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授業の内容(Course Description) |
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「障害」・「能力」をめぐる新たなICFモデル(WHO、2001)によると、障害を持つ、持たないに関わらず、心身機能に応じたケアを受け、活動と参加の権利が保障されることによって、健康が保たれると言う。そうした新たな健康観に立ち、対象者へのケアを実践する専門職の1つが心理職である。 本授業では、自閉症への理解を深める一助として、対人的な情動の問題に焦点をあてるホブソンの理論について学ぶ。本理論は、自閉症にみられる認知障害をいわゆる「心の理論」からとらえるのではなく、その背景に、"我ー汝(対人関係)"と"我ーそれ(対物関係)"という異質な関係性に基づいた発達の道筋の混乱があると考える。そして、通常の子どもの発達過程をそうした観点から整理し直した上で、自閉症の子どものかかえる困難の本質に迫っていく。 授業は、主に演習方式で進める。演習では、グループワークを取り入れながらテキストを読み進め、履修者全員でディスカッションすることにより、各自の問題意識を明確化していきたい。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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自閉症児・者の抱える困難の基底に、認知的な視点ではなく、他者との情動交流の難しさがあると考える発達臨床的観点から自閉症への理解を深め、臨床心理士としての支援の考え方について学ぶことを目標とする。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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授業に対する積極的参加、試験、出席状況などを総合して評価する。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:R.ピーター・ホブソン(2000)『自閉症と心の発達』、学苑社
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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できれば、原書を入手し、英文と対応づけながら学習を進めて欲しい。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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授業の進行状況によっては、変更もありうる。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション 【第2回】 DSMに描かれる自閉性障害と実態のずれ:自閉症児の表現としての描画 【第3回】~【第7回】 自閉症の臨床像 【第8回】~【第12回】 対人関係性(通常の乳児の場合、自閉症の場合) 【第13回】~【第17回】 対人理解の発達 前半のまとめとテスト 【第18回】~【第21回】 概念的問題(心を理解することについて、思考と言語について) 【第22回】~【第25回】 思考と言語:自閉症の場合 【第26回】~【第29回】 心の発達と自閉症 【第30回】 後半のまとめとテスト
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