれる』 J アトキンソン 著 金沢創 訳 北大路書房 『ミラーニューロン』 ジャコモ・リゾラッティ他 柴田裕之 訳 紀伊国屋書店 『ミラーニューロンの発見』 マルコ・イアコボーニ 塩原通緒 訳 ハヤカワ新書 他
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
準備学習は、特にありません。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
学習した知識内容を常に最新のものに置き換えて行くことが必要です。その為には、学生各自が在学中から知識を更新していくための学習方法や情報獲得手段を獲得することが望まれます。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 オリエンテーション 講義全体の流れを理解する。脳について解明されたことと、まだ解明されていないことを整理して理解する。 【第2回】 脳の発生としくみ(1) 神経細胞の分化と増殖、シナプス形成について学ぶ。シナプスの過形成と淘汰の意義、神経ダーウィンニズム理論、カオス的脳観について理解する。 【第3回】 脳の発生としくみ(2) 脳の機能分化、左右脳の側性、可塑性に関する基礎知識を身につける。 【第4回】 脳機能画像とその応用 functional MRIと光トポグラフィーを代表とした脳機能画像のしくみとその応用について理解する。 【第5回】 神経生理機能検査とその応用 脳波、事象関連電位、脳磁図を代表とした神経生理機能検査のしくみとその応用について理解する。 【第6回】 実験心理学とその応用(1) ゲストティーチャーによる講義を通して、実験心理学における最新の研究成果を理解する。 【第7回】 実験心理学とその応用(2) ゲストティーチャーによる講義を通して、実験心理学における最新の研究成果を理解する。 【第8回】 実験心理学とその応用(3) ゲストティーチャーによる講義を通して、実験心理学における最新の研究成果を理解する。 【第9回】 視機能の発達 新生児期からの視覚の発達を理解する。視覚認知障害の診断と臨床を理解する。視覚とコミュニケーションの関係について理解する。 【第10回】 ミラーニューロン 真似、言語発達や意図の理解におけるミラーニューロンの役割を理解する。 【第11回】 記憶のメカニズム ・記憶に関わる脳機能のしくみを理解する。 ・A・B類学生混合の小グループを作り、記憶のメカニズムを応用した教育方法を協議し、その成果を発表する。 【第12回】 読み書きのメカニズムと読み書き障害 ・読み書きに関わる脳機能のしくみを理解する。 ・発達性読み書き障害の概念、診断プロセス、医学的対応法を学ぶ。また、ICTを活用した発達性読み書き障害の指導支援について理解する。 ・A・B類学生混合の小グループを作り、発達性読み書き障害に対する教育方法を協議し、その成果を発表する。 【第13回】 算数の理解と算数障害 ・算数の理解に関わる脳機能のしくみを理解する。 ・算数障害の概念、診断プロセス、医学的対応法を学ぶ。また、発達心理学の視点から見た算数障害の捉え方についても理解する。 【第14回】 遺伝学と教育 ゲストティーチャーによる講義を通じて、遺伝学が明らかにすることと教育との関係を理解する。 【第15回】 教育における脳科学の応用 A・B類学生混合の小グループをつくり、脳科学を基盤に現在の教育方法について討議し、その成果の発表をもとに全体で討議する。
|