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授業の概要(ねらい) |
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21世紀は『環境といのちの世紀』と言われている。それは20世紀の後半に経済が多くの歪みを伴いながらかつてないほど急速な成長を遂げたことにより『環境といのち』が危うくなったことを反省している為である。現在世代の暮らしは将来世代の取り分まで使いながら、あるいは地球にその環境収容力以上の負担を掛けることによって成り立っている。 『持続可能な発展』という方向性が示されてから40年以上が経つが、グローバル化・肥大化・細分化する現状のもと、格差のある先進国・新興国・発展途上国の個人は全体を見通すことが出来ず、21世紀を豊かな『環境といのちの世紀』することは混迷を深めている。例えば 福島の原発の事故も想定する範囲を限定し、全体を見通せずに我々が無定見に“安全神話”を受け入れたことが大きく作用した。 このような現状を考えると、21世紀の教育を担うものは、各人の孫の世代あるいは全世界の未来世代が地球の恵を享受できるような『持続可能な発展』の実現を視野に入れ日々の実践を行う必要がある。 そのためには一度ゆっくりと21世紀の地球のあるべき姿のビジョンを、世界観・価値観を整理しながら描く必要がある。 この授業は主に二つの部分からなる。一つは137億年前に始まる宇宙・地球・生命・環境の成り立ちを理解しながら、現在のわれわれの問題を考える視点を構築する。 第二は、生命・環境に関する先進的な学校教育実践の実例を考察するとともに、身近な自然である多摩の里山に触れる。 最後に講義を通して学んだことを、如何に各自の教育実践の中に生かしうるかを発表してもらう。
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2. |
授業の到達目標 |
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地球・生命・環境の成り立ちと人類の立場を理解し、『持続可能な発展』を実現できるような21世紀を担う若者を育てる教育を実践できるような分野横断的なものの見方を養う。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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最終の授業時における発表と、毎回の授業における討論で評価する。試験は行わない。
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4. |
教科書・参考書 |
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臼田 秀明 『知は地球を救う』 1.はじめに ―豊かな生命と環境の世紀をめざして― 帝京大学文学部教育学科紀要 34:97−104(2009) http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/husuda1_34.pdf 臼田 秀明 『知は地球を救う』 2.人類の進化700万年 ―予断に捉われないことの難しさ― 帝京大学文学部教育学科紀要 34:105−144(2009) http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/husuda2_34.pdf 臼田 秀明 『知は地球を救う』 3.作物の栽培化から遺伝子組み換え作物まで ―豊かさの広汎化と豊かな多様性・地域性の併存を目指して― 帝京大学文学部教育学科紀要 35:123-180(2010) http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kyoiku35-10.pdf 臼田 秀明 『知は地球を救う』 4.森と人 ―森と人の共生から多様な生命が集う生態系の保存をめざして― 帝京大学文学部教育学科紀要 36:79-152(2011) http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kyoiku-36-09.pdf 臼田 秀明 『知は地球を救う』 5.我々の暮らしと地球への負荷 -目を閉じて全体を静かに心で見てみよう- 帝京大学文学部教育学科紀要 37:161-260(2012) https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/tos4-5.html#37 臼田 秀明 『知は地球を救う』 6.宇宙の誕生と進化 -太陽・地球・生命はビッグバン・燃える星・爆発する星の内部でつくられた元素から出来ている- 帝京大学教育学部紀要 1:143-207(2013) https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kyoiku-38-13.pdf 臼田 秀明 『知は地球を救う』 7.地球・生命の誕生とその後の変容 -われわれはどこから来て、どこに向かおうとしているのだろうか- 帝京大学教育学部紀要2:1-107 https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kyoikugaku2-01.pdf 臼田 秀明 『知は地球を救う 8.気候変動, 過去・現在・未来―選択のために問われる価値観―』帝京大学教育学部紀要4(印刷中) 上記のものは帝京大学のホームページのLMSからダウンロード可能。 大森享編著『環境学習をはじめよう』ルック(2005) 三石初雄・大森享編著『小学校環境教育実践シリーズ 1-4』旬報社(1998)
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準備学修の内容 |
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教科書と参考文献を読んでおくこと。
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その他履修上の注意事項 |
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教師として各自の世界観・価値観を研ぎ続け、メッセージ性のある授業ができるよう自分を鍛えて欲しい。短期的な目先のことだけでなく、悠久の時の流れ、大きく広がる世界を見ながら、じっくり将来を見通すようなビジョンを持てるように頑張っていきましょう。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 |
ガイダンス・なぜ今『環境といのち』なのか?急速な経済成長とその歪み |
【第2回】 |
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【第3回】 |
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【第4回】 |
帝京大学近隣の多摩市和田にある里山「ななやま緑地」を、相田幸一さんの案内で探訪・フィールドワークする。荒天の場合は予定変更あり。 |
【第5回】 |
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【第6回】 |
宇宙(137億年)・地球(46億年)・生命(40億年)・人類(700万年)誌。 今年度は特に46億年間の地球の気候変動からみた現在の人為的な温暖化の影響を考察し、われわれの選択について考える。『知は地球を救う 8』をテキストとする。 |
【第7回】 |
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【第8回】 |
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【第9回】 |
近年の日本に於ける小・中学校環境教育実践の試みを紹介しながら、その実践を生み出した要因に関しての授業分析を行う。また、第4、5回目の授業での本学に隣接している里山へのフィールドワークと特別講義を通して、環境教育実践の指導プランと教材作成の観点について具体的に学ぶ機会としたい。 |
【第10回】 |
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【第11回】 |
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【第12回】 |
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【第13回】 |
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【第14回】 |
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【第15回】 |
『この授業で学んだことを、現場の教育実践で生かすとすると?』について各自発表する。 受講者の人数によっては多少の変更あり |
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