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授業の内容(Course Description) |
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超域思想論Ⅱでは、現代におけるグローバルな問題である地球環境問題について、主に倫理的な観点から考察していく。 地球環境問題は、もはや一つの国や一部の人々の努力だけでは対処することのできないグローバル・イッシューである。我々は先進国の一員として、この問題の現状や背景を認識するだけでなく、それに対してどのように取り組むべきかという問題を我々全員の問題として真摯に考えていく必要がある。この問題を考えることは、我々の世界全体に対する責任であると同時に、これからの未来に生きる人々に対する責任でもある。 それと同時に、我々は自然や動物に対するかかわり方に関しても、改めて反省していかなければならない。そもそもこの環境問題が生じたのも、我々が自然や動物を人間にとっての有益な「資源」として無反省に利用・搾取してきた結果だからである。今後、我々が自然や動物に対してどのように向き合うべきか、地球上で人間が他の生命と共生するためにはどのようなことが必要か、ということを講義では考えていくことにしたい(講義の内容や順番は、都合により若干変更することがあります)。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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・現在、地球規模で生じている環境問題の現状、およびその背景について説明できる。 ・地球環境問題に対する国際的取り組み、および個人の責任について説明できる。 ・動物や自然に対する倫理的なかかわり方はいかにあるべきかという点について、自己の明確な見解を示すことができる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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・期末試験(約40%)とレポート(約40%)、平常点(約20%)の3つによって総合的に評価する。 ・試験は資料等の持ち込みを不可とする。 ・評価は厳正に行うため、普段から授業に出席し、授業内容を理解していることが前提となる。出席していても、授業の内容を理解していなければ単位の取得は困難であるので留意されたい。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:加藤尚武編『環境と倫理(新版)』(有斐閣アルマ) 鬼頭秀一・福永真弓編『環境倫理学』(東京大学出版会) 参考文献:授業中に適宜、紹介する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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・授業の前に、あらかじめテキストの該当箇所を読んでおくこと。 ・レポートを作成するまでに、自分の選択したテーマについて、関連文献を収集して調査しておくこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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地球環境問題は、先進国に生きる私たち一人一人が考えなければならない問題である。講義の内容をただ「他人事」として受け流すのではなく、私たち自身が引き受けなければならない問題として真摯に考えてほしい。まずは身近な生活の場面でどのような問題があるかを考え、それが地球全体の問題とどのようにつながっているのかを想像することから始めてほしい。そうすれば、世界に対する自分の視野を少しずつ広げていくことができるはずである。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 講義の概要 【第2回】 地球の有限性(1)現在の地球環境問題とその背景について考察する。 【第3回】 地球の有限性(2)水不足、森林破壊などの問題に即しながら、地球環境問題をさらに考察する。 【第4回】 地球の有限性(3)「共有地の悲劇」の例を踏まえながら、地球環境問題に対して我々がどのように向き合うべきか、について考察する。 【第5回】 地球の有限性(4)環境問題に対する国際的な取り組みを紹介し、先進国の環境に対する責任について考察する。 【第6回】 豊かさとは何か - 環境問題に即しながら、現代生活における「豊かさ」「幸福」とは何かという問題について考察する。 【第7回】 未来世代に対する責任 - 未来世代の人々に対する責任について考察する。 【第8回】 持続可能性とは何か(1)「持続可能性」の意味、およびそれを実現するための条件について考察する。 【第9回】 持続可能性とは何か(2)エネルギー問題に即しながら、持続可能性の意味をさらに考える。 【第10回】 動物解放論(1)動物実験の現状を踏まえながら、動物のもつ道徳的な価値(道徳的に扱われるべき資格)について、さまざまな角度から考える。 【第11回】 動物解放論(2)P・シンガーの議論を参照しながら、食肉(大量生産方式の畜産工場)に関する倫理的問題を考察する。 【第12回】 動物保護の問題 - 現在、問題となっている捕鯨論争の背景について検討し、それを通して、動物を保護することの意味を考える。 【第13回】 保全と保存 - 自然保護における「保全」と「保存」の違いについて、具体例に即しながら考察する。 【第14回】 生命中心主義 - 人間中心主義と生命中心主義の違いについて、具体例に即しながら考察する。 【第15回】 講義のまとめ
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