Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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博物館資料保存論 鈴木  稔
学芸  2単位
【学芸】 14-1-3083-1961-01

1. 授業の内容(Course Description)

 資料の材質・製作技法に関する基礎的な知識及び資料の理化学的調査法を習得する。また、各種の劣化要因とそれぞれの抑制方法を学び、ミュージアムの収蔵・展示に関わる保存技術について知る。さらに、地域の文化資源の保存と災害対策についても触れる。なお、スライド画像等を多用して理解しやすい授業をめざす。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 博物館にとって資料の安全かつ長期安定的な保存はもっとも基本的な使命である。学芸員は常に館内環境の制御に配慮するとともに、資料の脆弱性と劣化メカニズムについて知り、適切な対策を施さなくてはならない。本授業では学芸員に求められる資料保存に関するこれらの基本的技能の習得する。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 2/3以上の出席とレポート提出は必須条件(60%)。レポート内容(40%)を合わせて成績を評価する。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストとして教場にてプリント配布。
 参考文献は適宜指示する。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 本授業では理系の用語が出てきて戸惑うことがあるかもしれませんが、次の授業までにネットなどを使って検索してみることが理解の大きな助けとなります。分からないままにしないことがなにより大切です。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 どんな博物館園にも保存上の問題はあるものです。なるべくまめに足を運んでどんな問題点があるか、どのように対処しているかを自分の目で確かめてみてください。そうすることによって理解が深まります。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 オリエンテーション 博物館資料保存の意義(人口減少対応,災害対策など博物館に求められる保存機能)
【第2回】
 ミュージアムの現状(デジタル化,環境問題,ハンズオンなど今日的な課題の概観)
【第3回】
 古美術技法材料紹介1 絵画(絹,紙,色料,膠着剤)
【第4回】
 古美術技法材料紹介2 木彫,服飾品,漆工品,金工品
【第5回】
 保存と修復の歴史と基本理念
【第6回】
 資料の劣化要因1 相対湿度,温湿度の測定と制御
【第7回】
 資料の劣化要因2 光の波長と資料劣化,光の測定と制御
【第8回】
 資料の劣化要因3 カビ・虫・獣の害,消毒と環境問題,IPMの課題
【第9回】
 資料の劣化要因4 有害ガス,空気の動き,収蔵庫と展示ケース
【第10回】
 資料調査法1 構造―X線CT,X線透過写真,赤外線TV
【第11回】
 資料調査法2 材質・年代・産地―蛍光X線分析,赤外分光法,走査型電子顕微鏡ほか
【第12回】
 美術館における資料保存の問題点(電子媒体などの新ジャンル資料,銀塩写真と映像資料)
【第13回】
 歴史・考古・民俗系博物館における資料保存の問題点(紙資料の保存,出土品の保存処理,民具の保存)
【第14回】
 自然史・産業系の博物館における資料保存の問題点(環境教育の拠点,生物多様性,動態保存)
【第15回】
 地域の文化資源と災害対策(不動産文化財,エコミュージアム,文化財と観光,文化財レスキュー)