Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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日本文化講読(古典文学A) I 木村 康平
選択  2単位
【日本文化】 14-2-2110-0181-05

1. 授業の内容(Course Description)

 万葉集を読みます。
 万葉集にしるされた最後の歌は天平宝字3年(759)の作品ですから、今年で1250年以上が経過することになります。そして、さらにその130年前の舒明朝(じょめいちょう、629~641)の作品が実質的には最も初期の掲載歌となります。万葉集は我が国に現存する最古の和歌集なのです(若干の漢詩文を含む)。
 ずいぶん古い時代の和歌ですが、意外にも、今日のわたしたちの美意識や文章表記の方法など、さまざまなところで万葉集は影響を及ぼしています。万葉集を知ることは、わたしたち自身を知ることにつながるといえるでしょう。
 古文の読解や文法が苦手な人にも、万葉びとの心が伝わるような授業を心がけたいと思います。また、今日の万葉集研究が何を目指しているのかについても説明します。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 古代和歌に関する基礎知識を理解することができる。万葉人の暮らしや思想・宗教などについて理解することができる。以上を目標とします。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 レポート試験(40%)と出席状況を含む平常点(60%)をあわせて評価します。平常点には小レポートを含みます。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキスト:プリントを用意します。
 参考文献:『額田王』(菊池威雄著、新典社)
      『柿本人麻呂』(橋本達雄著、新典社)など。配付プリントに紹介します。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 ・配付するプリントを、授業の後、復習としてよく読むこと。
 ・授業時に紹介する参考文献について目をとおすこと。
 ・自ら疑問を立て、発展的に考察すること。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 出席することがたいせつです。試験だけでは単位を取得することはできません。また、遅刻をしないこと。授業のマナーを守ること。授業時のスマホの使用は不可。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 春の歌からはじまる(季節の訪れと求婚の儀礼)
【第2回】
 王の歌①(国見の儀礼と天皇の世界の成立―見ることはホメること)
【第3回】
 王の歌②(狩の歌―地霊と豊饒)
【第4回】
 和歌とは何か(神の謎言葉と神婚)
【第5回】
 和歌の様式(和歌の二部構造と五七定型の成立)
【第6回】
 万葉集の基礎知識(1)
【第7回】
 万葉集の基礎知識(2)
【第8回】
 額田王①(ココロを表現する道具としてのウタ)
【第9回】
 額田王②(恋歌の成立―共同体にむかうココロと、内なるココロ)
【第10回】
 悲劇の皇子①(政争の中で非業の死を遂げた皇子たち)
【第11回】
 悲劇の皇子②(王権への叛逆者を歌うことの意味―恋物語として語る歴史)
【第12回】
 アヅマなる国の歌①(東国の歌の蒐集―コミュニケーションの道具としての和歌)
【第13回】
 アヅマなる国の歌②(王権と関東、東海地方の関係)
【第14回】
 アヅマなる国の歌③(東国の人々の暮らしと和歌・防人の歌)
【第15回】
 まとめ