Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

消防法と予防行政 I 緑川 元康
選択  2単位
【法律】 14-1-1210-1953-03A

1. 授業の内容(Course Description)

 消防機関の仕事は消火・火災予防・救助・救急の大きな4つの柱があり、これらは、消防組織法及び消防法に基づき行われています。
 このうち、火災予防行政は、建築物や危険物施設等の火災発生防止及び被害の最小化を目的として、消防法に基づき建物や危険物施設にあらかじめ対策を講じさせるとともに、消防法への適合性を調査し、違反しているものには命令を発するなどによりそれらの火災安全性を確保することが主な内容となります。
 予防行政については、2006年に、その充実を図るため、消防機関には、火災予防行政に係る専門知識を有する「予防技術資格者」を置くことが義務付けられました。この資格は国家試験委託機関が行う「予防技術検定試験」の合格者に与えられます。
 予防技術検定試験」は「防火査察」「消防用設備等」「危険物」の3区分で実施されますが、本授業ではそれぞれの区分に共通して課される「共通科目」に準じて実施します。すなわち本過程では、建物の防火安全対策について、火災の特性、建築物の防火対策、防火管理、防炎規制、火気使用設備、消防用設備規制等及び危険物規制の概要と、これらの徹底を図るために消防機関が実施する防火査察並びに火災原因調査等について実施します。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 (1)本講座を通じて消防機関が行う、建築同意や消防用設備等の検査、防火管理等の予防行政及び火災原因調査等と社会の安全との関係について理解するとともに、自ら考え、社会貢献できる人材となることを目標とします。
 (2)予防技術検定試験の各区分に共通して課される「共通科目」について学び、受験のための実力向上、さらには消防の予防行政を目指す一助とします

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 (1)筆記試験(場合によってはレポート式)を行い満点を100点として評価します。
    評価のランクは大学の例示によります。
 (2)筆記試験(レポートの場合を含む)は出席回数が3分の2以上の者に対して行います。従って、出席回数が3分の2未満の者は、特別な理由がない限り履修放棄とみなし、採点しません。なお、出席率及び授業内で実施する演習の結果に応じて点数を加算するものとし、加算の結果100点以上となった場合は成績順位において考慮するものとします。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストとしてプリントを配布しますが、『予防技術検定のための消防予防概論第1巻 共通科目』(日本消防設備安全センター編集・発行)を推薦します。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 火災から人命・財産を守るために、我々の周りには様々な消防用設備等の設置や防火管理者等の選任と消防計画の作成、避難訓練の実施等が法律(消防法)により義務付けられています。本講座を基に、我々が身近に見かける、消火器を始め、誘導灯や非常ベル、自動火災報知設備、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備などに興味を持つとともに、防火対策等の不備により、人命が失われた事例等を研究し、何らかの問題意識をもって授業を受けることを希望します。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 この授業は消防という身近な組織と機能について理解を深めることにより、今後社会人として生活するうえでの法律との係わりを消防法を通じて学ぶことを目的としています。本授業で学んだことを糧とし、社会生活に活かされることを期待します

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 ガイダンス(授業の目的、内容、進め方、テキスト、予防技術資格者)
 最近の消防事情
【第2回】
 消防に関する基礎知識(消防の沿革、消防法令の概要)
 消防の体系と消防法における予防関係規定の仕組み(消防組織法第1条、消防法第1条、2条)
【第3回】
 火災の基礎知識(火災の定義、燃焼現象、煙の流動等)
 消火の基礎知識(消火の方法と原理、消火剤の種類と消火作用)
 建築同意について(消防法第7条)
【第4回】
 消防用設備等に関する規制(消防法第17条①②③)
 消防用設備等の性能評価・特殊消防用設備等の認定(消防法第17条の2等)
 消防用設備等の検定、失効等(17条の2の2、2の3、2の5)17条の3
【第5回】
 消防用設備等の点検報告制度(消防法第17条の3の3)
 消防設備士、消防設備点検資格者
【第6回】
 防炎規制(消防法第8条の3)
 火気規制(消防法第9条)
 住宅用防災機器制度(消防法第9条の2)
【第7回】
 防火管理(消防法第8条)
 共同防火管理(消防法第8条の2)
【第8回】
 防火対象物点検報告制度
 特例認定
【第9回】
 危険物規制(その1)
【第10回】
 危険物規制(その2)
【第11回】
 立入検査と違反処理(その1)
 消防法第4条~第5条の3
【第12回】
 立入検査と違反処理(その2)
 消防法第6条
 行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法
【第13回】
 火災調査
【第14回】
 全体総括(重要事項を総括的に復習)
【第15回】
 授業内最終試験
 講義のまとめ