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授業の内容(Course Description) |
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応用行動分析学(Applied Behavior Analysis: ABA)は,実験行動分析学の応用分野であり,実験行動分析学の哲学である徹底的行動主義(radical behaviorism)と,実験行動分析学が明らかにした行動の原理を人間生活に応用し,様々な問題を解決しようとするものである。その応用範囲は,臨床心理学をはじめ,発達障害,精神疾患,教育,特別支援教育,リハビリテーション,コミュニティ心理学,ビジネス,産業,ヒューマンサービス,育児,セルフマネージメント,スポーツ,アニマルトレーニング,健康問題,高齢者支援におよび,どの領域でも確実な成果を挙げている。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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この講義は,実験行動分析学を初めて学ぶ者を対象に,実験行動分析学の基本的概念の解説から始め,実践例を通して,応用行動分析の基本的な用語と概念,技法,哲学的背景を理解することを目指す。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末試験の成績のみで成績を決める。試験には所定の持ち込み用紙だけの持ち込みを認め,持ち込み用紙の内容30点,事前予告問題20点を含め,100点満点で評価する。配布資料,参考書類の持ち込みは認めない。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは使用しない。以下の書籍は,応用行動分析学に対する理解を深める上で役立つであろう。 ミルテンバーガーR.G.園山繁樹・野呂文行・渡部匡隆・大石幸二(訳)(2006).『行動変容法入門』二瓶社 大河内浩人・武藤 崇(編)(2007).『行動分析』ミネルヴァ書房 山本淳一・加藤哲文(編著)(1997).『応用行動分析学入門:障害児者のコミュニケーション行動の実現を目指す』学苑社 島宗 理(2004).『インストラクショナルデザイン』 米田出版 シュリンガーH.D.Jr.園山繁樹・根ヶ山俊介・山根正夫・大野裕史(訳)(1998).『行動分析学から見た子どもの発達』二瓶社 山本淳一・池田聡子(編)(2005).『応用行動分析で特別支援教育が変わる:子どもへの指導方略を見つける方程式』 ナイ R.D. 河合伊六(訳)(1995).『臨床心理学の源流: フロイト・スキナー・ロージャズ』二瓶社
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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特に予習は求めないが,毎回の講義で取り上げた内容について,次回までに十分に理解し専門用語は記憶してくることを求める。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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応用行動分析学を理解するには,実験行動分析学と理論行動分析学の知識が必要不可欠である。『学習心理学基礎論』を併せて履修することが望ましい。また理解を深めたい学生は秋学期の『基礎行動分析学』を併せて受講すると好い。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 授業方針の説明,参考書籍の紹介 【第2回】 実験行動分析学の基本(1):医学モデルの否定,行動の基本単位と随伴性 【第3回】 実験行動分析学の基本(2):基本的な強化随伴性 【第4回】 研究デザイン(1):反転法, 多層ベースライン法,データの可視化 【第5回】 研究デザイン(2):データの可視化と評価 【第6回】 行動観察記録法 【第7回】 行動を増やす技法(1):正の強化・負の強化 【第8回】 行動を増やす技法(2):確立操作と行動の維持 【第9回】 行動を増やす技法(3):条件性強化子とトークン 【第10回】 行動を増やす技法(4):反応形成と行動連鎖 【第11回】 行動を減らす技法(1):消去と罰,随伴性分析 【第12回】 行動を減らす技法(2):他行動分化強化 【第13回】 行動を減らす技法(3):タイムアウト,レスポンス・コスト 【第14回】 弁別刺激による行動の制御: 般化,プロンプト,教示 【第15回】 情動の制御:レスポンデント条件づけによる恐怖・不安の軽減
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