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授業の内容(Course Description) |
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今から20年前に中国が世界第2の経済大国になることなど予測がつかなかったように、今から20年後に中国経済がどうなっているかも予測することは極めて困難です。バブルがはじけて中国経済は大破綻を来すといった悲観論から、近々に米国経済を追い抜いて世界のトップに立つという楽観論まで、見方が大きく分かれています。 一つには、共産党一党支配の下、万事に政治主導で経済成長が推進される特異な発展形態を取っていて、肝心の政治体制の行方がはっきりしないため、経済の先行きも不透明になっているといえます。であればこそ、中国経済を見る際は、他国の何倍も強く政治を意識し、極端に振れることなく冷静に捉えていくことが必要でしょう。 演習は、奇跡的と形容される成長を遂げるまでの流れ、すなわち革命後の長い計画経済の時代、「社会主義市場経済」という名の改革開放政策への転換期、それが加速された高度成長期を振り返ることから始めます。 その中で、急成長の要因として、巧みに外資を導入して技術も吸収でき、国有、集団所有の土地を基に政府が開発資金を獲得して公共投資を集中でき、安価で豊富な農村労働力を都市に移動できたことなど、中国の特殊性を分析していきたいと思います。これまでの中国経済の成長の過程とその背景をたどることによって、現在の中国経済が抱えているさまざまな課題も、これからの中国経済を占う手がかりも見えてくるはずです。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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日本と中国は互いに引っ越しできない、ご近所関係にあります。皆さんが将来、社会に出たときに、さまざまな形でその隣国とのかかわりが出て来ることも少なくないでしょう。その意味で極めて大切な、中国経済を見る目を養うことを目指します。まずは、超高度成長を長期に持続できた要因や背景をきちんと把握することが目標です。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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個別のテーマを割り振り、それに関するレポートを、最後に提出してもらいます。その評価を中心に据え、出席状況や演習態度も十分に勘案して、最終判定します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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『中国の産業はどのように発展してきたか』(渡邊真理子=編集、勁草書房) 『ハンドブック 現代中国』(愛知大学現代中国学部編、あるむ)
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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折々に、次の演習までに事実関係を調べて報告するようにとお願いしたりするつもりです。そうした時は、しっかり準備して演習に臨むようにしてください。上記参考文献などをコピーして事前配布することもありますので、準備学習は不可欠です。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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演習ですので、受講する皆さんには、通常の授業にも増して能動的な姿勢が求められます。努めて出席するようにしてください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション 【第2回】 人民公社をはじめとする計画経済の時代 【第3回】 1978年に改革開放へ舵切った鄧小平 【第4回】 20年余り続く世界史上稀な超高度成長 【第5回】 2010年、日本抜き世界第2の経済に 【第6回】 外資導入政策による輸出増大と技術獲得 【第7回】 国有、集団所有地の使用権売買の錬金術 【第8回】 手にした資金で公共投資進めた地方政府 【第9回】 人民公社母体の郷鎮企業が果たした役割 【第10回】 農業生産性向上が促した「世界の工場」 【第11回】 農村から都市への労働力移動「農民工」 【第12回】 中国特有の「専業市場」システムの形成 【第13回】 国内ロウエンド市場の制覇と途上国進出 【第14回】 世界携帯端末市場に急浸透するシャオミ 【第15回】 レポート
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