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授業の内容(Course Description) |
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日本社会にはどのような文化が存在しているでしょうか。また,日本社会は均質な言語で覆われているといえるでしょうか? この21世紀,私たちはどのように文化や言語を理解し,それらとかかわっていけばよいのでしょうか。 日本社会にすでにある多文化・多言語状況を再確認しながら,文化や言語のもつ意味を考えていきます。 また,なぜ私たちは外国語を学び,その外国語を母語とする人々の文化を学ぶ必要があるのでしょうか。 帝京大学には多くの留学生が在籍しています。彼ら/彼女らは,彼ら/彼女らにとっての「外国語」である日本語で,毎日授業を受けています。これはすごいことだと思いませんか? 本授業では,日本人そして日本に住む「海外にルーツをもつ人々」にとっての「日本語」及び「日本文化」という視点から,文化・言語が超域化していく現代社会の中で,「文化・言語」についての考え方や学び方を共に考えていきます。 外国語だけでなく,外国人に対する日本語教育について興味・関心のある学生も大歓迎です。 外国人の子どもや,近年その数が急増している日本国籍をもちながら日本語力が十分でない児童生徒に対する言語指導の基礎知識を学びます。このことは,教員免許の取得を目指している学生には,日本人に対して外国語や国語,日本語を教えるとはどういうことかを考える良い機会になるはずです。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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1)多様に変化する日本社会の文化・言語状況について,これからの時代に対応可能な言語能力,文化能力について理解を深める。 2)外国語または日本語による「コミュニケーション力」「学習言語」とは何かを理解し,「学習言語」を獲得するための能力を自律的に向上させる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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1)出席率+質疑応答や議論への参加:20% 2)日本社会における文化・言語の多様性についての考察: ①学期中間発表20% ②学期末発表20% 3)学期末レポート:40% *「レポート」については,引用文の出典を適切に明記してください。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:日本語教育政策マスタープラン研究会編(2010)『日本語教育でつくる社会―私たちの見取り図』,ココ出版。 参考文献・資料: 1)田中慎也・木村哲也・宮崎里司編(2009)『移民時代の言語教育』,ココ出版。 2)ライチェン,ドミニク・S.& サルガニック,ローラ・H.編著(2006)立田慶裕監訳『キー・コンピテンシー 国際標準の学力を求めて』,明石書店。 3)佐藤学(2007)『習熟度別指導の何が問題か』,岩波ブックレットNo.612。 4)日本学術会議「日本の展望-学術からの提言2010 報告 言語・文学分野の展望-人間の営みと言語・文学研究の役割- 」,URL:http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-h-1-1.pdf 5)国連開発計画(UNDP)編(2004)『人間開発計画報告書2004-この多様な世界で文化の自由を-』 国際協力出版会= Human Development Report(1990-2011)URL:http://hdr.undp.org/en/reports/global/hdr2011/ 6)「文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約(仮訳)」, URL:http://www.mext.go.jp/unesco/009/003/018.pdf
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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1)上記テキスト及び参考文献・資料,授業内での配布資料を各自の関心の範囲で精読する。 2)授業で学んだ視点を活用して,学生各自の身近な地域社会にある文化や言語の多様性を確認する。 また,それら文化や言語が存在する意味や,その文化・言語とのかかわり方について考える。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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1)まず,帝京大学学内において母語の違う学生との交流に努めてください。 2)留学生に求められている日本語能力とは何かという視点から,日本人に必要な言語能力や日本人にとっての異文化理解のあり方を考えてください。 3)学生各自が身に付けたい言語力を,自律的に伸ばす方法につけて考えてください。 4)主体的にだけでなく,協働的な学習活動(異なる他者からの学び)を積極的に行ってください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション 【第2回】 文化とは何かⅠ-文化観の多様性 【第3回】 文化とは何かⅡ-社会装置としての「文化」 【第4回】 言語とは何かⅠ-「言語学」の言語について 【第5回】 言語とは何かⅡ-「グローバル社会」の英語と日本語 【第6回】 多文化社会の言語と文化Ⅰ-日本社会の多文化状況 【第7回】 多文化社会の言語と文化Ⅱ-日本社会の多言語状況 【第8回】 日本社会の多文化・多言語状況の考察:中間発表 【第9回】 コミュニケーション力と学習言語の獲得Ⅰ-メタ言語力・メタ認知能力 【第10回】 コミュニケーション力と学習言語の獲得Ⅱ-認知科学からの示唆 【第11回】 「国際成人力」と文化-複文化主義と文化 【第12回】 「国際成人力」と言語-複言語主義と言語 【第13回】 日本社会の多文化・多言語状況の考察:学期末発表 【第14回】 学期末発表に対する講評 【第15回】 振り返りとまとめ
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