1. |
授業の内容(Course Description) |
|
地球上にはさまざまな原始文化・古代文明があり、世界の考古学史はややもするとそのような調査研究の羅列になりがちである。しかし大きく見渡すと、北欧を中心に始まった先史考古学と、そこから派生し人類起源の追求という課題につながる流れ、南欧を中心とした古代文明を対象とする古典考古学研究からの流れ、そして両者を橋渡しする西アジアの農耕牧畜文化の解明に集約することができる。そして19世紀の西欧列強の帝国主義的進出は考古学的活動を世界に広めることになった。一方アメリカでは、「人間とは何か」という問いかけの中に考古学をとりこんだ文化人類学がおこり、それは近年プロセス考古学を生み出したが、学問的伝統の異なるヨーロッパでは反発してポストプロセス考古学が生み出され、日本はこれら2者とは異なる実証を重視する方法論を発展させてきた。このように考古学の方法論の大きな流れと発展を展望するのが本講義の目的である。ただし世界の考古学史を前期と同じ回数行うと日本人学生にとっては詳細になりすぎる恐れがあるので、最後の5回は日本考古学にもどり、主要な個々の研究テーマの研究史を掘り下げる。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
学史という視点から考古学という学問の特質と世界各地の考古学の特色を知り、「人類史」の理解がどのようにして獲得されたか理解し、人類の進むべき道について自己の意見がもてるようになる。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
ペーパー試験 主に重要な発見・研究・遺跡・論争・理論について。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
授業の内容に合わせ、主要な関連文献を授業中にあげる。また授業の内容をまとめたプリントを配布する。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
多くの学史的事実をあげるので、忘れないうちにノートの整理をすること。海外の学史的文献の多くを読むことは困難であるが、少なくとも数冊の一部について目を通すこと。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
学史という観点から考古学の成り立ちと発展を理解するための授業であり、専門家になるのに必要な知識の教授であることを意識して受講していただきたい。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 ヨーロッパ考古学の2つの源流 【第2回】 古典考古学の流れ 【第3回】 ヨーロッパにおける先史考古学の発展 【第4回】 2つの流れの合流と帝国主義的展開 【第5回】 化石人類の研究史と自然科学的分析方法、環境変化という視点 【第6回】 考古学理論と論争 【第7回】 新大陸の考古学史 【第8回】 中国考古学史(1) 金石学と・文献記録と考古学 【第9回】 中国考古学史(2) 政治的混乱から考古学の隆盛へ 【第10回】 朝鮮と東南アジアの研究史 【第11回】 世界の中の日本考古学 【第12回】 縄文農耕研究史 【第13回】 縄文集落研究史 【第14回】 考古学と文献史学の統合 【第15回】 まとめ
|