Web Syllabus(講義概要)

平成27年度

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文化財行政学 I 櫛原 功一
選択  2単位
【史】 15-3-1622-3223-03

1. 授業の内容(Course Description)

 日本における文化財行政全般についての講義である。県市町村での公務員としての文化財行政職志望者はもちろん、研究者、教員、学芸員、民間を含めた埋蔵文化財調査員を目指す人は、文化財の見方、文化財としての認定、保護・活用の仕組みと実際を学ぶ必要がある。前半では日本の文化財の概要、保護行政史を学び、後半ではとくに埋蔵文化財の保護行政を取り上げ、発掘調査における一連の流れ(計画・業務契約、予算措置、準備、実施、整理、報告書作成、遺物の展示・活用)に関する法的手続きや雇用契約、安全基準などについて学ぶ。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 文化財の種類、重要性を認識し、文化財の見方を身につけ、保護制度の仕組みを理解する。また文化財の管理、保存、活用のための基本的知識を学ぶ。文化財には建築、仏像、工芸から街並み、近代化遺産、無形文化財としての祭り、伝統工芸など非常に幅広いが、とくに埋蔵文化財調査における行政的な手続き、予算措置から整理、報告書刊行、資料の活用について十分に理解する。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 出席状況、レポート、期末試験を成績評価の対象とするほか、授業への参加姿勢を評価の参考とする。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 文化庁文化財部記念物課監修『発掘調査のてびき』(集落遺跡発掘編・整理報告書編・各種遺跡調査編、同成社)購入を薦めるが、授業は当方作成のレジュメに沿って進行する。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 身近にどのような文化財が存在するか、それらをを訪ねて見学し、保護状況を学ぶとともに、それらを保護管理する行政がどのような組織で構成され、文化財保護行政が実際にどのように行われているか、どのような課題があるかをレポートにまとめる。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 大学での専攻を活かし、一人でも多くの人が文化財に携わる職に就職することを願いつつ、文化財保護行政を大いに学んでもらいたい。そのためにも即戦力としての技術を身に付ける必要がある一方、あらゆることに関心をもって研究者としての学びを深めることが肝要である。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 はじめに(概略) 文化財行政とは・文化財保護法
【第2回】
 文化財保護行政史 保護行政史
【第3回】
 文化財の種類 建築・工芸
【第4回】
 文化財の種類 史跡・名勝・天然記念物
【第5回】
 文化財の種類 文化的景観・伝統的建造物群・世界遺産
【第6回】
 発掘調査における予算・原因者負担制度・訴訟
【第7回】
 発掘調査における基準(国・都道府県・市町村)
【第8回】
 発掘調査における手順(法的手続き・試掘調査・準備)
【第9回】
 発掘調査における手順(実施・安全基準・雇用契約)
【第10回】
 発掘調査における手順(整理と公開)
【第11回】
 発掘調査における報告書
【第12回】
 埋蔵文化財行政の課題
【第13回】
 史跡整備とは
【第14回】
 文化財の保護と活用
【第15回】
 まとめ