Web Syllabus(講義概要)

平成28年度

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教育学演習 II 中島 繁雄
必修  2単位
【教育文化】 16-1-1333-3355-03

1. 授業の概要(ねらい)

 算数科教育の推進を目指し,「数学的な考え方」の育成について,研究を進めます。
 1.学生が作成した算数科学習指導案に基づいて実践した小学校教員の授業の逐語記録を作成し,「数学的な考え方」の育成という視点から授業分析を行い,以下の観点について考察する。
  ア.逐語記録から,教師の指導と子どもの変容する姿の事実から,アクティブ・ラーニングを考慮した授業設計について学ぶ。
  イ.診断的評価,児童質問紙及び逐語記録から,特別支援が必要な子どもをはじめ,すべての子どもへの指導及び支援の在り方を明らかにする。
 2.「数学的な考え方」の育成を図る視点から,作成した学習指導案に関する工夫・改善点を以下の観点から考察する。
  ア.教師の問いかけ,学習展開,学習形態と子どもの数学的なアイデアの創造との関連
  イ.アクティブ・ラーニングによる指導方法,評価方法,学習材,ICT機器の活用等と目標の実現状況との関連
 3.通常学級における発達障害(自閉症スペクトラム)と診断されている子ども,その傾向が強い子どもに,学習内容に関連した「困り」を生じさせないスモール・ステップ学習に基づくユニバーサル・デザインによる授業設計を創造する。
 4.すべての子どもに「数学的な考え方」を育成する学習指導案を,グループ協議,全体協議を通して明らかにする。

2.
授業の到達目標

 「数学的な考え方」を育成する授業設計について調査・研究し,適切にまとめるとともに,個々の取組内容を発表したり,グループ協議や全体討議したりする活動を通して,以下に示す基礎的な素養を身に付けます。
 1.「数学的な考え方」の育成を図る算数科学習指導案を作成する能力を身に付けることができる。
 2.算数科授業の指導技術を身に付けることができる。
 3.逐語記録を作成する技能並びに授業分析力を身に付けることができる。
 4.主体的に取り組む態度を形成し,コミュニケーション能力を高めることができる。

3.
成績評価の方法および基準

 主体的な学びと積極的な参加を重視します。以下の5点で,総合的に判断します。
 1.出席と授業態度(関心・意欲・態度)…10%
 2.AL,UDに基づく算数科学習指導案の作成(知識・理解)…40%
 3.逐語記録の作成(技能)…20%
 4.逐語記録空の分析と考察レポート(思考力,表現力)…20%
 5.グループ協議,全体協議の積極的な参加(プレゼンテーション力)…10%

4.
教科書・参考書

 『数学的な考え方の具体化と指導』(明治図書)
 『創造力をはぐくむ』(東洋館出版社)
 『新算数科の考え方と授業展開』(文溪堂)
 『学校生活がわかる!教師実用マニュアル』(小学館)
 『“支援”が必要な子への算数指導』(小学館)
 『小学校学習指導要領解説算数編』(文部科学省,2008)

5.
準備学修の内容

 課題解決への情報収集,レポート作成等,授業外での以下の予習・復習が不可欠となります。
 1.「数学的な考え方」を育成するよりよい算数科学習指導案を作成したり,協議後推敲したりする。
 2.逐語記録を作成する。
 3.逐語記録から,教師の関わり,指導の在り方を分析し,考察する。
 4.診断的評価問題,児童質問紙,教員アンケートを作成する。

6.
その他履修上の注意事項

 以下のことに積極的にかかわることのできる学生を望んでいます。
 1.欠席や遅刻はしない。
 2.課題を明確にし,自ら進んで解決に向けた取組をする。
 3.共通課題について,グループ協議や全体討議に積極的に発言する。
 4.グループ活動及び全体活動に協働して取り組む。

7.
各回の授業内容
【第1回】
演習のオリエンテーション(目的,内容,方法,評価)を理解する。すべての学習者が「できる,分かる」という成就感をもつための「スモール・ステップ学習法」を目指すために,算数科の領域「A数と計算」における診断的評価問題,児童質問紙,教員アンケートを作成する。
【第2回】
時間外授業で作成した算数科の領域「A数と計算」「B量と測定」,「C図形」,「D数量関係」における診断的評価問題,児童質問紙,教員アンケートについて協議し,工夫・改善点を明らかにする。
【第3回】
特別支援を必要とする子どもが「困り」を生じさせないで「数学的な考え方」を育むアクティブ・ラーニングによる学習指導案をグループで協議し,工夫・改善点を明らかにする。
【第4回】
第3回で作成したユニバーサルデザイン,スモール・ステップ学習法による学習指導案について各グループで提案し,全体協議する。
【第5回】
各自が作成した「困り」を生じさせない数学的な考え方を育む学習指導案について,各グループで協議し,工夫・改善点を明らかにする。
【第6回】
「困り」を生じさせない数学的な考え方を育む学習指導案に基づき,小学校教員による「数学的な考え方」を育む授業を実践した逐語記録を作成する。
【第7回】
第6回の逐語記録から得た協議内容を基に,逐語記録の分析及び考察をレポートにまとめる。
【第8回】
小学校教員による「数学的な考え方」を育むアクティブ・ラーニング学習を実践した授業の逐語記録を作成する。指導方法,評価方法,学習材,ICT機器の活用と目標の実現状況について協議し考察する。
【第9回】
第8回の逐語記録から得た協議内容を基に,逐語記録から,指導方法,評価方法,学習材,ICT機器の活用と目標の実現状況について協議し考察し,レポートにまとめる。
【第10回】
特別支援を必要とする子どもが「困り」を生じさせないで「数学的な考え方」を育む学習指導案について協議し,工夫・改善点を明らかにする。その1
【第11回】
特別支援を必要とする子どもが「困り」を生じさせないで「数学的な考え方」を育む学習指導案について協議し,工夫・改善点を明らかにする。その2
【第12回】
「数学的な考え方」を育む観点から,アクティブ・ラーニングによる授業設計,特別支援が必要な子どもに配慮したユニバーサルデザインによる授業設計について考察し,よりよい算数科学習指導案の確立を図る。
【第13回】
「数学的な考え方」を育む観点から,アクティブ・ラーニングによる授業設計,特別支援が必要な子どもに配慮したスモール・ステップ学習法及びユニバーサルデザインによる授業設計について考察し,よりよい算数科学習指導案の確立を図る。
【第14回】
第10回から13回までを総括し,それぞれの観点から算数科学習指導案の確立を図る。
【第15回】
「数学的な考え方」の育成を目指す算数科授業の創造について,他者評価及び自己評価する。
あくまで、計画です。その通りに進むとは限りませんので、ご理解のほどを、よろしくお願いします。