Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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観光政策・行政論B 今野 久子
選択必修  2単位
【観光経営】 14-1-1130-3754-16A

1. 授業の内容(Course Description)

 日本の観光は、明治維新以降には近代化政策の一環として国威発揚と外貨獲得を目指し、高度成長期以降は海外旅行の隆盛に伴い観光政策・観光業ともアウトバウンドに重点が置かれた。経済成長が鈍化する2000年代初頭、サッカーW杯日韓共催等を機に観光立国の議論が高まり、観光は官民をあげた重要政策課題となり、観光立国推進基本法や観光庁設立等が相次いで進められた。2013年12月には訪日外国人数が1,000万人を超え、観光立国の旗印VJC(ビジットジャパンキャンペーン)の当初目標が3年遅れて達成された。政策が企図した《外国人を迎える「新しい観光」》は、いまやメディアの力等も追い風に、市民に身近に感じられるようになっている。
 本講義では、春学期の「観光政策の歴史的な概観」の学修内容を踏まえ、政策の展開としての具体の計画事例や取組み事例について概説する。これら春・秋学期の通年での受講を通して、第二の開国ともいわれる現在の観光政策を歴史的潮流の中に位置づけて捉えること等により「新しい観光」への基礎的理解を深められるよう、各回の講義の構成を準備している。そのため、「観光政策・行政論 Ⅰ」の受講者は本講義も受講することが望ましい。
 具体的には、本講義(秋学期「観光政策・行政論 Ⅱ」)では、観光立国政策の具現化としての国、東京都、関連組織および地方自治体等における観光政策・計画や具体の取組み事例等について概説していくこととする。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ①国や東京都の観光政策・計画について、概要・特徴を説明できる。
 ②地方自治体等で展開されてきた観光政策に関する取組み事例について、概要・特徴を説明するとともに、これをもとに自らが関心ある内容について考察を展開し論述することができる。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

リアクションペーパーが20%、振り返りシート作成が10%、中間試験が20%、期末試験が50%として評価する。
中間試験、期末試験は自らが作成した振り返りシートのみ持ち込み可とする。期末試験の一部は小論文形式とする。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 基本的にはレジュメに基づいた講義とする。参考文献は授業のなかで必要に応じて適宜紹介するが、より広く学ぶための関連図書を以下に示す。
 ・岡本伸之編(2001)『観光学入門(第12章観光政策ほか)』有斐閣
 ・寺前秀一編著(2009)『観光政策論』観光学全集第9巻,日本観光研究学会監修,原書房

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 現在の観光政策は着地型観光としての展開が方向づけられていることもあり、各地で「固有の資源」と「地域の実情」に基づく取組みが試行・実践され始めている。各事例からは、各々個性的で唯一無二の学びを得ることができることとなる。授業で紹介する事例以外にも、各自が日頃から、出身地や関心ある地域等における実践事例について積極的に調べるなど、探求心を持って自発的に取り組んでほしい。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 講義の妨げとなる行為を厳重に慎むこと。特に他の受講学生に迷惑となる私語は退席を願い、評価の減点対象となるので留意してほしい。
 現在の観光政策は国内観光だけでなく外客誘致を重要な課題とし、すなわち、諸外国との間の人や文化・経済等の交流を機軸に組み立てられている。観光政策の学びをもとに、広く、今後社会人として必要不可欠な国際的視野・関心を養われるよう期待する。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

各回のテーマは以下に示す通り想定するが進捗等に応じ一部変更も視野にいれる。また、必要に応じゲスト講師を招聘する機会をつくる。
【第1回】
 授業の全体構成の解説
【第2回】・【第3回】
 国の観光政策・計画
【第4回】・【第5回】
 東京都の観光政策・計画
【第6回】・【第7回】
 関係組織の観光政策に関する取組み事例
【第8回】
 授業のまとめおよび中間試験
【第9回】~【第12回】
 地方自治体等の観光政策に関する取組み事例
【第13回】・【第14回】
 観光資源等に関する法制度
【第15回】
 授業の総括および期末試験