Web Syllabus(講義概要)

平成27年度

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演習 I 杉浦 史和
必修  2単位
【経済】 15-1-1110-1576-03

1. 授業の内容(Course Description)

 現在の日本経済の抱える問題の一つに、電機工業や自動車産業などの従来稼ぎ頭と言われてきた製造業の苦戦が挙げられます。長期にわたる円高により、国内の製造拠点が失われる空洞化はその顕著な例でしょう。安倍晋三首相の登場とともにアベノミクスが唱えられ、円高局面の是正が行われましたが、失われた製造拠点が国内に戻ってきたとは言えない状況が続いています。
 ここでまず考えなければならないのは、我が国の主要産業の意思決定は何を目的とし、またどのようなプロセスを経て決まるのかということでしょう。また、生産拠点の海外移転は実際にどの様な影響を国内経済に及ぼすかも考察しなければなりません。更に、海外生産もやみくもに出て行けば良いわけではなく、そこでの成功を保証する戦略も重要です。このように、多国籍化する我が国の製造業の動きに焦点を当て分析することで、日本の経済の動きをより深く理解します。
 この授業では、我が国製造業の対外直接投資(FDI)を切り口として、国際政治経済学的アプローチを取りながら現代日本経済の分析を試みたいと思います。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 グローバル化が進む現在の世界情勢および日本経済を、FDI を切り口として理解できること。またFDI の仕組み、その法的側面、歴史を学びます。自動車など特定産業のFDI の特徴について、皆さんの興味に従って追求してみましょう。
 ゼミナールの場は、自分で決めた課題を自分なりに探求・考察し、これを工夫して発表して理解を深める作業を行う場です。こうしたプロセスを通じて、自分なりの学びの姿勢を養ってください。社会に出てからも、それはきっと役に立つはずです。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 通常の出席点は60点。担当箇所の報告と受け答えが30点。授業の参加態度(質問や意見表明)10点。ゼミは学生自らが授業を作っていく心構えが必要です。授業への積極的な参加に高い評価を与えます。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキスト:池本・田中編著『欧州新興市場国への日系企業の進出:中欧・ロシアの現場から』文眞堂
 参考文献は適宜、授業内で提示します。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 担当であるかそうでないかにかかわらず、当該テキスト部分をよく読んでくること。担当に決まった場合には、仲間とよく連携しながら、しっかりと準備を行うこと。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 演習は、受け身型の通常講義と異なり、参加する学生の自主的な貢献が不可欠です。自分で決めた課題を自分なりに探求・考察し、これを工夫して発表してゼミ生みんなの理解を深める作業を行う場です。こうしたプロセスを通じて、自分なりの学びの姿勢を養ってください。
 事前に入念な準備をして、授業時間中も進んで貢献する心構えで参加してください。それは何も難しいことではありません。他の人の報告を真剣に聞き、それに対して自分だったらどう考えるか、なぜ異なる考え方をするのかと常に自問して、それを率直に表明してくれればいいのです。ゼミ仲間と共に学ぶという貴重な経験を通じて、大学生活を豊かなものにしましょう。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 授業案内・オリエンテーション:ゼミの進め方を理解しよう
【第2回】
 FDIとは(1)(講義)
【第3回】
 FDIとは(2)(講義)、グループ分け、およびテキストの担当を決める。
【第4回】
 図書館ガイダンス:資料の探し方。
【第5回】~【第15回】
 テキストに沿った読み込み。