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授業の内容(Course Description) |
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我々が普段何気なく行っている観光旅行は、さまざまな歴史的経緯によって形成されてきた、ひとつの歴史的産物である。観光の歴史を学ぶということは、ただ過去の遺産を知るだけでなく、現代の観光がいかに運用されているのかを知ることでもある。 そこで本講義では、世界における観光の形成と発展を、旅行文化の花開く中世からルネサンス期と、近代観光成立に当たる産業革命期を中心に論じていく。特に、近代観光の形成と発展を文化史的観点から捉えていく。同時に、現代の観光産業の基本的要素やシステムに連なる制度的発展も議論していく。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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・世界観光の歴史に関する基本的知識を身に付ける。 ・観光産業や文化に関する基本的構成要素とシステムを理解し、説明することができる。 ・世界観光について調べる際の基本的手法を身に付ける。 ・史実を踏まえたうえで、独自の視点から観光史を論じることができる。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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成績評価内容については、初回に詳しく説明する。必ず初回の講義に出席すること。 ・講義ノート提出:50% *前回の内容をまとめたもの(A4で1枚)を、講義毎に提出して貰う。なお、内容を満たさない場合には、欠席として扱う。内容が優秀な場合には、別途加点を行う。 ・期末テスト:50% *全て記述式で行う。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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・講義内容については、毎回パワーポイントと配布資料を用いて授業を進めるため、テキストは指定しない。 ・講義資料については、全てLMSにアップする。 ・参考文献については、初回に参考文献表を配布する。受講者自身が積極的に読み進めることを期待する。
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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何よりも、自分の足で旅行し、観光を体感することを心掛けて下さい。そのなかに、個々の現象の起源や歴史を、自分なりに調べてみて下さい。実はその起源は、この講義で行う時代にあるかもしれません。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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・授業を生かすも殺すも皆さん次第です。常に主体的な態度での受講を望みます。 ・図書館を積極的に利用し、観光史に限らず、政治史・文化史・経済史を幅広く読みながら、自分の興味関心のあるテーマを持つことを強く勧めます。 ・世界観光の歴史は講義のなかで完結するものではありません。積極的に自分自身で調べて、世界観光の歴史を明らかにすることを強く望みます。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 オリエンテーション-観光史とは何か? 第1部 前近代の「観光」 【第2回】 巡礼とホスピタリティ-キリスト教精神のなかの旅行 【第3回】 御学遊はフランス・イタリアで-グランドツアーの歴史 【第4回】 恐怖から娯楽へ-登山文化の隆盛とスイス 第2部 近代観光の成立と発展 【第5回】 蒸気の力-産業革命のなかの時間感覚と旅行感覚 【第6回】 労働者よ、酒を絶て!!-トーマス・クックと近代旅行業の成立 【第7回】 世界が注目した日-万国博覧会と国際イベントの誕生 【第8回】 自宅の贅沢さを旅行先へ-ホテル文化の発展 【第9回】 パスポート、ビザ、検疫-近代観光が普及させた制度たち 【第10回】 そして人々は海岸と砂浜、太陽を目指す-ビーチ・リゾートの成立 【第11回】 結核・依存症・精神病-近代社会の弊害と保養地の成立 【第12回】 「パノラマ」の誕生-写真文化と風景の成立 第3部 グローバル化のなかの観光 【第13回】 観光客は世界を目指す-ジャンボジェット機の登場と観光の大衆化 【第14回】 世界に観光を広げるために-観光機関の成立と観光政策 【第15回】 講義のまとめ-世界観光の現代と未来
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