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授業の内容(Course Description) |
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この講義では、外国地誌の事例としてオーストラリアを取り上げ、主として地理教育において見落とされたり誤解されたりしがちな話題を中心に、批判的かつ平易に解説する。さまざまな具体的事例を取り上げるが、単なる「オーストラリア物知り講座」ではなく、見かけの情報や印象に左右されずに地域の実像に迫ることの重要性を示すことが目的である。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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オーストラリア地誌の具体的事例を理解するという経験を生かして、他の地域の地誌的理解へと一般的に応用できるようになることを目指している。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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試験(授業期間内)による。試験は、実際の授業への出席に基づく授業内容の理解とそれに対する知的反応を確認するためのものである。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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独自の講義資料(教室で配布)により、講義形式で進める。この講義では、既存の文献を鵜呑みにせずに、「生」の講義への知的反応を期待するので、あえて一般的な参考文献は紹介しない。
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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講義資料に基づいて、次の講義の展開やポイントを予測するとともに、疑問点を明確にしておく(疑問を持つということは重要な知的能力である)。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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この講義では、受講者が地理学やオーストラリアに関する専門知識を持っていないことを前提としている。単に知識として覚えることよりも、「生」の授業に出席して、いささか風変わりかもしれない講義によって知的刺激を楽しみ、これまで知っているつもりだったことや一般的な通念にとらわれずに、視野を広げることが期待される。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 入植以前 *未知の南方大陸/ガリバー旅行記/ナマコ漁 【第2回】 開拓初期 *植民地(6州)の成立/流刑制度の誤解/ゴールドラッシュ 【第3回】 人口の歴史的推移 *移民の流入/先住民 【第4回】 自然環境① *南半球/乾燥した大陸/生態系の変化(森林・疎林・草原) 【第5回】 自然環境② *降水量/土地資源の評価/塩害 【第6回】 人口と都市の分布① *なぜ人口が少ないのか?/三つの地帯に分ける 【第7回】 人口と都市の分布② *大都市集中 【第8回】 連邦首都キャンベラ *キャンベラは「理想的な計画都市」か? 【第9回】 農業と土地利用① *農業生産の変化/日本との比較/肉牛・羊・耕地の分布と地帯区分 【第10回】 農業と土地利用② *「広大な農場」の誤解/「大鑽井盆地」の誤解/混合農業 【第11回】 鉱産資源と国民経済 *エネルギー資源が重要である/製錬の重要性 【第12回】 経済構造 *農業国・鉱業国か?/貿易とGDP 【第13回】 多文化社会① *移民をめぐる誤解/英語圏と非英語圏に分ける 【第14回】 多文化社会② *ヨーロッパからの移民/アジアからの移民 【第15回】 総括
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