Web Syllabus(講義概要)

平成27年度

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観光経済学 II 小沢 健市
選択  2単位
【現代ビジ】 15-1-1130-3752-36A

1. 授業の内容(Course Description)

 この講義では,国際観光を取り上げ,国際観光は観光者による観光財・サービスの貿易であるとの視点から,国際観光を分析することが目的です.もちろん,国際観光を貿易として分析するためには,「国際貿易」の基礎理論が不可欠です.したがって,この講義では,国際貿易の基礎的な理論を平易に説明しながら,国際的な取引としての国際観光を説明したいと考えています.
 また,国際観光は,10~20年ほど前までは北の豊かな国から南の相対的に貧しい国々へ観光者が大挙して訪れ,それがマスツーリズムとして非難の対象となったという経緯があります.それがマスツーリズムに代わり,いわゆるオルタナティブとしてさまざまなツーリズムが提唱されてきた背景にある理由です.しかし,いまや日本でもメディカル・ツーリズムに国を挙げて取り組むといったように,観光の形は変化してきています.本講義では,観光における「南北問題」はすでに存在しているとは言えないのではないかということを,新しい貿易理論等を平易に説明しながら,明らかにしたいと考えています.そうすることによって,受講生は国際観光に関してこれまで一般的に言われていたことが必ずしも正しい「言説」とは言えないということが理解できるのではないか,と考えています.貿易としての国際観光に関心を持つ学生諸君の受講を希望します.

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 国際観光をこれまでとは違った視点から分析することにより,国際観光の新た側面を理解可能になり,それは学生諸君の国際観光の理解の促進に役立つこと.また受講生諸君が実際に海外へ旅行する際に,これまでとは違った視点から国際観光を捉えることが可能になり,観光の重要さが理解できること.

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 成績は,期中に実施する小テスト,出席,そして期末の試験の3点により評価するが,それぞれのウエイトは,小テストが30%,出席が30%,そして期末試験が40%です.

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストは特に指定しないが,講義中にほぼ毎回プリントを配布する.ただし,欠席者には原則として配布しないので注意すること.
 また参考書としては,浦田秀次郎 著『国際経済学入門(第2版)』日経文庫を挙げておきます.

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 国際経済学の書物,例えば,上に挙げた参考書を事前に読んでおくこと,また講義終了後に必ず復習をすることが必要です.

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 国際経済学の基礎理論を利用するので,この講義と合わせて「国際経済学」の講義を履修することを要望しておきます.

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 受講に当たっての諸注意と受講生への要望事項の説明
【第2回】
 国際観光の経済的側面,特に観光統計と旅行収支からみた国際観光の変遷の説明
【第3回】
 「旅行収支」統計からみた日本の国際観光の貿易側面の解説
【第4回】
 貿易はなぜ,そしてどのようにして行なわれるのか?貿易の基礎理論の平易な説明
【第5回】
 A.スミスの絶対優位とD.リカードの比較生産費の説明
【第6回】
 貿易は比較優位に基づき行われる
【第7回】
 比較優位を見出すための機会費用の概念と生産可能性フロンティアの説明
【第8回】
 比較優位の簡単な復習と小テストの実施
【第9回】
 比較優位の原理の国際観光への適用:観光は絶対優位によっても説明可能か?
【第10回】
 新しい貿易理論としてのリンダーの重複需要仮説と国際観光
【第11回】
 貿易は規模の経済と製品差別化によって生じる
【第12回】
 産業間貿易から産業内貿易へ:伝統的な貿易理論と新しい貿易理論
【第13回】
 国際観光財・サービスの産業間貿易から産業内貿易へ
【第14回】
 観光財・サービスの産業内貿易をどう測るか
【第15回】
 秋学期のまとめと期末試験