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授業の内容(Course Description) |
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観光の歴史の中で、観光と「食」は密接な関係を持って発展してきた。この講義では、観光における「食」の重要性を考慮して、「美食学」(ガストロノミー)の成立とその発展の過程を跡づけ、「美食」をめぐる今日の状況について論じる。しかし「美食」を贅沢で高価な食事とみなしてはならない。「美食」は、元来「良いもてなしの術」と定義され、「美味しい食事」がその中心に位置づけられた。この講義では、この定義に沿って「美食」を成り立たせる経済的、社会的、技術的、文化的等のさまざまな要素や条件がどのように生まれたかについて考えることに重点を置く。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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今日、私たちの「食」はさまざまな意味で「危機」にある。この講義は、「食」について考え、それがわれわれの生活にとって基本的重要性を持つことを認識し、同時に、「食」と観光の深い関係の歴史と現在について知ることを狙いとしている。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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平常点40%、定期試験の成績60%の割合で評価する。平常点は、出席状況と授業への熱意に基づいて評価する。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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参考文献:『美味礼讃』(ブリア=サヴァラン著・岩波文庫);『食がわかれば世界経済がわかる』(榊原英資著、文春文庫);『物語 食の文化』(北岡正三郎、中公新書);『日本料理の歴史』(熊倉功、吉川弘文館)
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業の際に配布するプリントに基づいて、よく予習・復習をして授業に臨むこと。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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「食」を真に理解するには、最終的には「舌」で味わう体験が必要である。そのために「美食」のコンセプトに合致した実戦形式の「特別講義」を番外で予定している。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 今日の食事情と美食学の課題 【第2回】 食に対する二つの考え方 【第3回】 美食学の成立―ブリア=サヴァラン「美味礼讃」 【第4回】 中世食文化の特徴 【第5回】 ルネサンス期イタリアの食文化 【第6回】 17-18世紀の味覚革命と料理革命 【第7回】 レストランの成立とフランスの美食の民主化 【第8回】 食のグローバル化―コロンブスの交換 【第9回】 日本料理の成立と展開I 【第10回】 日本料理の成立と展開II 【第11回】 日本料理の近代 【第12回】 フレンチ・レストランの現場から(フレンチ・シェフの講演) 【第13回】 食文化遺産のユネスコ世界遺産登録 【第14回】 スローフード運動と食育 【第15回】 まとめとテスト
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