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授業の内容(Course Description) |
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犯罪の「多発」、児童虐待、子どもの無気力、ホームレス...。病理現象として思い浮かぶ個別の事例は、無数に並べられそうである。それらはしばしば、個人的なトラブルや問題としてみなされやすい。その場合、対策としては、個人責任の追及や個人の更生が議論されるだろう。しかし「社会病理」にアプローチする際には、それ以外の見方も必要になる。病理現象が人間関係のなかで生じていることに注目し、社会の制度や仕組みとの関わりから把握していくという見方である。そうした見方には、この社会そのものの病理を問うというスタンスも含まれている。 この授業では、社会病理に対する社会学的な考え方について解説した後で、近年注目されているいくつかのトピックを領域ごとに取り上げて、説明を加えていく。そのなかには、各自の日常生活に関わってくる事柄もあれば、自分とは無関係の世界で生じていると思われる事柄もあるかもしれない。社会のなかで生じている病理/社会そのものの病理という観点からそれらを眺めることを通して、私たちが共有するこの社会の仕組みを理解することが授業の目的である。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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現代の社会病理を通じて社会の仕組みを理解すること。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末試験(80%)と平常点(20%)を総合的に評価する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは用いない。総論的な参考文献としては、星野 周弘『社会病理学概論』(学文社)、『社会病理学講座(1)』『社会病理学講座(2)』『社会病理学講座(3)』『社会病理学講座(4)』シリーズ全4巻(学文社)。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業内容を把握するとともに、関連する文献を読み、わからない用語を調べておくこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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社会病理学と社会問題論の対象領域は重なっているが、この授業は多様なトピックの紹介に重点を置いている。「社会問題論」の授業では、焦点を絞った考察を行う。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション:社会病理学とは 【第2回】 社会解体論とアノミー論(1) 【第3回】 社会解体論とアノミー論(2) 【第4回】 再帰的近代化の理論と社会病理(1) 【第5回】 再帰的近代化の理論と社会病理(2) 【第6回】 家族の病理(1):児童虐待 【第7回】 家族の病理(2):摂食障害 【第8回】 教育の病理(1):学力低下と教育改革 【第9回】 教育の病理(2):意欲格差 【第10回】 教育の病理(3):メリトクラシーの高度化 【第11回】 労働と貧困の病理(1):不安定雇用 【第12回】 労働と貧困の病理(2):ホームレス 【第13回】 労働と貧困の病理(3):意欲の貧困 【第14回】 労働と貧困の病理(4):貧困と生活保障 【第15回】 まとめ:社会構造の変動と社会病理
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