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授業の概要(ねらい) |
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民法第5編を構成する相続法は、死を契機とする財産等の移転に関して親族間で順位や相続分などを明らかにし、親族間での無用の争いを避けるための秩序を与える。私たちのほとんどは人生のうちで相続を経験するので、相続法についての正確な知識を持つことが必要である。 第二次大戦後の民法改正まで、日本では家制度の下で家督相続を中核とする単独相続が主流であったが、戦後は生存配偶者と子による共同相続となり、しかも子の間では均分相続が原則となった。このように、相続法の内容は親族法と同様にその時代ごとの家族のあり方に応じて変化する。現代社会では現行相続法のどの部分が実際の人々の生活や意識に対応できなくなってきているのかを探ることによって、自分たちの家族生活を考える機会も提供したい。
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2. |
授業の到達目標 |
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①日本の相続制度(法定相続と遺言相続)についての基礎的な法知識を修得する。 ②相続を通してどのような法律問題が家族間、または家族員と第三者の間で生じるかを知り、その解決のための知識を修得する。 ③相続法と関連する民法総則および物権法の基本的知識を確認しつつ問題の総合的な解決方法を探る能力を身につける。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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授業中に行う中間試験(40%)と期末試験(60%)の合計で評価する。
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4. |
教科書・参考書 |
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前期の親族法と同じテキストと参考文献を使用する。 テキスト:『家族法』本山敦・青竹美佳・羽生香織・水野貴浩著(日本評論社) 参考文献:本山敦『家族法の歩き方』日本評論社。本書は家族法領域での判例解説書である。
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5. |
準備学修の内容 |
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①シラバスに沿って次回の授業範囲に相当するテキストの部分を読み、専門用語や条文の意味等を理解しておく。 ②授業中に指示された自習用の課題をきちんとやり遂げる。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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①親族法の知識を前提とするので、親族法の授業を先に履修することが望ましい。 ②きちんと授業に出席し、中間試験と期末試験の両方を受験しないと単位取得は困難である。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 |
現行相続法成立の沿革と基本理念、相続法概観、相続紛争と家庭裁判所 |
【第2回】 |
相続の開始、相続人となる資格 |
【第3回】 |
代襲相続、相続欠格と廃除 |
【第4回】 |
相続財産 ― 包括承継とその例外 |
【第5回】 |
相続財産の範囲 |
【第6回】 |
相続分 特別受益、寄与分 |
【第7回】 |
中間試験および試験問題解説 |
【第8回】 |
遺産分割 ― 意義、遺産分割の手続、遺産分割の基準と方法 |
【第9回】 |
遺産分割の効力 |
【第10回】 |
相続回復請求権 |
【第11回】 |
承認、限定承認、放棄、相続人の不存在、特別縁故者 |
【第12回】 |
遺言制度、遺言の方式と能力、遺言の効力 |
【第13回】 |
遺贈 |
【第14回】 |
遺留分、遺留分減殺請求 |
【第15回】 |
まとめと試験 |
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