Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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ECCP(論理的思考) I 池村 俊郎
選択  2単位
【観光経営】 14-1-1120-3394-19A

1. 授業の内容(Course Description)

 ECCPの必修科目A(論理的思考)として行います。実社会で求められる論理的思考力をつけることを目指します。人に読ませられる小論作成を通じ、その力を養成します。学生諸君がこれまで国語として読み書きできて当たり前と考えてきた「日本語」を、英語など外国語と同じようなものとしてとらえ直し、社会におけるコミュニケーションの道具として学び直してもらいます。「日本語」を母国語としてしかとらえていなかった過去から離れ、客観的な視点をもって再学習します。ただし、クラスは作文教室ではないことを明確に理解しておいてください。基本的な作文能力は前提条件です。
 その上で現代日本が直面する経済・政治・社会・外交など諸問題を材料として知識を増やし、小論にまとめます。英語学習をした時と同じ気持ちで日本語に取り組んでもらいます。
 上記の目標を達成するために、日経、朝日、読売など全国紙の社説を基本モデルとして活用します。各社説の主張を学ぶためでもなければ、その賛否を議論するためでもありません。ある社会事象を説明し、あるいは小論文にまとめると、日本語の組み立てがどうなっているか、的確に情報を文章に込めるコツとは何か、を習得する素材として利用します。また、長い記事を読んで内容を理解し、レジュメを作成したりします。現代事象に関する知識を深めることは、きちんとした議論や小論作成に不可欠です。
 クラスはゼミではないので、グループ討論などは行いません。自分で挙手して発言するのを基本とします。社会に出た場合を想定し、重圧をはねのけて発言する訓練と思ってください。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 論理的思考力の基本は数学です。ただし、私たちが直面する日常の諸問題を数学の問題を解くように理解したり、解決したりできるわけがありません。そこが論理思考の難しい点なのです。それでもできるだけ情報を整理し、自分の考え方を他人に理解してもらう技術を磨く必要があります。それがこのクラスでいう論理思考力です。そのために、テーマについて一定のスペースで簡潔にまとめていく練習をたくさん重ねる必要があります。関連する分野の知識を確かなものとし、きちんと駆使して自分の意見や小論に反映できるようになることを目指します。適格に日本語を使えるようになることが何よりも必要です。また、そうした訓練は社会人になってからも継続を求められるものです。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 出席10% 小論文(何度か行う)と発表討論90%

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 全国紙(日経、朝日、読売が主)社説や長文記事コピーを用意する。そのほか、時事的問題点の長文解説記事のコピーなど適宜使用します。
 日本語学習方法とコミュニケーション力とは何かをそれぞれの学生諸君が考え、かつ討論の素材とするために、参考書として①『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』(平田オリザ 講談社現代新書)②『賢人の日本語力』(平田オリザ、斉藤孝ほか 幻冬舎)。いずれも必要な個所をコピー配布しますが、図書館で読んでおくことを薦めます。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 自分の発言や小論を良いものにするには調査と確認作業が不可欠です。学生諸君は常に知識量をあらゆる分野で増やすことが大切です。不確かな知識をもとに議論したり、持論を展開するのはもっとも評価されません。インターネットの活用だけでなく、図書館の図書資料活用を奨励します。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 講義の最初の段階では、指示された社説を手書きし、うつす作業に時間を設定します。それに使う手書き用の専用ノートを用意してもらいます。これは大切な訓練です。これらは最初の講義で指示します。当然ながら、国語辞書あるいは電子辞書も必携です。講義中でも不明なことばを辞書でどしどし調べてください。また、教室へ来ないと、訓練のプロセスに参加しないことになるので、出席点の比率は低いとはいえ、出席して訓練に参加することが自分のためになると思って臨んでください。逆に過去、出席と訓練をこなしさえすれば、良い評価を得られると勘違いした学生が少なくありませんでした。自分に何が身につくか、それが一番大切なポイントです。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 講義ガイダンス、それに関する質疑。
【第2回】~【第14回】
 社説分析と関連事象の理解(これは通年で実施。辞書と専用ノート必携)。テーマはその時期に社会的な議論となるものを選びます。題材となるものに関連した知識をできるだけ増やすように、クラスで解説し、議論します。質問、自分の考えを述べてもらいます。ここで沈黙せず、自ら発言するよう訓練してください。基本的な理解不足以外は、どのように発言しても教官は否定しません。自分の発言を出席者に理解してもらう言いかたや、必要な表現力を学ぶ機会にしてもらいます。
【第15回】
 まとめと最終小論作成テスト実施。