Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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法律学演習 III 金澤  誠
選択  2単位
【法律】 14-1-1210-1952-09A

1. 授業の内容(Course Description)

 この演習は、憲法の「講義」などで得た知識を手かがりにして、もう少しだけ「身のまわりの法律」を覗いてみることが目的です。憲法にも、たくさんの判決(や制度)があります。その数が多いために、講義などでは、どうしても「結論」と、「最低限度の理由」しか勉強できなかったと思います。
 この演習では、「原告がどう攻めたか」、「相手がどういう『防御』をしたか」、「どういう場合であれば、『正反対』の結論が出たか」といったことを意識しながら、(できあがった)判決を、分析・解読(解凍・調理)してみます。そして、裁判官を含む、当事者たちの「気持ち(?)」を考えてみたいと思います。
 最初のうちは、「有名で」「重要な」事例からとりあげます。この段階では、教員主導です。最終的には、学生の皆さん「だけ」による発表を予定しています。工夫次第では、(法廷教室などで)「模擬裁判」の形態(原告側と被告側の対戦型)をとること、グループ・ディスカッションや、ディベートの形態をとることも可能です。ここでは、ひとに物事を「伝える」ことの難しさを、実感してみてください。
 以上のことを通して、①文献を探す方法(図書館の使い方、検索の仕方など)を身につけたり、②文献を正確に読む能力を身につけたり、③文献を読んだうえで、それを口頭で(PPで)報告したり、討論したり、文章にまとめたりする(場合によっては、レポートを書くような)能力を身につけたり、④ゼミ内外で、まわりの人(教員や学生)とコミュニケーションする能力を身につけたりします。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ①憲法にかんするより高度な知識を獲得し、憲法問題について、その問題点を的確に把握し、問題解決のための提言をおこなうことができる。
 ②新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている、法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。
 ③憲法にかんする問題を、自分で発見し、その解決方法を提示・説明できる(自分ひとりで、ある程度の分量のレポートや報告書を書けるようになる。説明・プレゼンテーションが上手くできるようになる)。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 ①教材を事前に読んでくること、②当日の出席、③発表やプレゼンテーション(場合によっては、レポート)の内容(の上達)が、成績評価の方法になります。
 報告者は、割り当てられた文献ないし判決を要約したうえで、論点を提示しながら自己の見解をレジュメ(または、PP)にまとめ、口頭にて発表することになります。
 発表をする際には、図書館に通って「自分で」(あるいは、何人かで)勉強をする必要があります。コピペは、禁止です。すぐバレます。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストとなる資料などは、教員が用意するつもりでいます。
 参考文献として、棟居快行・赤坂正浩・松井茂記・笹田栄司・常本照樹・市川正人『基本的人権の事件簿(第4版)』(有斐閣・2011年)、憲法判例研究会編『判例プラクティス憲法』(信山社・2012年)、山口進・宮地ゆう『最高裁の暗闘-少数意見が時代を切り開く-』(朝日新書・2011年)、笹田 栄司・大沢 秀介・井上 典之・工藤達朗 『ケースで考える憲法入門』(有斐閣・2006年)、野坂泰司『憲法基本判例を読み直す』(有斐閣・2011年)などを挙げておきます。
 なお、表現の自由に関する小説(ラブコメ!)については、有川浩『図書館戦争』(講談社文庫・2011年)(シリーズもの)を、レポートの書き方については、戸田山和久『論文の教室 レポートから卒論まで』(日本放送出版協会・2002年)を、その他ゼミ一般に関しては、西南法学基礎教育研究会『法学部ゼミガイドブック: ディベートで鍛える論理的思考力』(法律文化社・2012年)を挙げておきます。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 ①難しくいえば、社会で生じている法的現象に興味を持つことが求められます。ケンポーにかんする事件は、よく報道されています。それを、自分で「発見」することが重要になります。
 ②軽くいえば、ケンポーは、民法、刑法、労働法、社会保障法、政治学などの領域にかかわっています。そうした学問領域を、「つまみ食い」できる(お買い得な?)科目ともいえます。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 ①この演習は、プレゼンや議論をするという「積極」的な作業をおこないます。そうしたことに興味ある「好奇心のある」学生さんの受講を歓迎します。自分のテーマを考えておいてください。
 ②楽しみながら勉強することが演習のコンセプトです。たまには、苦しんでもらいます。でも、ゼミでの恥は、もしかしたら、いつかは、いい経験に変わるかもしれません(?)。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

 より詳しい授業計画は、初回のガイダンスで説明したいと思います。
 ①まず、必要であれば、文献の探索の仕方を勉強します。最初のうちは、教員主導型で、みなさんの意見を聞きながら、演習をおこなっていきます。(第1回-第5回)。
 ②教員が用意した文献や判決などを読んでもらい、それをもとにして、報告者、司会者などを決めて、討論をおこないます。その際には、ひとつの事件においては、複数のこたえ(最高裁の多数意見と反対意見、あるいは、最高裁判決と下級審判決)が成立しうることを「理解」することが重要となるでしょう。希望する判決や事件などがあれば、それに差し替えることもあります(第6回-第15回)。
 ③自分が関心を持った学説や判決をとりあげて、さまざまな見解をふまえたレポート(PPも含む)を書く(作る)という作業をおこないます。工夫次第では、(法廷教室などで)「模擬裁判」の形態(原告側と被告側の対戦型)をとること、グループ・ディスカッションや、ディベートの形態をとることも可能です(第13回-第15回)。
 ④細かいことは、みなさんの意向を踏まえて決めます。最近のゼミの様子を見ていると、「対決」型や「模擬法廷」などの方式にしたほうが、面白くなるようです。
 ⑤ときどきは実力試しに、「公務員試験の問題」を解いてみるのもよいですし、フィールド・ワークとして、裁判の傍聴会や施設見学会や、レクレーションを企画するのも、いいと思います。
 ⑥いずれにしても、レクチャーというものを「一方的に」聞く講義とは異なる、演習(ゼミナール)の雰囲気を感じてくれるとありがたいです。報告の仕方、人数等についても、相談のうえで、決めていきます。